起立性調節障害。
ご存知、朝起きられない病気。
この話になると必ず出てくる議論。
起きないから生活リズムが崩れ、体調が悪くなるんだ。
対抗勢力は、
起こす起こさないの問題じゃない。
少しは勉強しろ!
これね。
よくある議論。
僕は、ODの人と会った回数でいうと、日本人の上位5%には入ると思われる。
日々めっちゃ会ってる。
そしてめっちゃ話を聞く。
数の暴力。
さて、そんな僕の意見。
上記の論争について、僕はなんと言うでしょうか?
それは
どーでもいいよ。
どっちかというと後者(体調悪くて起きられない)に軍配が上がるが、でもどっちでもいい。
本質はそこじゃない。
と、思う。
※メンタルの関与したODの話です。純粋な身体疾患としてのODについては今回は除外。
OD (起立性調節障害)。
朝起きられない病気。
マジで体調が悪くて朝起きられない。
無理に起きたら一日絶不調!
頭は起きても身体は寝ている状態なので、それを無理やり起こすってマジで無理なんです。
うん、これは事実。
でも、「起きないから余計に体調が悪くなる」というのもまた事実で。
朝起きられずに昼まで寝て、夜は元気。
寝る時間が遅くなり、翌朝さらに起きられない。
これを繰り返し、生活リズムがバラバラ。
そりゃ頭痛、腹痛、倦怠感とか、出てくるよな。
これも事実。
上記の論争って、タマゴが先かニワトリが先かって話で。
でも、起きられないもんを「とにかく起こせ!」と糾弾しても解決には結びつかないので、どっちかというと「とにかく起きられないんだよね」を肯定する方が良いと考える。
まず「マジで起きられないよね」を認めないと、「じゃあどうしようか」につながらないから。
でも、「マジで起きられないんだよねーしょーがないよねー」と何年も言い続けることにも意味がないと思っている。
解決しないもの。
だから、冒頭の論争は、基本的にはどっちもどっちというのが僕の意見。
なので僕は外来で、
「マジで起きられないよね」
「でも、なんとか生活リズムを整えようね」
の話はもちろんするけど(一般的な生活指導はそりゃしますよ。薬物療法より生活指導が大事だと思っている、平均的な小児科医です。)、あまり白熱させないようにしている。
親御さんが「ホラごらんなさいアンタ生活リズムよ!」と喰い気味に来ても、まぁまぁまぁ。
ふわっと、「一般的にはこうだから、知っておいてね」程度に止めている。
なぜなら。
問題の本質は、起きたくないことだから。
OD。
朝起きられない病気。
なんだけど、「起きられない」に先行して「起きたくない」が存在している可能性が、非常に高い。
※純粋な身体疾患としてのODは除きます。
起きたくないんです。
日中の活動がしたくないのです。
学校、行きたくないんですよ。
でも本人は、これをこのまま認識できない。
「オレはとにかく学校に行きたくないんじゃ! 絶対に休むんじゃー!」と言える子は、この病気にならない。
ODが原因で遅刻、早退、不登校とかなっちゃう子は、たいてい以下のように考えている。
行かなきゃいけない。
でも、どうしても体調が悪くて行けない。
体調が良ければ行きたいんだけど……。
「行きたくない」の隠れ蓑に、「起きられない」を使っているのだ。
本音は「行きたくない」。
でも、これは無自覚で。
「行くべき」「行かなきゃ」って誰よりも強く思っている。
そして「行きたくない」なんてダメな自分が認められない。
「行きたい」と「行くべき」の区別がつかず、「本当は行きたい(行くべき)んだけど」と本気で思っている。
そんな、物わかりの良い『いい子』が発症する病気だ。
「学校に行きたくない」よりも、「体調が悪くて行けない」の方が、心が守られるからね。
だから親御さんは、この隠れ蓑に気づいても、剥がさないであげてほしいんだけど。
心が丸裸になっちゃう!(心が丸裸?)(もうちょっといい表現ないの?)
OD症状で昼夜逆転する子もそう。
でも学校に行けない自分が悪いから、放っといてくれとも言えないし。
で、「起きられないから(隠れ蓑)」昼夜逆転し、生活時間をずらすことによって家族と顔を合わせないようにするのだ。
本質は「親と顔を合わせたくない」わけよ。
無自覚かもしれないけど。
ね。
起こす起こさないの問題じゃないでしょ?
そして、起きられないんだよねーって言っててもしょうがないじゃん?
ODの難しいところは、「本質を覆い隠すために出てきた症状」って点だと思う。
本質(起きたくない、学校に行きたくない)を覆い隠すために、症状(起きられない、動けない)が必要だった。
心を守るために、発症せざるを得なかった。
丸裸では、心が風邪をひく。(心が丸裸で風邪?)(どういうこと?)
なので、いくら症状にフォーカスしても根本解決にならない。
ここが難しい点だと思う。
たまに、症状にフォーカスするだけで症状が軽快するケースもある。
周りが働きかけることで本人が安心し、本質的な心配事が解決するケースだ。
例えば、起きられないので別室登校を認めたところ登校のハードルが下がり、結果OD症状も良くなるとか。
でも、もちろんしないケースもあって。
なにがつらいか、どの程度のサポートが必要かは人によるから。
そうすると、「あの子はこの対応で軽快したのにこの子はしない!」となり、支援者が混乱しやすい。
症状がよくなったのは、「別室登校OKにしたから」じゃなくて、「登校のハードルが下がってストレスが減ったから」だ。
当然だけど、どんなサポートでどの程度ストレスが減るかは人による。
ここを認識しないと「アイツは気合が足りん!」みたいな話になりがち。
この辺の混乱から冒頭の「朝起こせば治る」「いやいや治らない」の論争が起こるのだと思う。
結局、まずはODという隠れ蓑に逃げ込ませること。
そして
これしかないんだろうと思う。
たまに、本質と向き合わずになんかフワッと良くなる子もいるけどね。
それはラッキーな例で(でも果たして本当にラッキーなのか。向き合う機会を逃したとも言えるのでは?)、基本は「ゆっくり向き合う」なのだろう。
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ODを発症してから12月で、丸2年になる、中2男子です。体調が良くなり出すのに1年近くかかり、徐々に気持ちも上向きになりました。今は、明るい不登校実践中で、月に2.3回くらい学校の保健室まで顔を見せに行って、数人の先生と話すのが、約束になっています。
先生のおっしゃるように、息子は、今、
「自分と向き合う」時間を過ごしています。
将来のことも、自分で調べて話してくれるようになりました。また姉とも仲がよく愛犬と戯れて遊びます。
以前は、「とにかく、早く学校に復帰して!」と願っていましたが、今は、今しかない息子の大切な時間をじっくりと過ごして欲しいと思っています。「大丈夫、いつでもあなたの味方よ」と伝えています。
2年、、、
長いようであっという間でした。
以前、嫌だったことを、ポツリポツリと冗談まじりに話してくれるようになりました。
息子にとって、というより、家族にとって、なくてはならない時間でした。
心優しい息子、将来が楽しみです。
↑こんなことを言えるようになったのも、先生のブログのおかげです。これからもよろしくお願いします。
以前P先生が書かれていた「一旦深くしゃがまないと、ジャンプなんてできない」と言う言葉を思い出しました。ゴレンジャーネタ、黄レンジャーの「自分に期待されている役割を察してカレー食ってるのが大人」という言葉も。どちらの言葉もどの記事だったかわからないので、細部は違っているとは思いますが、全然違ってたらごめんなさい。
どのお子さんにも当てはまるわけではないのはもちろんですが、親がそう思っている事で楽になって、自分を過度に責めずに済むタイプのお子さん、社会で主役になる、キラキラする努力は無駄だったけれど、それでも自分なりの役目があって、そこを好きだと言ってくれる人にいつか巡り会える子は、確実にいると思います。
昨年度留年し、2回目の高2女子です。留年してでも今の学校で学びたいと話し、頑張っていましたが、テスト前から行けなくなりました。
起きたくない病気、その通りですね。
頭痛、倦怠感がなければ、朝起きられれば行けるのに、、、と言います。運動会やクラスマッチなどイベントには行きます。本当は授業や、テストがイヤなんだと思います。(進学校なので、授業も大変。本人のプライドも高い。)
困っているのは、病院へ行かない事。自分で治すから放っておいて、と言います。そうは言っても、治すための努力(生活習慣)をしているようには見えないのですが、、、。
雑談はしますが、身体の事や学校の事を話すと、明らかに嫌な顔をします。友達もいますが、明るく話し、悩みを話したりはしていないようです。自分の弱さを見せられない、認められないのだと思います。夜になると元気になり、登校意欲を見せます。高校生(18歳)でも隠れ蓑を剥がさずに待つしかないのでしょうか?学校を辞めるなど環境を変えた方がいいのでしょうか?
時ばかりがすぎて焦ります。
もう10年ほど前になりますが、うちの子が朝起きられなくなり、無理に起こすと息切れや頭痛がするようになり、不登校気味になりました。
まだ当時は起立性調節障害という病気はあまり知られておらず、私はネットで検索してこの病名が出てきて小児科に検査に行きました。
しかし、身体的な起立性調節障害には当てはまらず。
通院していた思春期外来でも病名はつかず。
悶々としました。
結局、やっぱり学校に行きたくないというのが体に出ていたと今では分かるのですが、当時は私も辛かったです。
今は我が子は自分の夢に向かって頑張っています。
いつもためになるお話をありがとうございます。
娘は小3の時に突然体調を崩し児童精神科ではODの傾向と言われました。2ヶ月かけて体調は戻りましたがそのまま不登校に。小4になり再登校をと頑張りましたが、学校が合わないと自覚し現在は週2の2時間ずつ登校しています。学校に行かなくなってからは体調は良好です。
勉強はしているしお友達とも遊んでいます。私としてはこのままでも十分と思っていますが、度々ペリーに心を揺さぶられます…。
公立の学校が合わない、不安が強くてお留守番できない、私は働きに行くことができません。私立やフリースクールなどは費用も高く、結局お金がないと家庭以外の最適な環境を見つけてあげられないのかと虚しい気持ちになります。
もう少し受け皿があるといいのですが…。
悩みは多いですが、娘の1番の味方でいられるよう見守っていきたいと思います。
朝起きれなくなって丸2年。
今だからこそ、その当時の子供の気持ちがしっかり理解できました。
P先生の説明に納得です。
当時は頭では理解したつもりでも親が
大きく構えて、そのままを受け入れるのは難しいと思います。
ちなみにうちの子は、少し元気になったタイミングでバイトを初めましたが、無理したみたいで、メンタル、体重共に落ちて病院に。精神科の先生は朝起きれなくなった中3の秋から、うつ病だったと
診断をされました。
薬を飲んで、朝から元気に起きれるようになりつつあります。
3年目にして初めて熟睡が出来ると
喜んでいます。
薬に頼らず、生活習慣で改善出来ればいいんですが、こんな事なら早く病院に行って、薬を飲ませれば良かったのでは?
でも、今がこの子の睡眠障害を治すタイミングだったのか?などと、、、
P先生、迷える親の心に寄り添ってくださって、いつもありがとうございます。
中2の長女、不登校1年超えですが。
学校に行きたくないから、
自分から「私は起立性調節障害やから
起きられない」と
休み出したが。
母(私)が不登校を容認してから
「実は違った。」と暴露した。
行きたくないから、起立性調節障害のフリをしたと。
で、最近頭痛が酷くて、
不登校なので起立性調節障害の疑いがかかり??
検査する事になった。
本人は絶対に違う!と言ってたのに
あっさり診断されました。
なかなか都合の良い病気ですね 笑
不登校の娘曰く、
不登校の原因が起立性調節障害というのは
全く違う!
らしいです。
不登校の娘に
起立性調節障害からの
五月雨や遅刻容認の男子友達がいますが、
彼も学校が合わない。と
言うてたみたいです。
中2男子ODです。朝は起きるけど気持ちが悪い為、学校は休んでいます。中1の冬から中2の5月までは遅刻したら休んだりで頑張っていました。学校には行きたいけど体調が悪くて行けないと言います。土日は朝から動けるし、平日の病院も朝から行けます。友達が作りやすいから全日制の高校に行きたいと言いますがこのままではおそらく行けません。通信制でも友達は作れると言っていますが、イマイチ納得していない様子…どうしたら学校に行けるのか、又は通信制に行きたいと思うようになるのか、日々悩んでおります。私の心配をよそに毎日夕方からは元気ですが…
先生のブログで心を落ち着かせています。いつもありがとうございます。