Categories: 心理学

自分を変えちゃダメ!!!② 〜矢印の話〜

前回、窓の話を書いた。

『玉』を変えずに『窓』を閉めよう!

って。

(↑これだけ聞くとマジ意味不)

自分を変えちゃダメ!!!① 〜窓の話〜この仕事を続けていると、ホント思う。 自分を変えちゃダメだ。 このブログを読んでいるお子さんには、き...

 

その続きで、矢印の話。

なんの話かって?

説明しましょうぞ。

 

矢印の話

入ってきた刺激は、その人というフィルターを通って出力、つまり行動にうつされる。

だから『玉』によって行動が変わる。

同じ刺激でも、個性によってどう反応するかが変わるのだ。

 

平均的な人の反応がこう↓だとすると。

 

最近よく話題に出している、不安の強い人

この人は、こんな感じ。

 

 

同じ刺激を受け取っても、この人は不安が強いので……

 

 

アウトプット(青矢印)がめちゃデカい!

過剰な反応を起こしたりする。

 

「不安が強い」って個性から、受け取り方や行動が変わる。

この人の玉(濃いピンク)は、不安を感じやすい個性を持つ。

 

この人は不安が強いから反応が過剰になったわけだけど。

個性によってはアウトプットが斜めになったり、訳わからん方向にいったり、まぁ色々だ。

 

個性って人によってホント様々で、不安を感じやすい人もいれば、粘り弱く頑張れない人もいるし、人情家、豪快な人、繊細な人、ポジティブな人、たけのこの里派、赤いきつね派……もうホント色々。

 

僕、この『玉』は変えちゃダメだと思うんだ。

 

確かに『玉』のせいで、社会的にちょっとアレな反応をすることがある。

え、なんでそこでそう考える……? って。

みんなと違う、変な反応。

認知の歪みがある人は特に、トラブルの原因となることもしばしば。

 

 

でも、ここは変えちゃダメ

そのままでいい。

むしろそのままじゃなくちゃダメ

 

 

ってゆーか多分、そんなに都合よく変えられない。

どんなに自己否定しても、別の誰かにはなれないわけで。

 

『玉』を変えようとしてもきっとうまくいかず、色々悪化。

自己肯定感もへし折られるし。

ドツボにハマる気しかしない。

実際、そういう人をたくさん見てきた。

 

だから、『玉』は変えちゃダメ!

 

矢印を変える

『玉』は変えない。

その子がそう思ったなら、そのまま尊重する。

 

だけど、それだとトラブルや困ったことが起きちゃう。

じゃあどうするかって。

 

① 窓を変える

じゃあ、『窓』を変えるのはどうでしょうかという話が前回。

 

困ったことになっているなら、きっと要らん窓がある。

「〇〇すべき」みたいな思い込みね。

これを手放していくのは、理屈的にも正攻法だし、うまくいく確率が高そうだ。

そもそも要らん刺激をスルーできれば、問題にならないわけで。

 

その子、どんな思い込みを持ってる?

どんな『窓』から世界を見てますか?

 

② 矢印を変える

もう一つ。

『矢印』を変えるのも効果的だと思う。

 

入ってきた刺激が、『玉』を通して増幅や歪曲される。

日常生活に支障をきたすレベルになっちゃうと、困っちゃうわけだ。

 

でもこの場合も、「そう感じた」のはそのまま。

ここは変えない。

『玉』は変えない。

 

その上で、アウトプットを変えるってのはどうでしょうか。

という提案です。

 

例えば、

例;必要以上に不安に感じて身動きがとれなくなった

とする。

 

すごく不安に感じた。

↑ココは変えない。絶対に変えない。

不安に思ったなら、それはそのまま受け止める。

 

で、

あとで冷静になるとそこまで不安がる必要はないと理解でき、怖くてもトライしてみた。

↑ココを変える。

アウトプットを変える。

「不安に感じた」気持ちはそのままに、じゃあどうするかの矢印を変えるというか。

 

例;新しいものが気になり飛びつきたくなった

なら、

新しいものが気になった。

↑ココは変えない。

気になったんだよね。

うん、正直めっちゃ気になった。

 

でも、

よく考えると、目の前のことを先に終わらせるべきだと気づいた。

↑ココを変える。

「気になって飛びつきたくなった自分」は否定せず、その上で行動を変える。

 

これならできそうだ。

 

 

自分の思いは否定しない。

思いって、「反射」「反応」に近い部分ね。

これは変えられないし、変えなくていい。

「不安になった自分」や「飛びつきたくなった自分」は、そのまま肯定する。

そのままでいいし、そういう人だ。

『玉』は変えない。

 

その上で、行動を変える。

アウトプットは変えることができる。

感じたままバカ正直に行動する必要もないわけで。

その場に合った行動を選択することで、適応度を上げる。

 

これは実現可能だろう。

有効な手段だと思う。

 

まとめ

『玉』は変えない!!!

 

変えるのは、『窓』と『矢印』。

入り口と出口を変えるイメージね。

 

 

その人の本体は変えない。

変えちゃダメ。

 

こんなイメージでいくと、成功率が高いように思う。

というか、うまくいく人は大抵ココを大事にしているように思える。

 

スゲー余談だけど、心理療法ってこんな方針なんじゃないかなって思った。

窓を閉じるのが、「スキーマ療法」で。※要らん価値観を捨てていく

矢印を変えるのが、「認知行動療法」的な感じじゃないかなーと。※捉え方を変えて行動を変える

詳しくないけど。

 

とりあえず僕は『窓』と『玉』と『矢印』のイメージで考えている。

 

 

自分の核である『玉』は変えない。

あなたはそのままでいい。

ってか、そのままじゃないとダメ!!!

pediatrician-p

View Comments

  • いつも先生のブログを楽しみにしています。

    小学5年生になった息子(ASD.ADHD)は不登校になって1年2ヶ月になりました。
    ここのブログでブレそうになる親の心を何度も立て直してもらいながら過ごしてきました。
    息子は回復期に入り、たまに友達と遊んだりしています。全くしなかった勉強も始め、ゆっくりですが楽しく学んでいます。

    2ヶ月前から下の子が不登校になりました。
    同じような特性をもっているので学校生活はしんどかったと思います。
    兄が不登校になった時は誰とも会えず引きこもり状態だったので学校に行けないのは仕方ない、と思ったようでしたが、兄が見るからに元気になったのに学校に行かない事に納得がいかないようでした。
    認知の歪みも酷く、上の子よりもしんどさを多く抱えている子ですがいいところもたくさんあります。玉は変えず窓と矢印を変えてあなたのままでいいんだよ、と本人がどんな自分も受け入れてくれるようになればいいな、と思いました。
    新学期になり、学校から登校刺激されたり勉強するように言われたりでまたブレブレの心になっていましたが立て直せました。ありがとうございます!!

  • 先生いつもありがとうございます(^^)
    玉は変えない
    親の玉も子供の玉も変えず、自分を大事にし出してだいぶ楽になりました。
    たまに、育児本やブログ等(こうすべき!!親のしつけ不足!!)
    みたいなのをみて、他の玉と比べたり不安になりはじめちゃいますが💦
    世界に1つしかない玉を大事にするって決めた自分を思い出し冷静さを取り戻しています笑
    こんなに人口いるんだから、1人くらい変わった玉でも良いやぁ〜って開き直ってます。

  • 「窓」の話、環境が変わったこの時期に先生の傑作を拝借して話すと、スーッと入ってくれた様子の子供たち。
    「玉」は「自分らしく楽に生きたらいいんだよー」に置き換えてみましたけど、私も「自分らしさって何?」と悩んだ若い頃を思い出して、「あれっ?マズったかな?」と。(・_・;
    あ、でも自分探しの長旅もいいのかな。と思い直しながら「矢印」を読みました。
    最適な時に最適な気付きをくれる宝物のサイトです。
    いつもお忙しい中、情報発信してくださりありがとうございます。

  • 先生、いつもありがとうございます。
    (*´▽`*)
    とてもわかりやすい例えですね。
    専門的な心の本を読んでもなかなか自分に生かせませんでした。
    玉と窓と矢印だと簡単で心掛けやすいし、子どもにも伝えやすいです。
    ありがとうございます。

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