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鉢ごと移動しろ! 詳細

 

合う場所で咲けばいい。

鉢ごと移動しろ!

 

みなさんに届いたようで、よかったです。

ぼくのかんがえる「さいきょう」のはったつしょうがいりろん結局この子には、発達障害があるのかないのか。 近年、発達障害児が増えているのかいないのか。 盛んに議論され、かつセンシティブ...

 

やり方を変える

コレはねー。

僕は常日頃から思っていることで。

 

うまくいかないなら、やり方を変えた方がいい。

 

同じ失敗を繰り返すのが一番愚かだと、個人的には思っていて。

これは医者としてとかじゃなく、ヒトとして、個人的にね。

 

先日も、ハンギョドンの発音が間違っていたことを指摘され。

知ってました?

ハンギョドン。

僕、「半魚人」と同じイントネーションだと思ってたんだけどさー。

「パンタロン」と同じだって。

 

フリーレンじゃなくて、チーバくん。

カロナールじゃなく、コーラック。

 

「半魚人なんだから、同じイントネーションでハンギョドンなんだよ!」と意地を張ったところで意味がなく。

最初に指摘されたときは恥ずかしかったけど、シレッと訂正したので。

もう間違えることはない。

もう恥をかかずに済む。

そういうことだ。

 

……どういうことかサッパリわからない例えを出してしまった。

 

 

とにかく、コレはなんか違う、失敗したと思ったら、方策を変える方がよい。

同じ様にやっても、また同じ様に失敗する確率が非常に高い。

 

一万回ダメなら、一万一回目も多分ダメ。

僕たち発達デコボコは特にそうだ。

身も蓋も無いけれど。

※これが以前説明した『標高』ね。標高の高い人は、合わない場所は工夫しないとやっぱり不便。定型発達はなんとかなるのかもしれないけどねー。うらやましい。

 

戦うか、逃げるか

で。

実際問題、うまくいかない事態に直面したとき。

我々に取れる手段は基本的に二つ。

  • たたかう
  • にげる

だ。

 

僕の性格がアレなだけかもしれないが、僕は圧倒的に

  • にげる

を選択する。

 

戦わない。

すぐ逃げる。

傷つきたくないもの。

 

  • ぼうぎょ

は、何も変えずに耐え忍ぶってことだが、積極的にはおすすめしない。

多少は痛いし、きっとまた繰り返すから。

たまに使うけどネ。

 

  • どうぐ

は、使えるシチュエーションが限られる。

金に物を言わせるとか先生を味方につけるとか秀でた一芸があるとか、発動に条件がある。

いわば飛び道具。

僕らは、これを持たないことが多い。

 

だもんで、現実的に取りやすい選択肢は二つ。

  • たたかう
  • にげる

だ。

 

 

ダメなら逃げたらいい。

戦ってもいいけどさ。

僕なら逃げる。

いつも心にはぐれメタル。

 

そう、俺ははぐれメタル。

えげつない経験値を持つ、孤高の存在。

そう簡単には倒されないぜ……。

なんて呟きつつ、胸を張り、華麗に逃げるのだ。

戦って死ぬより、ボロボロでも生き延びる方を選択したい。

 

負け戦と思ったら、全力で退散。

胸に抱くは退却ダマシイ、生まれてこのかたあとずさり。(やわらか戦車)

 

 

で、別の方法を考える。

はぐれメタル戦略で人生経験を重ねると、自分のダメな場面が分かってくる。

苦手な場面には共通項がある。

すると年々、対策が取りやすくなるって寸法で。

 

逃げなくて済んだ場面が、自分の中で相対的に得意なシチュエーションだ。

苦手を排除し、残るものが相対的に「得意」。

これは、人生における武器となる。

 

「得意なものなんて特にありません」って言う人、多いけどさ。

「得意」が選べなくても、「苦手じゃない」を選ぶ。

これは有効な生存戦略だ。

 

弱くていい。

ダサくていい。

一見パッとしなくても、それがあなたの大事な武器なのだ。

武器を持て、武器を持てよ、頭にち・く・わ。(やわらか戦車)

 

30センチの移動

でね。

鉢ごと移動しろって言うと、

  • 転校は現実問題ムリっす。
  • 通信制高校に行ったら将来の選択肢が……。
  • 転職しまくれってことですか⁉︎

などと考える方もいると思う。

逃げ続ける人生か? と。

 

もちろんそれも大事な戦略。

重要なカードの1枚であることは確かなのだが。

 

でも、僕が言っているのはもっと小規模な話も含み。

同じクラス内で、30センチ移動するのはどう?

程度の話だったりする。

 

大規模な移動じゃなくてさ。

ちょっとそこまで、ってな感じで。

 

 

例えば、こんな子がいた。

 

男の子
僕はだらしない性格だけど、思い切って学級委員に立候補しました。

先生の話をよく聞き、結果的に忘れ物が激減!

 

上記、ADHDの子。

あえて「みんなの代表」という立場に移動したことで適応が良くなった例だ。

 

また、こんな子もいた。

 

女の子
私、係の仕事を自分一人で抱え込んでいたのですが、今回は他の人に任せてみました。

みんな言えばちゃんとやってくれて。

これまで私がやっちゃってたせいもあったようです。

めっちゃ楽になりました。

 

真面目すぎ、頑張りすぎで燃え尽き気味だった子。

「全て引き受ける立ち位置」から意図的に降りた。

 

またこんなケースも。

 

運動会の練習、最近は「できないから教えて」ってスタンスでいるようです。

周りの子たちがお世話してくれているみたいです。

 

集団指示が苦手な子。

意地を張らず、素直に「助けてくださいスタンス」を取ったところ、友達がサポートしてくれているよう。

もちろんこれで全部が解決なわけじゃないけど(サポートする側に過度な負担がかかっていないかとか)、今のところ問題なさそうって。

 

 

上記はほんの一例で。

  • 同じクラスで、
  • 同じ環境で、
  • 自分の立ち位置を少し変えた子

ってたくさんいる。

それでうまくいくことって、たくさんある。

 

「二人組作ってー」の相手を今日は変えてみる、程度でも良いし。

イヤな作業は、思い切ってカミングアウトして外してもらうとか。(みんな案外優しいヨ)

苦手な教科を、いっそのことお絵描きタイムに振り切るとかさー。

 

それだけで、場面の見え方が変わる。

適応が良くなる。

要は、標高は同じで、ちょっと工夫してみるってことね。

大規模な移動じゃなくて。

 

例えば僕だったら、苦手な書字や作図、事務作業なんかは人に任せる。

その分、アイデアを出す。

「そういう人」として居場所が作れたりする。

 

作業もアイデアも全部苦手って子は、他の人の意見をよく聞いて、しっかり同意するとか。

誰かの優れた点を褒めるとか。

そういう人も重要だ。

 

見落とされがちだけど、案外「お世話される立場」ってのも需要がある。

人は、誰かの役に立つと嬉しいように出来ていて。

クラス内に限った話ではなく、大人の社会でもこの立ち位置は結構なニーズがある。

「できな〜い、教えて⭐︎」からの、「ありがとう、さすが♡」は、社会のあちらこちらで繰り広げられ、両者ウィン・ウィンのように思われるのだが、いかがだろうか。

 

大きな30センチ

どの場所で咲くか。

この30センチの移動で、大きな変化があったりする。

 

真面目な人ほど、置かれた場所で咲こうとし、疲弊していくように見える。

努力と根性には限界がある。

30センチずれれば、案外生きやすいかもよ?

 

 

もちろん、毎回同じスタンスでなくても構わない。

いっとき30センチずれて、また戻ってもよい。

次は別の方向にずれてみてもよい。

課題によって、メンバーによって、うまく使い分けるとよい。

 

発達デコボコの人。

標高の高い人。

その都度場所を移動する。

生きやすいように工夫する。

 

鉢ごと移動しろ!

移動は近距離でも可!!!

 

それで適応が良くなる場面は多い。

大事なライフハックだ。

「苦手」を避ける。

それが武器。頭にちくわ。

 

 

余談だが、「くまモン」の正式なイントネーションは、「シナモン」か「ポケモン」か、諸説あるようだ。

時と場合により、空気を読んで使い分けるとよい。

……すごく意味のわからない余談になってしまった。

pediatrician-p

View Comments

  • そうか、、
    私、途中まで読んでる時、「でも子供からは逃げられない!」って思ってて、、
    そうじゃなくて、ちょっと距離を広げてみる、とか、子供のメンタルにいちいち反応しないようにする、とか
    子供なら任せる、とか?
    そういう対策してみようかなと思えました。
    子供が16歳だからできることですが。
    自分の心を大事にしてあげたいです( ; ; )

  • 今回、前回記事も自分のホーム画面から、ショートカットでいつでもアクセスしたい内容でした。周囲にも見せたいくらいです。
    息子のこと説明したり今後どうしたいとか、凸凹事情にあまり明るくない方に分かりやすく伝えたい時に『こーゆーことです!!』と。

    先生、本当にありがとうございます!!

  • 確かに、私自身が小学生の時から人様の世話が好きでした。
    隣のお宅もクラスの子も不登校、緘黙の子やらいたので世話役に任命されていました。
    医療関係で働く者として繋がってるものがありますね〜。

    今は不登校の自分の子の世話してます…。

    30センチの移動!
    見える景色も変わりますよね。納得です。
    もちつもたれつ、移動して来た子たちと助け合いながら生きてるみたいです。(いわゆる別室登校中)

  • P先生がはぐれメタル...
    倒してくださいというフラグですか?

    失敗したら方法を変えるは同感です
    というか、皆に当てはまることだと思います
    何回も失敗し続けていると、成功から遠のくだけでなく、周りの人も離れていき孤立します
    同じようにやってても、周りの環境が変化するので、必ずしも成功するとは限りません
    環境の変化に気づきにくい人は頑なに同じことを繰り返し、前は成功したんだから自分は間違ってはいないと信じ込んでいます
    さらに、周りのアドバイスを聞き入れないので、結局孤立していく傾向です

    逃げる選択も納得です
    座右の銘「逃げるは恥だが役に立つ」
    長い人生で必要な考え方です
    いま自分がいる場所、置かれている状況にしがみつく必要はありません、自分の得意なことが活かせる場所へ行けば、皆から感謝されます

    ガッキー可愛かったな~(過去形)

    30センチの移動も納得です
    メタ認知がある人は、フットワークが軽く、30センチの移動を常にして成功し続けています
    自分の得意分野で活躍し、不得意分野はお任せです
    人生持ちつ持たれつです

    助けられっぱなしの人生も問題無しです
    P先生の言う通り、人を助けることが生きがいの人もいます
    感謝されたい、必要とされたい、俗に言うお節介な人です
    お節介な人も自覚有りで行動しています
    そういう人には感謝の言葉を伝え助けられましょう

    大きな30センチも必要です
    活躍できる能力がある人が、相性の悪い環境で頑張る必要無しです
    多種多様な時代、受け入れてくれる人や場所はあるので、勇気を出して変える選択はありです
    悪い環境で頑張って壊れるくらいなら、変えてもいいでしょう
    変える勇気が必要なら周りの人に背中を押してもらいましょう
    自分は経験有りです
    真面目な人ほど壊れるまで気づけないものです

    人生は、
    ・たたかう
    ・にげる
    の表現が分かりやすいです
    例えがドラクエだし、コマンドがシンプル!
    自分なら、
    ・たたかう
    ・にげる
    ・おうえん
    ですね~
    ルイーダの酒場で遊び人を3人仲間にし、
    はぐれメタルを狩り続け、レベル20で全員賢者に転職
    また、はぐれメタルを狩り続け、呪文を全部覚えたら、武道家に転職
    呪文をマスターし、会心の一撃が出しやすい武道家3人組でパーティを組み、常勝無敗を目指します
    えっ、主人公は何をするかですって?
    おうえん(ベホマズン)担当です
    主人公にしかできないことをするだけでいいんです!

    現実には転職できても、はぐれメタルのようなえげつない経験値を得られる手段は無いんですけどね~

    あっ、いたわ、はぐれメタルの心をもつP先生 ( ̄ー ̄)ニヤリ

    あ~早く新作ドラクエ3したい!

  • 「弱みを見せられる」って最大の強みですよね。

    私は保育士ですが、鬼園長の元で働いていた際に、話の最初に「ご相談があるのですが」とつけるだけで、怒られないで済む事に何年かして気づきました。なるほど、鬼園長も「誰かの役にたつとうれしい」と思ってたんですね。以来「相談に乗ってください」「教えてください」スタンスでなんとか働いてます。

    「お世話される需要」
    「そういう人」という居場所ってあるある!

  • 以前、外来パートナースをしていた頃。
    これから患者さんに膝の注射をするという場面で
    「パンタロン!」
    と大声で指示を出した先生がいました。
    先生が差し出す右手に何を渡せば良いのか?
    一同キョトンとしていたら、ベテランナースが
    「ハイ、先生、リンデロンでしょ」
    と涼しい顔で渡していました。
    終始ポカンとしていた私に、先生は言いました。
    「ダメじゃ〜ん、ちゃんと俺のペースについてきてよ~」
    もしかして、P先生の先輩だった?

  • 森高千里は「シナモン」のイントネーションでくまモンの歌を歌ってますよね♪

    今日もブログありがとうございました〜!!
    その時が来たら、至近距離移動してみるだけで変化があるかもと思えるだけで安心です!

  • まさかここでやわらか戦車が出てくるとは(笑)
    はじめまして。
    今、思春期と反抗期と受験のイライラで、家族を巻き込みしっちゃかめっちゃかですが、鉢ごと移動。30センチ移動の例えがすごくわかりやすく、府に落ちました。

  • P先生、久々かつ超絶タメになる話をありがとうございます。
    わかりやすく、大きな負担もなく、子供に寄り添った内容で読んでいて心が軽くなりました。
    鉢の30センチの移動で生きづらさを減らせることもある。うちの子にはクビがもげる程頷ける話です。

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