結構みなさん、兄弟姉妹で複数名、不登校やらなんやら抱えていらっしゃるようだ。
僕の外来でも兄弟受診は多い。
姉が不登校で通院していたところ、妹も不登校になりました、とか。
「兄弟で不登校って、さすがに家庭に問題があるんでしょう?」
こんな言葉を投げかけられたと患者さんから聞き、とても驚いたことを思い出した。
百歩譲って不登校はまあわかる。
そういう子もいるでしょう。
でも兄弟揃って不登校って、さすがに家庭に問題があるからそうなるんでしょう?
という主張なわけだ。
いやいやいやいや。
普通にそんなわけがない。
どうしてそう言えるのか、理屈で説明したいと思う。
そもそも不登校って、どんな子がなるの?
いじめを受けた子?
先生と相性が悪かった子?
それもあると思うけど、いじめにあってもあまり気にしない子っている。
反対に、海の底より、マリアナ海溝より深く傷つく子もいる。
いじめのターゲットなんてコロコロ変わるし、先生も毎年変わる。
でも不登校になる子と、ならない子といる。
いじめやトラブルって、最後の一滴に過ぎないと思う。
それまで我慢に我慢を重ね、最後の一滴でコップの水が溢れて不登校になる。
溢れるかどうかは、コップの大きさと水の出る速さで決まる。
要はその子が持って生まれた気質だと思う。
具体的には発達障害やHSCなど、そもそも学校が『合わない』子。
こんなような理由。
そもそも学校が『合わず』、しんどい思いをしている子。
この子が何かのトラブルで限界に達し、不登校になる。
その証拠に不登校の子に話を聞くと、学校が嫌いな理由を自分でもよく分かっていないことが多い。
なんとなくイヤ、でも強くイヤ、なのだ。
特定のトラブルを解決したところで登校できるようにはならない。
発達障害やHSCは家族性がある。
一人がそうだと兄弟も同様の気質を持つ可能性が、他の家庭と比べて有意に高い。
お姉ちゃんがHSCで不登校なら、妹もHSCの可能性が高いし、不登校になる可能性も高い。
ひとり学校が『合わない』なら、他の兄弟も学校が『合わない』ことが多い。
だから兄弟姉妹で不登校になる道理。
育て方、全っっっ然関係ない。
育て方の問題では断じてない。
理屈で考えて、一人不登校なら兄弟も不登校になる確率って、とても高い。
兄弟みんな不登校でも全く不思議ではない。
ってことでご理解いただけるだろうか。
一家庭に複数名の不登校の子がいても、育て方の問題では断じてない。
むしろ親御さんは大変な子育てをされてきたと思う。
思い通りにいかない我が子に悩み、試行錯誤し、時には怒鳴って自己嫌悪に陥ったり。
そんな風にここまでやってこられたと思う。
子育ての大変さには差がある。
育てやすい子と育てにくい子って、絶対にいる。
子育てにどれだけ苦労したか数値化できるとしたら(できないけど)、明らかな差が出るだろう。
不登校の子を抱えた親御さんは、特に大変な思いをされてきたはずだ。
押したり引いたり、くっついたり離れたり。
無理やり登校させようとして大爆発されたり。
そうやって我が子を理解しようと努めてきた。
子供の特性を一番理解しているのは、間違いなく親御さんだ。
自信を持ってほしい。
周囲の心無い言葉なんて、
「アンタに何がわかるのよバーカバーカ」
と反論したらいい。
あ、トラブルになるので、心の中で。
そして、あなたのお子さんが不登校を選んだのだ。
その選択を尊重してあげてほしい。
「でも、親が甘やかすから不登校になる可能性ってない?
学校に行かなくても怒られないからラッキー♪ とか。
または虐待家庭で歪んで育ち、学校で適応できないとか。
そしたら親のせいだよね?」
それもないだろう。
なぜそう言い切れるのかは、別記事で説明したいと思う。
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今18歳高校3年の息子、コロナ突入の2020年の高校入学後間もなく不登校となり通信高校に転入しました。このトピックを読ませて頂いて涙が溢れてきました。不登校になったのは私自信の親の子育てが歪んでいたせいだと、ずっと後悔の嵐だったからです。一人っ子や、学歴主義の家庭に不登校が多いと感じてます。我が家も一人っ子、学歴主義で勉強を強いてきた家庭の中で育ってます。
感受性が強く純粋でadhd 傾向が強いですが、もし子供の特性を理解して、ゆったりと過ごせたり負担のない進路に進ませてあげられたら、楽しい青春時代を過ごせたのではと悲しいです。