僕、基本的に物事にはそうなった理由があると思っていて。
不登校にもきっと、理由がある。
不登校になった直後は、親御さんも本人も「不登校」という事実だけでパニック、いっぱいいっぱいだろうけど。
少し落ち着いたら、「なぜ不登校になったのか」に目を向けても良いんじゃないでしょうか。
不登校の理由。
本人に聞いても、正直よく分からないことが多い。
理由は一つじゃないんだろうし、本人もよく分かっていないケースも多いと思われる。
外来では、一応僕は聞くんだけど、要領を得ない(具体的に解決できる内容じゃない)ことが大半。
情報の洪水で無量空処だ。
結局、
学校が合わないから
なんですよね。
合わないの。
生まれつきそういう子なのよ。
僕、最近思うんだけどさ。
何らかのシステムを構築すると、そのスキマに落ちる人が必ず出てくるんだよね。
各種補助金とか支援もそうだし。
ワクチンの制度とかさ。
年齢や収入で切るから、制度からこぼれる人、納得できない人が絶対に出てくるよね。
発達や心の分野だと、発達障害の線をどこで引くかとか。
誰は配慮が必要で、誰は必要ないのか。
普通級と支援級の狭間の人。
A小学校ではいい感じの支援が受けられて、B小学校ではうまくいかないとかね。
どこかで線を引いて仕組みを運用する以上、スキマの人は絶対に出ちゃうと思うのね。
そう考えると、学校が「合わない」人も出てきて当然だよなと。
学校という仕組みの中に、全員を包括しようとしているわけで。
義務教育は特に。
どうしても「合わない」人が出てきちゃうのは、考えてみれば当然で。
だからまぁ、不登校って当たり前だよなと最近思う。
集団行動がイヤと言っても、個別指導できるわけじゃないし。
嫌いな科目があっても、好きなものだけ学ぶわけにもいかない。
空気がイヤとか雰囲気が嫌いとか、そうそう変えられないしね。
※このあぶれちゃう部分をちょっとした工夫で乗り越えられるなら、これを「合理的配慮」という。これだけで格段に適応のよくなるスキマの子も多い。
年齢と居住地域で機械的に集められ、既定のカリキュラムに乗せられるんだもん。
そりゃ合わない人も出るよなーと。
※現行の学校システム自体に反対なわけじゃないです。多くの人には合うと思うので。念のため。
でね。
お子さんは、学校が「合わない」から不登校になったわけですが。
じゃあ、どんなところがどんなふうに合わなかったのでしょうか。
というのをじっくり考えてみても良いんじゃないかと思うわけです。
なんでそう考えたのか。
なぜ「行かない」という行動を選択したのか。
答えは、子ども本人にしかない。
「不登校」という行動(矢印)は同じでも、理由は色々だろう。
不安が強すぎて極端な行動(不登校)に出たのかもしれないし。↓
入ってくる刺激が多すぎて疲れたのかもしれない。↓
他にも、
など、色々考えられる。
みんなそれぞれ違うだろう。
不登校という行動(矢印、アウトプット)に目がむきがちだけど。
そうなるに至った経緯の方が知りたい。
どんな刺激(窓:インプット)が、
どう増幅(玉:フィルター)されて不登校になった?
こっちの方が、僕は気になる。
勘違いしてほしくないのは、「理由がわかったらじゃあ解決しよう!」ってことじゃない。
ただ「知ろう」ってだけね。
環境に適応するよう矢印(アウトプット)を変える、つまり不登校を登校に変えるのは、確かに強力なライフハックだ。
でもこれは、本人が自分の玉を知り、納得した上で変えるのが絶対。
自分の玉の特徴も知らないまま、つまりなぜそうなったのか分からないまま、とりあえず「正解」とされる方向に矢印をねじ曲げる。
まぁムリよな。
きっとうまくいかない。
どうしても人格否定、つまり玉の否定になっちゃうもん。
「玉がおかしい!」ってなる。
これ、ダメなやつ。
だから、解決しなくて良い。
まずは、ただただ客観的に知るだけ。
その子、どんな子?
どんな窓を持ってて、どんな玉で増幅したの?
僕は、不登校の解決は「登校」じゃないと思っている。
「社会適応」だと思うのね。
納得してその子らしく、生き生きと社会生活を送ること。
とりあえず登校しました、めでたしめでたし、じゃない。
だって、同じような理由でまた壁にぶち当たる可能性が非常に高いもの。
そこに窓があるんだもん。
そういう玉を持ってるんだもん。
その子はどんな「窓」を持ち、どんな「玉」で増幅しているのか。
不登校をきっかけに、ここが知れると良い。
でも窓は後から閉じられるので、特に注目すべきは玉だ。
どんな刺激にどう反応する玉を持つのか。
ここを見てほしい。
何色の、どんな形の玉?
多分、ちょっと変わった玉だ。
変わった色や形をしている。
でも否定しないでほしい。
どんな玉でもそのまま受け入れてください。
玉の観察の例:
例えば本人の言う不登校の理由が、「嫌なヤツがいるから」なら。
そのまま言葉通りに受け取らず、ちょっと掘り下げてみる。
↓
「嫌味を言われると強い不安から増幅してしまい、過去にあった嫌なこととも繋げ、抱えきれない巨大な不安となる。
しかも相手に悪気がなくても悪く受け取ってしまう。」
↓
さらに、悪い面だけじゃなくて良い面も。
きっと強みと弱みは裏表だ。
↓
「悪いことに敏感な分、良いことにも敏感で、ちょっと褒められるとめっちゃハッピー。
人に期待されると実力以上のものが出せる。」
↓
さらにその先まで見通せるとなお良い。
↓
「期待されると頑張りすぎて疲れちゃうことも。期待を適度に受け流せると将来的にも楽になりそう。」
こんな感じ。
「玉」の性質と、それによって取りやすい「矢印」を知っておく感じね。
これがわかると未来に生かせる。
目の前の不登校だけじゃなくて。
なぜそうなったか、その子がどんな玉を持つのか見てほしい。
さらにはこれから先、脈々と続いてく人生を見据えられるとなお良い。
親御さんが理解した「玉」を、時期を見ながら本人の自己理解につなげられると良いと思う。
きちんと理解した上で敢えて行動(矢印)を変えたのなら、それは本質的な不登校の解決だ。
自分を知っている人は、ピンチに強い。
何を考えてるかさっぱり分からない。
ありますよね。
次回これについて書きます。
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うちの子は現在高1で、別室登校が小5から現在まで続いています。学校が辛くなったきっかけは、小3の頃に同級生が手に持っていた鉛筆が喉元をかすめ怪我をしたことで徐々に教室に入れなくなりました。小5くらいからメンタル面が悪くなり心療内科を受診。その後 発達外来へ変更しWISC-Ⅳを受け知覚推理が高いことがわかりました。不安障害と診断されたので登校は本人が調整しながら短時間、別室でずっと続けてきました。小学生の頃は学校が辛い理由を「わからない」と言っていましたが、最近「今だからわかる当時の気持ちとか今辛いことって何かな?」と聞くと、「小学生の頃はつまらなかったうえに怖い思いをして益々嫌になったからと、何かわからない不安感があったから」と教えてくれました。現在は「教室で過ごしていると違和感を感じる」「授業の進み方(例えば数学の途中計算)にモヤモヤする」「先生からの理不尽な対応(誰かが事を起こすと全員で怒られる等)にモヤモヤ…」「疲れる」のが理由だそうです。
理由が色々聞けたけれど…少しずつ本人が対応できる術を身に付けていかないといけないよな~と思っています。メンタル面の弱さもあるので、気を付けているところです。
今年通信制高校の2年生になった娘は小学校6年生から中学の3年間不登校でした。きっかけは仲が良かった友達に意地悪をされたこと。中学校は違うクラスにしてもらいましたが行かれませんでした。でも自分で選んだ通信制高校は問題なく行けており、私の中では(たぶん娘の中でも)解決したと思っていました。しかし、不登校になってから理解を得られなかった父親を嫌い、最近は父親の物音がする家は休まらないから家に居たくないと鬱のようになってしまいました。2つのことから、この子は何か一つ嫌なことがあると、その全てが嫌になってしまう特性があることに気がつきました。中学はクラスが違くてもその嫌な友達が中学校にいるから中学校全部が嫌。だから行かない。今回は父親が嫌。父親のいる家は嫌だから家を出たい。その場を避ければその時は楽になります。毎日何時間でも泣かなければいられないような不安定な心も落ち着きます。でも、この先、自立していくことを考えると避けることだけがよいとは思えず、何かいい方法はないのかと悩み中です。つまづくのには理由がある。その奥にあるものを知ることが大切なことを痛感しています。
「自分を知っている人はピンチに強い」本当これだと思います。特性は悪いことではなく、これを理解して生かせることを子供と一緒に考えていければと思っています。