相談された。
ゲームは1日1時間以内なら○、超えると△、2時間は×で。
ウチは毎日×なんですが、ヤバイですか?
ゲーム時間の制限は、多くの親御さんが気にするところ。
学校や地域によっては、時間の目安が示されることもあるようだ。
……でもぶっちゃけ、1時間ってキツくね?
上記の相談は、ADHDの小学生の親御さんからされた。
生活は安定していて、情緒も安定。
親御さんの対応は素晴らしく。
学校生活もかなり頑張っている。
なので、学校で頑張った分、家では羽を伸ばしたい。
つまり、ゲームしたい。
親御さんはこの気持ちを分かっており、最低限やることをやっていればガミガミ言わないようにしている。
すごく楽しそうにゲームしてるし。
なんかね、マイクラですげー建築物を造ってるんだって。
目を輝かせて。
うちの子、ゲーム依存ですかね。
こう聞かれたわけだ。
まず、前提としてこれを言っておきたい。
発達障害とゲーム(ネット、動画等)の親和性は高い。
定型発達と比較し、ADHDやASDはゲーム等のメディアにのめり込みやすい。
脳内のドーパミンがなんだとか報酬系がかんだとかの理論は、まぁ置いといて。
平たく言って、「大好き」なのだ。
ゲームなんて子どもみんな好きなんだけどさ。
発達特性を持つ人は、「超大好き」なのね。
加えて過集中があるから、長時間ゲームに没頭できる。
定型発達は1時間で飽きるのかもしれないけど、過集中モードに入った発達障害児はそういうわけにいかない。
1時間でぶった斬ろうものなら、大激怒! 大爆発! が容易に予想される。
発達障害とゲーム(ネット、動画等)の親和性は高い。
だから、いわゆる普通の制限を、そのまま発達障害児に当てはめちゃダメだと、僕は思う。
たいていうまくいかない。
僕の中で、ゲームに対する姿勢が健全か不健全かを見分けるのは、ここ。
飽きたら戻ってくる?
ゲーム(ネット、動画等)って、必ず飽きる。※オンラインゲームとSNSを除く。
飽きたときに、その子はどうする?
すんなり別の活動に移る?
ゲームをやめて、歌をうたったり雑談したり、はたまたおもちゃで遊んだりしますか?
それができるなら、僕はそれで良いと思っている。
たとえ3時間以上熱中していようが、健全だろう。
集中している時は目が輝いているでしょう?
それも大事な学びだと、僕は思う。
逆に、飽きても頑としてゲームにかじりつく?
イライラしながらゲームを続ける?
声かけすると逆切れして、余計にゲームにこだわりますか?
それは、僕は不健全だと思う。
いわゆる『ゲーム依存』の状態だ。
多分、ゲームしてても楽しくないし。
目が死んでると思われる。
ゲームって楽しい。
でも、飽きるんですよ。
それは必ず。※オンラインを除く。
現実世界が楽しければ、その時に現実に戻ってくる。
ゲームは楽しいからやるし、飽きたら現実に戻る。
うん、健全な付き合い方だ。
ゲーム依存って、
しんどい現実から逃げてる
ってことだと僕は思っていて。
現実がしんどい。
目を背けたい。
だから、ゲームに飽きても頑なに続ける。
ゲームのTP (楽しさポイント)は、マイナスにはならない。
ゲームが画面から出てきて文句を言ったり、殴ったりすることはないものね。
身の安全は保証されているわけ。
でも、現実のTPは容易にゼロを下回る。
文句言われたり、否定されたり、時には殴られたり。
じゃあ、飽きてもゲームにかじりつく。
辛い現実から逃げるために。
これがゲーム依存だ。
僕は、ゲーム依存は問題の本質じゃないと思っている。
真に問題なのは、つらい現実だ。
依存ってさ。
それがないと耐えられない! ってことよな。
ゲーム依存は、ゲームがないと(現実がつらすぎて)耐えられない! ってことだ。
だから、ゲームに飽きても現実に戻らない。
戻らなきゃいけないと思ってる。
やるべきことがあるのもわかっている。
でも、ゲームから離れられない。
そんな状態を『依存』と呼ぶ。
じゃあ、飽きた時に現実に戻れるか。
ゲームなしでいられるかが、依存の見極めポイントとなるんじゃないかと。
「やるべきことをやるために現実に戻れるか」も指標なんだけど。
大人だとそうなんだけど、子どもだからさ。
「やるべきことをやらなきゃいけない」って意識が薄いから。
「宿題やっちゃいなさい!」でゲームをやめられる子は多くないと思うんだよね。
だから僕は、「やるべきことをやるか」より「飽きたら戻ってくるか」がわかりやすいと考える。
飽きた時、他の活動をするか。
すなわち、ゲーム以外に、現実世界に楽しいことがあるか。
現実のTPは、マイナスじゃないか。
↑ココだと思う。
発達障害児のゲーム(やメディア)との付き合い方について。
を見ていただけるといいんじゃないかと、個人的には思う。
「○時間以内が良い」なんて、十把一絡げにはできないと思うんだ。
そのためには、その子が今どんな状態でゲームしているかを観察する必要が出てくる。
この辺を観察して、適切なゲームとの付き合い方を決めていくのが現実的だろう。
ルールの決め方は色々だけど、ぜひ、楽しく健全なゲームライフをエンジョイしていただければと思う。
せっかく、発達障害とゲームの親和性って高いんだから。
プラスに利用しないと、つまり楽しまないと、もったいない!
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いつも心に沁みる記事をありがとうございます。
勇気を出して初めてコメントします。
グレーゾーンの高校1年の不登校娘がいます。
ゲームにのめり込むのは現実からの逃避。。。
先生に指摘されると納得します。
娘の場合はSNSで自分のことを知らない人と繋がりを求めます。
夏から海外のサッカー観戦にハマり、同じ趣味を持つ仲間とSNSで繋がってから夜1時までみんなで電話みたいなトーク??をやっています。娘からは同じ趣味を語れる友人がいないから楽しいしストレス発散できると言われ、その気持ちを無碍にできずに今に至ります。
女の子なのでなるべく知らない男性とは繋がって欲しくないのですが、ゲームとは違いいろんな犯罪に未成年が巻き込まれているSNSはどのようにお考えですか?
不登校の中2です。
ゲーム大好きで起きているときはずっとやっている勢いです。でもご飯や寝るのはきちんとしています。
たまに「ゲームしてる時はからっぽなんだ。寂しい」と本音を話したかと思うと、ゲームの内容を楽しそうに話してくることもあり…。最近はパソコンでゲームを作成することもあったり…。
これってゲームとうまく付き合えているといってよいのでしょうか。