不登校

「不登校の親は過干渉」への私見

小耳に挟んだのだが。

 

不登校は、親が過干渉なケースが多い。

親が先回りし、本人の自己決定の機会がない。

そんな子は精神的に自立できず、不登校となる。

らしい。

 

これにはちょっと僕、一家言あって。

ちょっと一言、よろしいかしら?

 

不登校の親の特徴

子どもが不登校になると、多くの親御さんが思う。

 

自分に問題が?

育て方が悪かった?

 

僕、不登校の子とその親御さんと、めっっっっっちゃ会ってるんだけど。

親御さんの共通点。

 

マジ、ないよ?

 

みんな、バラバラよ?

いろんな人がいるよ?

ってゆーか、育て方で不登校にするのって、むしろ難しいと思うんだけど。

不登校の親に共通する特徴まず最初に謝ります。 “不登校の親に共通する特徴” このタイトルを見て、どう感じました? 特に...

 

その中で、真面目で頑張り屋、不安が強い親御さんは確かに多いと思うんだけど。

これ実は、不登校児の特徴でさ。

そんな子が、学校が合わないことが多く。

つまり不登校になりやすくて。

 

お子さんがそうなら、親御さんも似た性質を持つ(ことが多い)。

親子だからね。

 

過干渉と優柔不断

でさ。

もちろん、不登校の親御さんは色々なタイプがいる。

 

犬派も、猫派も。

ドラクエ派も、FF派も。

コロナが怖い人も、コロナワクチンが怖い人も、あまり気にしない人も。

あなたの風邪はどこから? 私は鼻から。

 

 

その上で、確かに過干渉なタイプの親御さんは一定数存在する。

不登校じゃない家庭と比較すると、比率は上がるだろう。

それは僕も認める。

 

でもさー。

 

必要があったから、過干渉になったんじゃない?

 

と、思うわけですよ。

子どもの特性が先にあり、必要に応じて親御さんが過干渉になったのでは? と。

 

 

具体的に説明する。

 

不登校児って、マジメな子が多い。

学校がイヤでサボりたくて不登校やってる子って、ごくごく少数で。

頑張って頑張って頑張った結果心折れて、不登校になる子が大半だ。

 

なぜそこまで頑張るかというと、マジメだから。

なぜマジメかというと、不安が強いから。

 

そう、この「不安が強い」という特性。

これがキーワードだと思っていて。

 

不安なのだ。

失敗したくない。

完璧にやりたい気持ちが非常に強いのである。

そりゃもう、ヒジョーーーーーに。

完璧主義と、絶対に失敗しない方法日常生活で、実際に問題となってくることが多いんだけど。 完璧主義 これ、なんとかならないものかしら。...

 

でね。

この、「不安の強さ」って生まれつきらしくて。

セロトニン的なアレがアレなんだって。

日本人に多いらしーよ。

不安の強さってどこからくるの? 〜その子の不安レベルはどのくらい?〜不登校とか、それに類するトラブルの相談を聞くと、 vs自分 の要素がありそうだな、と思う。 https://h...

 

ってことは、この子は幼児期から、いや乳児期から不安が強かったと予想される。

頑張り屋で、マジメで、慎重。

失敗したくなくて。

多分、優柔不断だったんじゃないでしょうか。

 

不登校児の優柔不断率、高そうだ。

やっぱり、外来でも決められない子が多い。

進路もそうだし、遊びに行く予定とか、次回の受診日なんかでもそう。

なかなか決まらない。

 

えっと、次回は1ヶ月後の……月曜日? やっぱり水曜日?

いや、2ヶ月後にする?

時間は10時? それとも10時半?

待てよ、その日は確かテスト期間中……?

 

決められないのだ。

ぶっちゃけ、不登校なんだからいつでもいいじゃないか……と思うんだけど。

まぁ、言わずに待つんだけど。

 

 

おそらく、一事が万事この調子なのだ。

小さい頃からきっと。

「決められない」場面が多かったと予想される。

 

待てることは待つけどさ。

次回の外来日の予約なんかは待つけど。

普段の生活の中だと、親御さんが先回りして決定する場面はどうしても増えるだろう。

 

 

加えて、発達にデコボコがある子も多い。

先回りしないと、トラブルが起きる。

「普通に」「みんなと同じように」では、うまくいかなかった子だ。

どうしても、転ばぬ先の杖の機会は増える。

 

子どもが先では?

お分かりいただけるでしょうか。

 

確かに不登校の親御さんで、過干渉、心配性な人は多い。

でもそれって、

子どもが先じゃね?

と、僕は思ってしまうのだ。

 

子どもの特性ありきで、親の対応がそうなった。

元を辿るとこの順序なのでは? と。

 

だから、

親が過干渉だから

子どもが自己決定できない

 

のではなく。

 

子どもが自己決定できないから

親が過干渉

なんじゃないかと。

こっちが真実に近いのでは? と、僕なんかは思ってしまうのだけれど。

 

 

そう考えると、やっぱり僕は、不登校は親が原因ではないと思う。

子どもの特性の問題。

「学校が合わない子だった」。

それだけ。

と、どうしても思ってしまうなぁ。

 

親子は響き合う

以上より、冒頭のコレ↓

 

不登校は、親が過干渉なケースが多い。

親が先回りし、本人の自己決定の機会がない。

そんな子は精神的に自立でず、不登校となる。

 

コレ、文字通り鵜呑みにすべきではないと、僕は考える。(もちろん、個人の見解です)

 

 

ただし。

実際に不登校の子を見ていて、

親御さんが過干渉で、お子さんが自己決定できないケース

というのは、確かにある。

 

子どもは決定できない。

子どもが決定しないので、親は過干渉になる。

決定する機会がなく、子どもはさらに優柔不断となる。

 

という、悪いスパイラルのケース。

子は失敗したくない、親は失敗させたくない思いから、エスカレートしていくケース。

実際、ある。

自立できず、親子で共依存となったり、キング・オブ・こじれ家庭になるケースも、実際やっぱりあるんだ。

 

 

タマゴが先かニワトリが先か、つまり子どもの不安が先か親の過干渉が先かは置いといて。

上記、悪いスパイラルに陥っているケースはある。

こじれていくケースは確かにあって。

これは、どげんかせんといかんわけです。(急に東国原)

 

 

この時に、ただただ親御さんを責めても仕方ないと、僕は思うんだ。

だって、そうなった理由があるから。

もともと不安の強いタイプの子で、フォローが必要だったんだから。

 

「過干渉が悪い!」と糾弾しても、意味ないと思うんだよね。

だって実際、子どもは優柔不断なんだもの。

 

 

じゃあどうするかって、月並みだけどさ。

結局、

その子をよく見て、その子に合った対応を

しかないと思うわけです。

 

親が悪いと一蹴するんじゃなくて。

「じゃあ今から自立しろ」と子を突き放すのでもなく。

 

よーーーーーく観察しながらさ。

ケースバイケースでやっていくしかないと思うわけですよ。

 

ゴールは、本人が自己決定し、その子らしく生き生き暮らすこと。

そのためには、本人が特性を把握し、うまく付き合う術を身につけることだ。

 

まとめ

不登校は、本人の問題だ。

もちろん周囲の人(親、先生、友達など)も関わってくるけど、本質的には本人の問題だと僕は思っている。

「学校が合わない子」ってヤツね。

 

不登校を選択したのは本人だし、その結果を受け取るのも本人だ。

他人が横取り、または肩代わりすることはできない。

 

親御さんに原因を求めても、きっとうまくいかなくて。

なぜ合わないのか、どんな場所だったら合うのか、ゆっくり向き合っていくしかないと思う。

 

 

でもきっと、本人もなにが不安でどうしたいのかなんて分かってないからさ。

あ、僕ユニクロに行くとき、「こんな形の赤いトレーナーがほしい!」とは思ってなくて。

フラッと見て、「なんかカッケー服ないかなー」って感じ。

自分の欲しいものって、自分でもよく分からない。

 

じゃあ不登校児もきっと、学校のなにがいやで、どうしたいかなんて分かってない。

そのモヤのかかったよく分からない不安を、「ここならまぁいっか」って場所を探す。

そうやって、よく分からないながらもなんとか社会適応する道を探すのが、不登校支援だろう。

僕はそう考えている。

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