学校に行きたいけど行けない。
そんな、不登校の子の話。
学校へは行きたいんです。
〇〇がなければ。
〇〇には、頭痛とか腹痛、起立生調節障害、友達の目、電車通学、勉強がわからない、嫌いな教科、先生の大声……などが入る。
このような話はたくさん聞く。
本人は学校へ行くことを希望している。
でも〇〇が障壁となっている、と。
よく聞く。
〇〇が軽快したら行けるハズだから、と。
でも実際、その子は〇〇が良くなっても行かない。
それが答えだと思っていて。
行動が答えだ。
行かないってことは、そういうこと。
そう、行きたくないのだ。
人間、行きたきゃ行くし、やりたきゃやる。
行かないなら、口では色々言っても、本音は行きたくないのだろう。
たとえ〇〇の部分を取り除いても、きっとまた別の障壁が出てくる。
行きたくないんですよ。
〇〇のせいで行けない人は、その〇〇を取り除けば行けるはずで。
なんやかんや訴えが変わる子や、絶対に取り除けない障壁(例えば勉強を完璧にしないと不安とか、道ゆく人の視線が気になるとか)を出してくる子。
これはもう、行きたくないのだと思う。
でね。
それはそうなんだけど、じゃあ本人の言う「学校には行きたい」という発言は嘘かというと、そうじゃなくて。
行きたい気持ちはきっと本当なんだよね。
僕、ふと思ったんですよ。
海外旅行に行きたいって。(何を急に⁉︎)
行きたいんですよ。
パリも、台湾も、ハワイも。
デンマークもウズベキスタンもコロンビアもマダガスカルも、南極だって行ってみたい。
でも、どれも行ったことがない。
行きたいか行きたくないかと問われると、そりゃ行きたいんです。
嘘じゃない。
でも実際は行かない。
なぜか。
めんどくせーからです。
旅行先を選定し、予約を取る。
飛行機のチケットと宿、場合によっては観光地やら現地の移動手段やらも事前調達が必要だ。
仕事の休みも取らないと。
必要なものは?
現地は暑いのか寒いのか?
僕、英語できないし。(本気でできない)(みなさん、英検何級ですか?)(僕5級すら持ってない)(英語であそぼ見てる程度)(with Orton)
チケット高いし。
病気や怪我があったら?
治安?
水は? 食事は? 僕パクチー食べられないっ!
……とか考えると、重い腰が上がらない。
で、ま、いっかと。
そこまでして行きたいわけじゃないし。
結局行かないわけです。
つまりコレ、行きたくないってことだと思った。
だって、行きたい人は行っている。
毎年たくさんの人が海外旅行に出かけているわけで。
コロナをものともせず、成田空港にはたくさんの旅行客がいる。
彼らは「行きたい人」。
なんやかんや理由をつけて行かない僕は、「行きたくない人」だ。
もちろん、行きたいという気持ちに嘘はない。
確かに「行きたい」。
オーストラリアでコアラを抱っこし、カリブ海でジャック・スパロウしたい。
でも、行きたい気持ちと行きたくない気持ちとを天秤にかけると、圧倒的に行きたくない気持ちが上回るのだ。
2:8くらい。
いや、1:9くらい。
カリブ海って何語?
行きたいけど行けない不登校の子も、こんな感じじゃないかと思った。
行きたい気持ちはある。
なんか行った方がよさげだし、「行くべき」だし、学校生活をエンジョイしている同級生の姿もチラチラ視界に入る。
行きたいかと問われれば、そりゃ行きたい。
でも、「行きたくない」が大きく上回る。
だから行けない。
行かない。
ってことじゃないかと思った。
「〇〇を取り除けば行ける」なんてシンプルなものではないのだろう。
※ガチで〇〇がなければ行ける子は、〇〇がなくなれば行きます。実際います、宣言通りに学校復帰する子。
だから意識すべきは、まず
行かないなら行きたくない
って部分だと思う。
行動が答えだ。
行ってないなら、行きたくないのだ。
シンプル。
で、次に見るのが。
口では「行きたい」と言うが、その行きたい気持ちは実際どんなものだろう。
「行きたい」と「行くべき」の区別がついていない子もいる。
「行くべき」なだけで実際は「行きたい」気持ちがゼロなら、不登校対応の常套手段である『待つ』カードを切っても望み薄だ。
大人がレールを敷いて背中を押す必要があるケースもある。
そして、「行きたくない」気持ちはどんなもん?
実際行きたくないわけだけど、本人は目を背けたい。
ここと向き合うのは怖い。
自分の弱みと向き合うのは、非常に怖い。
そもそも「行きたくない」という本音を自覚していない子もいて。
努めて見ないようにしてるのね。
その場合はまず自分の気持ちに気づくところからだ。
行かないなら、行きたくない。
僕が海外旅行に行かない理由と、共通の心理が一部あるのかもしれないと思った。
もちろん不登校と旅行とでは、重さや規模が全然違うけど。
でも僕の場合、「まず英語の習得からー」なんて言ってたら、一生行けなそうだ。
カリブ海って何語?
マダガスカルは何語?
南極は?
ペンギンを抱っこしたい気持ちは山々なんだけど、南極語を習得しようと思うと心が折れる僕だ。
いやー、行きたいんだけどなー。
ホントなんだけどなー。
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なるほどと思いました。私も海外旅行は行きたいけど面倒くさいです。家でまったりしていたい。近所のケーキ屋さんで美味しいもの食べて満足です。
学校行けなくて友達と青春できなくてかわいそうと思ってましたが、漫画読んで好きなキャラクターを推しているのが子供にとって楽しいことなのかも。学校より今は家の世界でじゅうぶんなのかもしれません。
大分元気になってきたので動き出すのを待ちたいと思います。
先生!ものすごくわかりやすかったです。
私も海外旅行、めんどくせーです。
綺麗な景色は見たいのに。
恐るべしDNAと感じました。
アドレナリンの立ち上がりが悪いタイプとドクターから言われた事があります。学校に興味を示すまで、やはり見守りですね。
旅行いいですねー。私も行きたいです。海外もそうですけど、私は国内旅行したいですね。
寝台特急に乗って西村京太郎したいですもん。
でも、寝台特急の良い部屋のチケット取るの争奪戦だから難しいし(そもそもお値段高くて手が出ない)、
本当に西村京太郎先生案件が発生したらちょー困るし(ファンの方いたらごめんなさい。西村京太郎先生ファンなのです。現実の時刻表トリックみてみたいけど)
ということはやっぱ行きたくないのかも。
面倒だし、お金かかるし、旅行中に庭のお花枯れても嫌だし。
息子が不登校になってから先生のブログを拝読していますが、不登校でない方の子にもかなり役に立ってます!ありがとうございます!
先生のお話やみなさんのコメントにいつも助けられています。
うちのゼロ100心配性中2男子も冬休み明けから完全に学校をお休みしています。
中1の10月から3ヶ月お休みして、冬休み明けから時には休みながらも、1年間けっこう楽しそうに学校に通っていたのですが…。ただその間も、毎朝腹痛に悩まされて、スッキリするまでトイレに籠り、そしてまた念のため学校近くの商業施設のトイレに籠り、そうしてようやく登校…というのが毎朝の日課でした。
今思えば、相当頑張っていたんだと思います。冬休み前から学校の前まで行って、でも入れないということが続きました。俺はこのまま学校行けなくて卒業できないかもしれないどうなっちゃうんだろう俺はダメだ…と本当に辛そうに気持ちを話してくれました。
中学に通えなくても卒業できるし、その後の進路だって色々な道があるから心配しなくても全然大丈夫(でもたぶん茨の道だよ)と伝えたら、え!そうなの?!と笑。
彼の顔がパーっと明るくなりました。
以降自宅で穏やかに過ごしています。自分と向き合うことで将来の夢も見つかって、今はそれに向けて勉強を始めました。今は友人たちと一切連絡を取っていないようなので、心の底ではきっとたくさん葛藤もあるんだろうけれど、、
結局、行きたくないのに無理して行ってたんですね…
ウチの子、ほんとにP先生の仰る通りの事言ってました(笑)
中学在校時は「行きたいけど、何故か行けない」と。卒業してから再び聞いてみたところ、「めんどくさかった」と白状しました。
卒業後はめんどくさくても通信制高校に週2ぐらいで通い、その後は自分で決めて今、労働者です。労働の方が学校へ通うより遥かに大変かと思うけど、毎日ちゃんと行ってます。
P先生こんにちは。
私も同じく、海外旅行にとても行きたいし、頭の中では行きたい国リストまで作成できていますが、めんどくせーので行けてません。
英語の勉強も毎日せっせとしているけど、完璧に話せるレベルになるまでは行く気になりません。(英検は2級です)
‥なんか、我が息子と同じですね( ・∇・)
息子は完全不登校3年近くになりますが、「勉強がみんなに追いつくまでは学校に行けない」とか「「鼻水止まるまでは行けない」とか色々言っています。
それらが全て解消したとしても学校に行けるとは私も思えません。
突っ込んで良いですか。
南極語って‥‥‥‥‥何語?
大丈夫、日本もあるから!!
あ、そもそも旅では日本基地に行けないのか?
とても良いスッと入ってくる話なのに、久しぶりに最後で大爆笑しちゃいました。
ありがとうございます。
どこでもドアがあればな〜、とか、計画、準備、その他諸々を誰かがお世話してくれれば、私も旅行に行く気になるんだろうなーと思ってました。(「旅行は行きたいよ」って気持ちも本心)
P先生の数々の名言(親子は響き合う、最優先すべき人物、そう思うんだね、、)を時々思い出して、2人のうち1人は全く学校に行かない、から1、2週間に1日行くようになりました。「明日は〇〇の授業があるから嫌だな、、、」とか、「行けば楽しいんだけど、行くまでの準備がめんどくさい」とか色々言ってます。少しでもそういう負担が減るように、準備を手伝ってあげたり、嫌な授業の前に早退にしたり、学校に配慮をお願いしたりしてます。
私が旅行に行く気になるのと同じような感じでやっています。根本的な解決にはまだまだ時間がかかりそうですが、ほんのちょっとずつ前に進んでる気はします。p先生の言葉に助けられたからだと思います。
すごくわかりやすい例えです。赤べこのごとくうなずけます。
我が子小2で不登校。なる前は「苦手」という授業を避けて登校したり、休んだりしましたが、「もー無理」で家出過ごしてます。
私自身も「不登校」ではないけど「無理」を取り除いけば「登校できる」
息子と比べると「行きたくない」より「行くべき」が上回ってたと感じてます。
「行くべき」で頑張った「一年半」の息子に乾杯です。。ま、不安もありますけどー!
こうやって書ける場があり、ありがたいです。
いつもありがとうございます。
どこでもドアがあればな〜、とか、計画、準備、その他諸々を誰かがお世話してくれれば、私も旅行に行く気になるんだろうなーと思ってました。(「旅行は行きたいよ」って気持ちも本心)
P先生の数々の名言(親子は響き合う、最優先すべき人物、そう思うんだね、、)を時々思い出して、2人のうち1人は全く学校に行かない、から1、2週間に1日行くようになりました。「明日は〇〇の授業があるから嫌だな、、、」とか、「行けば楽しいんだけど、行くまでの準備がめんどくさい」とか色々言ってます。少しでもそういう負担が減るように、準備を手伝ってあげたり、嫌な授業の前に早退にしたり、学校に配慮をお願いしたりしてます。
私が旅行に行く気になるのとお