Categories: 親子関係

あしたにたねをまこう!

全てが解決する魔法の言葉なんて、存在しない。

けど、あえて挙げるならコレだと思っていて。

 

あなたはそう思うのね。

 

これを言うと、結構な割合で言われるのだけれど。

 

使ったけど、うまくいきません

 

即効性は、さほどない

この話を書くと毎回言われる。

 

言ったけどダメです。

 

とりあえず子どもの話を聞いてみた。

肯定してみた。

 

でも、子どもの爆発は止まらない。

 

魔法の言葉とか言って、魔法でもなんでもねーじゃねーか!

 

ってことですよね。

これで素直になるわけじゃないし、問題行動を理解して反省するわけでもない。

 

 

それな。

そんなに即効性ないよ。うん。

 

そんなにすぐ効かない。

多少の効果はあるかもしれないけど。

シン・ゴジラ → 昭和ゴジラ

くらいにはパワーダウンするかも。

 

普段話を聞いてくれない親が、なんか今回は聞いてくれた。

ん? って思って、ちょっと軟化することはあるだろう。

 

相手(親)に攻撃されないと、こちら(子)の攻撃もゆるむ。

ちょっとはパワーダウンする。

(これだけでも十分効果あると個人的には思うけど)

 

でも、ゴジラは来るんよな。

じゃあダメじゃん、って思う?

 

 

僕の推奨する「傾聴」や「魔法の言葉」は、即効性はさほどない。

「雑談」もそう。

 

イメージ的には、未来にタネを蒔いている感じ。

 

あしたにたねをまこう

 

ってことだ。(パプリカ)

 

 

その姿勢が、将来的に効いてくる。

今どう対応するかで未来が変わる。

と思う。

 

たとえシン・ゴジラは来ても、シン・ゴジラZは来ない。

シン・ゴジラGT

シン・ゴジラ超

↑この辺も来ない。(なんでドラゴンボールシリーズ) (だって強さがインフレしていくからね)

 

そのために、今タネを蒔いておくイメージだ。

 

逆算して考えると

僕の視点だから見えることがある。

僕の強みは、たくさんの子どもたちを見ることだ。

 

数を見ると見えてくる。

それが、そうなった理由。

問題が問題となった経緯。

 

どこが分岐点だったか。

どこでどう対処したらよかったか。

 

過去にこんなことがあったから、今こうなってるんだろうなー

 

というのが、透けて見える。

過去があるから今こうなってる。

 

これは僕がすごいんじゃなくて、たくさんのケースを見るゆえだ。

数を見ると見えてくるのよ。

たくさん経験すると、僕レベルの洞察力でも見えてくる。

 

 

でさ。

過去にこんなことがあったから、今こうなってるんだろうなー

こう思うなら、まだ問題が起きていない別の子に言いたいじゃん?

 

今こうしておく方が、後々いいと思います!

 

だって、すでに問題が起きちゃった子に言っても遅いもん。

だからこそ、今、問題が大きくなる前に言いたい。

 

  • とにかく話を聞いてあげてください。
  • 気持ちを素直に吐き出させ、大人が肯定してください。

 

これが未来に効いてくると思うから。

 

「その時」に効く

即効性はなくても、じわじわ効く。

むしろ即効性のある方法なんて、すぐに効かなくなるんだから。

時間をかけて関係性を作るのが正攻法だし、成功率も高い。

 

 

子どもは、今は言うかもしれない。

 

女の子
弟が悪いんだ!

私は絶っっっ対悪くない!

 

弟を蹴り飛ばしたことは棚に上げ、自分の主張ばかりするかもしれない。

 

でも、蹴ってはいけないって分かってる?

 

ここでお説教しそうになる気持ちをぐっとこらえて。

あとで気づく。

自分の主張をちゃんと吐き出したら、落ち着いて考えられる。

 

女の子
でも、蹴ることはなかった。

ごめんなさい。

 

 

即効性はないかもしれない。

でも真の解決、つまり「自分で理解する」に至るためには、まず自分の主張を吐き出す必要がある。

それがどんなに身勝手なものでも。

自分が何に怒ってどう不満なのかを確認しないことには、相手の立場になんて立てるはずがないんだから。

 

コレね。↓

なんで子供を受け入れろって言うの⁉︎  先に母を受け入れてよ!反抗期でも思春期でも発達障害でも不登校でもなんでもいいんだけど。 「そのままのお子さんを受け入れてください」って再三言っている。 ...

親が先に受け入れてってずっと言ってる。評判悪いけど。

 

 

だから、どんなめちゃくちゃな理屈でも、まずは聞いてくださいと言っているわけです。

同意しなくてもいい。

「あなたはそう思った」という事実のみ肯定すれば十分。

 

その子が真に理解する「その時」。

「その時」に、以前蒔いたタネが花を咲かせる。

 

  1. まずは自分の主張 ←ココにタネを蒔く
  2. 次に世の中の理

 

この順番が基本だと、僕は思っている。

 

 

だからこそ、魔法の言葉は魔法の言葉なのだ。

「自分」の理解なしに、相手やルールの理解なんてムリなんだから。

 

「自分」にフタをして表面上の理解だけさせても、不満が溜まり続ける。

いつかどこかで爆発する。

これね。↓

いつかは必ずぶち当たる 思春期くらいのお子さんで、 「急に言うことを聞かなくなり、家で暴れています!  今までは素直ないい子だったのになぜ……」 ...

 

  1. まずは自分の主張 ←ココにタネを蒔く
  2. 次に世の中の理

この順番ね。

 

「その時」(世の中の理を自分でちゃんと理解するとき)がいつ来るかはわからないけど。

5年後でしょうか。

20年後でしょうか。

でも「その時」に絶対、昔蒔いたタネがいい仕事をすると、僕は思う。

 

だから今は、効果がわからなくてもとりあえず言っておくことをお勧めする。

そうなんだねー」「そう思うんだねー」って。

 

コメントのケース

ちなみに。

やっぱり今回もいただいた、「でもうまくいかないじゃん」ってご意見。

コメントから僕が考えたことを書いてみる。

もちろん正解なんてないし、見当違いだったらご容赦ください。

 

 

HSCタイプの子が、友達から理不尽に責められたことをきっかけに不登校になった。

相手に認知の歪みがあるが、その親御さんは気づいていない。

親としてできたことはあったか?

 

僕の個人的な意見ね。

これこそ、お子さんの意見を尊重して、ちゃんと聞いてあげること以外にないと思う。

 

原因は、相手の子の認知の歪みだ。

でもそれを質問者さんがどうにかすることは不可能。(これは相手の子の問題)

こんな子も世の中に存在しているし、敵意をぶつけてくる全ての相手からお子さんを守ることなどできない。

いつかはきっとぶち当たった問題だ。(トラブルの大小は分からないけど)

 

このケースの問題は、お子さんの繊細さ。

この子の問題と相手の子の問題を、分けて考えてほしいんだ。

 

たとえ親を巻き込んだトラブルに発展したとしても、不登校にならない子はならないわけで。

この子は、繊細さゆえに不登校になった。

ここにフォーカスしてほしい。

 

この子に、親御さんがしてあげられること。

それこそ、

「あなたは人をいじめたりしないよね、誤解だよね」

って、お子さんの意見を肯定することだと思う。

「お母さんはあなたの主張を信じるよ」って。

 

その時は、それでもやっぱり不登校になるかもしれない。

でも、あとで効いてくる。

この子が自分の繊細さと向き合い始めたときに(かなり先だと思う。数年スパンでしょうか。)、「お母さんは味方」って思えることが、すごくすごくパワーになると思うんだ。

 

 

兄妹でASD傾向あり、認知の歪みからけんか。

兄があきらかに事実無根の話を作り妹を攻撃。

あなたはそう思うんだね。って言ったら妹が荒れる。

兄はそう思うんじゃなくて、そうなんだ‼︎ってヒートアップ。

 

僕の個人的な意見ね。

これも、誰の問題かを分けるといいんじゃないかな。

 

兄→認知の歪みの問題。

認知が歪んでるんだから、事実無根の作り話は「彼の中では」真実だ。

多分違うなと思いながら、そうなんだねーって聞くのがいいんじゃないでしょうか。

気づくのは時間がかかりますよ。すぐには分からない。

 

妹→被害者。

被害者の前で兄を肯定したら、そりゃ荒れる。

妹には、まずは妹の肯定だ。

「そりゃひどいよね、嫌だったね」って。

被害者なんだから、不満がたくさんあって当然。

その不満を出した後に、「お兄ちゃんは勘違いしちゃう特性がある」って理解できる。

これも順番通り。そして時間はかかると思います。

 

二人を両立するのはムリ。

実際には兄妹を分けて、別々に時間をとって話をする感じでしょうか。(二人以上育児の大変なところですよね。)

そして、効いてくるまでには時間がかかる。

でも一度効いちゃえば、その後のトラブル(トラブルZとかトラブルGTとか)が回避できると思うんだよ。

pediatrician-p

View Comments

  • 参考になりました、P先生のブログ愛読者です。
    この子が自分の繊細さと向き合い始める日まで種をまくのが数年スパン!
    向き合っていくってどんな過程なんだろう。
    うちはこだわりもあり緊張も強く出てる子で
    たまに学校に個別で行くと先生とかみ合わず気落ちして持ち上がるのに時間かかっての繰り返しで、中学はネットの中等部を勧めようかと思っています。良くは知らないのですけども、地元は無理ですし、緊張で固まるし。
    数年スパンの中で合う環境で過ごしたいです。
    繊細さと向き合う、かなりかかるのは本人からの動きを待つのでしょうか。
    遠い目…
    思い出話しに早くならないかなあ。
    今後も参考に読ませて頂きます。
    ありがとうございます!

  • 先生、今回もありがとうございます。
    佐々木正美先生の書籍「花咲く日を楽しみに」を読んだ時を思い出しました。
    すぐには目は出なくても土の中では力を蓄えている時間…
    話を聞いて認めてあげる大切さを認識しました。

    ADHD+LDで普通級の小4の息子、夏休み明けから登校しぶりがひどくなっています。
    やはり長時間の授業は彼にはなかなか苦行のようで…

    1時間は保健室で休めるように学校にお願いしてあるのですが、こないだ休みに行ったはずの保健室で担任に来週の漢字テストの練習させられていたようで…
    担任はいつも「彼はやればできるんです」と言います。確かに無理やりやらせればできるけど本人がそれが辛いが伝わらない…

    あしたにたねをまこう❗️と家庭で家族がどんなに頑張っても学校で踏み潰されてしまった気がして…

    いつか花咲く日を楽しみにしてるのになぁ。

  • 前記事の一番目のコメントの者です。
    P先生、コメントへの感想、ありがとうございました😊そして、上のコメントでも温かいお言葉をいただき、嬉しかったです。
    小学生の不登校初期の頃こそ、「あの子と別のクラスにしてくれたら、学校行けるのに」なんて言ってましたが、今は自分の特性に、自ら向き合おうとしている感じです。ほんとに数年後でした!
     傾聴は難しいですね。不登校になった後、支援者の方から傾聴のことを教えていただきましたが、いまでも試行錯誤です😅
     でも、「頼りないけど一応味方」とは思ってくれてるようで、十代男子にしてはいろいろ話してくれます。P先生も以前書かれてましたが、HSCの子のイマジネーションはホントに面白いです😊
     不登校中は、親も子も、いろんな方に話を聞いていただきました。そのとき蒔いていただいた種がこれからどのように芽を出し、伸びていくか楽しみになりました。ありがとうございました。

  • P先生、いつも、大きく頷きながら、読ませて頂いております。この「話を聞いてあげて下さい」のテーマの時は、特に大きく頷き、「分かってるんです、でも、結構難しいんです〜!」と心の中で叫んで、うなだれています。
    高校生になって、不登校になり、聞くに絶えない文句が延々と続く日々でした。それに、なんとか反論せず、黙って聞けるようになって(でも
    余計なことも言ってしまいますが)、息子が言う事も変わってきました。「あなたはそう思うのね」とは、中々言えていませんが、とりあえず、親に攻撃されなくなり、息子は、ゆるんできています。攻撃的な言動はなくなり、穏やかになっています。他人への文句ばかりだったのが、自分に向き合うようになっています。ここまでくるのに何ヶ月もかかっていますし、まだまだ、全てが解決しているわけではありません。でも、蒔いたタネの効果は、出ていると思います。
    そして「いつかは、必ずぶち当たる」にもとても当てはまってます。私は「世間の流れに抗わずにふんわりとその一生を終える人」ですが、息子は「納得できないとどうしても先に進めない人」です。つべこべ考えずに、流されろ〜と思ってしまいますが「高校生の今でよかった!ありがとう」と思って、彼の主張を聞くようがんばります!

  •  追記です。今回と前回の記事全体についての感想です。
     事実誤認が実際あったかどうかに関わらず、事実誤認だったと自分がすぐに思えない場合は、感情が変わる事はない。否定されると、やり場のない気持ちは頭の中で一杯に膨らんでしまって、新しい事を観察して考える機会を失う。だから、一旦子供の感情は肯定して、自分が否定されていると言う思いなしに、子供自身が他の事を観察して考える気持ちの余裕を作ろう、と言う事なのかな、と思いました。
     子供の気持ちを変えるのは子供自身。お子さんに気持ちの余裕ができるのはずっと先、それが親からも見える形になるのは更にずっと先(お子さんが、怒られなかった、受け止めてもらっていたんだなと言う事に気づく事自体が、ずっと先の場合もある)だけれど、無駄ではない、と思います。体験した時には理解できなかった事が、幾つも積み重なった記憶となって初めて、後になって意味を持つ物になる事ってありますよね。子供は成長して変化するので、過去の自分を客観視して振り返る事が割とあるんじゃないか、と思います。

  • 子育てにおいては、方針が見えたと思っても、その時々で何やかんや対応を変えなくてはいけないのが常ですもんね…。
    問題が起きてから話し合って納得するまで、終始穏やかに話せて最後はお互い笑顔でハグできた!なんて事はほぼなくて、
    実際は、なーんかピシャッとしない終わり方になることもしばしば。

    でも「あなたはそう思うのね」の本質は、あなたを見ているよ、話を聞くよ、あなたの存在を肯定するよという事だと思うので、そのメッセージを言葉や態度で伝えられたかどうかだけは意識していこうと思います。
    子供の方にどれだけ伝わったかは分からないけど、種はまく。対応がイマイチだったかな〜と思った時は、あとで水をやる。
    ただ、本物の植物と違って種まきすらさせてくれない時間もありますけどね。
    「でも〜したいの!」
    「うん、でもできないよ。」
    エンドレス。
    こんな時はロボットになったつもりでやり過ごします。

  •  1件目のケースについてのコメントです。小学校中学校の不登校の後、高校に進学して頑張っておられるお子さんと、それを見守ってこられた親御さんに心から敬意を表します。その時にちゃんと子供の言い分を信じて、きちんと言葉にされたからこそ、数年後につらい気持ちを乗り越えて、再び頑張ろうと思えたのかもしれませんね。理解力のない相手は説得不能だし、自分の子であっても感情は説得不能(少なくともすぐには動かない)なので、当時精一杯の事をされて、それでもどうにもならなかったのだと思います。

     あくまでもこの文面を見ただけの解釈ですが、あちこちに配慮した、感情の抑制の効いた文章に見えて、親御さんだけではなく、お子さんも誰かの悪口を言ったり誰かを邪険に扱ったりしないタイプなのかな、だからこそ好かれると厄介な相手にまで好かれてしまったのかもしれないと思いました。「先生はその子の特性についてわかっていたようです」と言う事からは、他の子達に対してもトラブルを起こして苦情が来ていたのではないかと言う事を、そしていじめられたと思い込んでいるにも関わらず「相手の子は何かとかまって欲しくてしつこく話しかけたり」と言う事からは、クラスの多くの子達からは常時キッパリと拒絶されていたのではないかと言う事を考えたので。
     でも、それ自体はお子さんのれっきとした長所。長所が長所として輝く日は、いつかきっと来ますよ。

  • 先生、いつも読ませて頂いています。
    私も毒親育ちです。負の連鎖をたつため、ブログを参考にさせて頂いてます。
    親カードは持っていないとすでに諦めていますが、頭では分かっていても、怒った子どもの頃の私が時々、無意識に暴れることがあります。そうすると、子どもの話を聞いてあげることができず、小言を言ったり怒ってしまうことがあり、せっかくの信頼関係が遠のいてしまう気がします。
    先生は無意識に感情的になってしまうことはありますか?そういうとき、自分に対してどのように対応すればよいでしょうか。

  • P先生

    こんばんは。
    今日もスーパー実のある話、ありがとうございました!

    臨床のプロフェッショナルの先生だからこそですが、透けて見える力、格好良すぎます。
    ドラクエで食べたい実です。

    娘が通ってた保育園の素敵なおばあちゃん先生が仰ってました、「こども達には色々な種を撒きました。」と。

    その見える能力が欲しい、そう思った次第です。

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