「マイペースでいいよ」
発達にデコボコがある子が、よく言われる言葉だと思う。
もちろん僕も同意見。
みんなと同じじゃなくて、マイペースで良い。
ってゆーか、周囲のペースにうまく合わせられないのが発達デコボコなわけで、
でもさ。
それが「ゆっくり」って誰が決めたの?
発達特性がある子には、みんなと同じようにできないことがある。
だってデコボコなんだもの。
当然だ。
そんな子にかける言葉。
「マイペースでね」
「ゆっくりでいいよ」
僕、これには一家言あって。
マイペースが超特急の子だっているよ!
ゆっくりなペースの子は、もちろんゆっくりで良い。
でも、超特急な子が超特急で進むのもまた、マイペースだ。
それもまた、私のペース、マイペース。
この話から。↓
発達デコボコの子は、「過集中モード」を持つことが割とあって。
このときは、マジで超特急!
その分、「ぽんこつモード」のときは遅々として進まず。
コレがその子のマイペース。
少なくとも、僕はこんな感じ。
コメントで、ウサギとカメに喩えてくれた人がいたけど。
まさに、ウサギの歩みだ。
ちょっぱやで進んで、昼寝で停滞し。
カメのように、1歩1歩着実に的なアレが苦手。
苦手というか、どーーーーーしてもできない。
ムラっ気が出てしまう。
そんな子も多いだろう。(僕含め)
このペースを尊重するのも、「マイペースで」ってことよな。
マイペースって、「ゆっくり」という一元的な意味ではないと思うんだ。
僕の外来では、もちろんペースがゆっくりな子もいるし。
超特急な子も結構いて。
高IQの子とか、得意分野のある子。
こう言うんだ。
進むの遅いし。
この子のマイペースは、めっちゃ速い!
すると授業が苦痛、ひいては学校が苦痛となってくる。
案外いるんですよ。
授業が「簡単すぎて」つまんない子。
あ。
授業がつまらないって、激烈にしんどくて。
簡単すぎる場合も難しすぎる場合も、授業がつまらないってモーレツにしんどい。
学校では、大半の時間を授業を聞いて過ごすわけで。
ここがつまらないとマジ拷問。
苦痛でしかない。
このような「速い」子のペースって、尊重されづらい。
速いのもまたマイペースだよなぁと、僕は思う。
日本は飛び級とかできないからなぁ。
じゃあどうするかって。
出来る限りその子のペースを尊重してください。
これしかない。
その子のペースに合わせ、別のプリントをやったり、取り出し授業ができるなら、もちろんそうしてほしい。
「合理的配慮」ってヤツだ。
でも、「出来る限り」ってのがミソで。
必ずしもそうできるとは限らないですよね。
現実問題、学校って集団生活で。
一人ひとりにうまく合わせるのは困難な場面って出てくる。
この場合はしょーがない。
「この子のペースで!」って言っててもラチがあかないので、じゃあこの子が周囲に合わせる努力をしてみる。
はたまた、その活動は逃げる(参加しない)のも選択肢か。
そうやって試行錯誤していく他ないと思う。
困ったことに、超特急な子って、超スローペースな分野も持ち合わせていることが多くて。
「こっちはめっちゃ速いけど、こっちはめっちゃダメ」ってなる。
これにきめ細かく応えるのは、現実的に難しい。
なので、本人がいい感じにストレス軽減できるように。
交渉するか、頑張って合わせるか、はたまた逃げるのか。
体験し、会得していくしかない。
その練習台として、失敗し放題のボーナスステージがあるんですが、わかります?
そう、子ども時代!
子どもの頃は、失敗しても大したダメージにならない。(ことが多い)
学生なら、やらかしても挽回可能。(なことが多い)
大人になってからと比較し、圧倒的に受けるダメージが少ないのだ。
ぜひとも失敗するのだ。
子どものうちに。
ボーナスステージ。
本人が考え、時に本人と大人で一緒に考え、本人が実践し、ケツを拭く。
失敗して、考察して、次は別の方法を試してみる。
子どものうちに、そんな経験をしてほしい。
転ばぬ先の杖は、本気でシャレにならないときに取っておいてさ。
たくさん失敗させて、親御さんは骨を拾ってやってほしい。
骨拾いババァ、骨拾いジジィのみなさん、ここが出番ですぜ。
子どもだからこそ失敗できるんだから、ぜひ安心して失敗させてやってほしいと思う。
「安心して失敗する」って変な言葉だけどさ、大事なことよな。
マイペースにはいろいろある。
遅いこともあれば、速いこともある。
いずれにしても、他の人とうまく合わない。
発達デコボコってそういうことだ。
めんどくさいけどしょうがない。
じゃあどうするか。
合わせてもらうのか、自分で合わせるのか、はたまたうまく逃げるのか。
試行錯誤して、たくさん失敗して、体得してほしい。
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子供時代がボーナスステージ、おっしゃる通りですね。私が子供の頃は、色々な仕事が、輝く将来安泰な職業でした。安泰なもの、将来にわたって確実なものが存在しない時代に、長い人生を生きる子供達に何より必要なものは、失敗しても、前でも横でも一旦斜め後ろでもいいから動ける力なのでしょう。
失敗を致命的にしない方法、失敗を恐れて身動き取れなくならないための方法は、失敗に慣れること。親こそがまず、ごめんテヘペロを身につけるべきなのかもしれませんね。昨日同職種の夫に仕事での事を話したら、「焦りすぎ、そんなに急いでやる事じゃない」と言われて、冷静に考えるとそれもそうだよねって思ったので、やっぱり私は人より失敗を恐れすぎているんだなという気はします(まあでも、最悪の想像をしてしまう分、普通の人にはどうって事のない普通の結果でもハッピーではありますね)。
しんどい思いを自分の子がずっと抱えて生きていかずに済む様に、見えていても見えないふりをして先回りは避けて、骨を拾える様にしたいと思います。凹凸のある子が、どんな場所ででもうまくやっていける訳がないし、長い人生で必要な武器を錬成している過程として。
考えすぎる子は、友達に気持ちを打ち明けるスキルも、親が先回りしない中でやっと育っていくものだとも思いますし。それも、居場所を広げるための、大切な一歩ですよね。
子供時代は失敗し放題のボーナスステージ!
なんとうまい表現をされるのか。
さすがP先生。
毎回先生のブログはなんと勉強になるのかと思いながらも、楽しく拝見させて頂いております。
不登校娘には安心して試行錯誤を繰り返し、たくさん失敗してもらいたいものです。
私は骨拾いに徹します。
私がそうです。間違いなくADHDだと思うんですが、ゆっくりが苦手です。すごく腑に落ちました。
あ、それと間違いなくギフテットじゃないです。笑
わー、もー、その通りでした。授業の最初でおよそ分かってしまってつまらない。先生がここ大事!って言ったら一応チラ見するし、教科書とノートにチェックするけど退屈で、殆ど寝たり他の資料集見たりして暇潰ししてました。外国には飛び級があるって知った時めちゃくちゃ羨ましかった(T-T)
家庭科や美術等も先々終わってしまうので、先生と手分けして終わって無い人を手伝ったり。
だけど、運動は全くダメで遅いトロイ笑笑
足手纏い感半端なかった(T-T)運動会とか拷問。
学校が無駄に何年もダラダラ続いてる気がして苦痛だったのは間違いないです。
それでも見た感じ、走るの遅いし運痴だし、授業中居眠りしてるし、頑張ってないキャラで協調性も無いという。そんな学生時代でした。
残念だけどムラのある性格は治らない、と思って諦めかけていました。
ムラがあるのはいけない、というのを読むと自分はダメだと凹んでましたが、それでもいいんですね。ホッとしました。
もしや、息子も娘も同じタイプのようです。
息子、不登校ですが、学校へ行くモチベーションが上がらないです。不登校前は担任に「どうやってそんな効果的な家庭学習をしているんですか?」と聞かれるくらい出来ていたようです。ギリ宿題しかやってなかったですが。
娘、プリントをやるモチベーションが上がらないですが、やれば数分で出来るんです。
どうしたものか。
先生の過去記事まだ全部は読めてないので、読んでみます。