この記事にいただいたコメント。
以前SNSで不登校だった子供がコロナ禍で父親が在宅ワークになったら学校へ行った的な事が書いてありました。
それに対するコメントの多くは母親が甘やかしていたから不登校になったんだ!でした。
そのご家庭の事はあまり分からないけど世間的には母親が甘やかしていたからと思われているのが何だかもやもやしました。
それな。
実は僕も以前、同じものと思われるSNSを見てブログを書いていたのだ。
奇遇ですね。
気が合いますね。
でも公開してなかったんだった。
匿名掲示板に意見するのもヤボかなと思って。
もちろん完全にデッケーお世話なんだけど、コメントをいただいたのでアップしてみます。
単なる僕の個人的な意見です。
そして特定のどのSNSにってことじゃなくて、今現在こういう視線を向けられて困ってしまっている親御さん向けて書いてます。
一般論ね。
実際にこんな風に思われてる、もしくは「思われちゃってる⁉︎」と疑心暗鬼になっている方へ。
合わなければそっ閉じし、夏休みの計画を立てていてください。
コロナウイルスの影響で父親がテレワークになったら、それまで不登校だった子が急に学校に行った。
父に怒られるのがイヤだから学校に行くのだそうだ。
テコでも動かなかったのに、今までの母の苦労は何だったのか……。
というネット記事を見た。
ネット掲示板の意見をまとめたものだ。
匿名掲示板なんて便所の落書きみたいなものだし、そんなに目くじら立てる気はない。
(ちなみにこのブログも匿名で運用している便所の落書きです)
んだけど。
記事の中では、「理由はどうあれ学校に行ったならよかったじゃん!」的な意見でほぼ占められていた。
「やっぱ父親の威厳って大切ね」とか。
僕の意見。
いやさ。
……解決してなくない?
理由はどうあれ登校したなら、それでめでたしめでたし?
ウソでしょ?
というのが率直な意見。
その子の詳しい状況はもちろん分からないんだけど、想像するに、地獄と大地獄を比較して地獄を取ったってことじゃないの?
学校はイヤだ、でもワカランチンの父が大きな顔して鎮座している自宅はもっとイヤだ! ってことでしょ?
怒られるからイヤなんでしょ?
今までの戦いも不登校になった事情も全然分かってない父が、「なぜ学校に行かない⁉︎」とか怒鳴りつけてくるんだもん。
家にいても、全然気が休まらないじゃん。
イヤじゃん。
いたたまれないじゃん。
この子は、
って考えたわけでしょ?
これでいいの?
ホントに?
もちろんこの子が納得して、「今まで散々不登校してそろそろエネルギーも溜まってきたし、動き出すタイミングを探っていたところでした。ちょうど折り合いの悪い父が在宅するようになり渡りに船です。では行ってまいります。」とか考えて行動したなら全然いいと思うんだ。
でも多分、違うじゃん?
どっちもイヤだけど、イヤすぎるけど、でもどちらか一方を選ぶなら…………僅差で学校?
ってことじゃん?
物事には理由がある。
その子が不登校になったのには理由があるし、登校したのにも理由がある。
理由。
すごく大事だと思うんだ。
表面上の行動のみで判断するって危険だ。
この子はなぜ不登校になったの?
そしてなぜ登校するの?
この議論がマルっと抜け落ちていることに僕は違和感を覚えるのだと思う。
本当にサボり?
ゲームしたいから?
お母さんは舐められているの?
多分違う。
経験上、そんな理由で不登校になる子ってまずいない。
何度も書いている通り、不登校は子の特性だ。
「学校が合わない子」だったからだ。
親の育て方や接し方で子供を不登校にするなんて、不可能だとすら思う。
そして不登校の自分をも受け入れてくれるお母さんは、最後の砦だ。
でもこの子は、学校は居心地が悪い、そして家は輪をかけて居心地が悪い場所になっちゃった、ってことよね。
貧乏神とキングボンビー、どっちに取り憑かれる? ってことじゃん。
花子さんの棲むトイレと貞子の棲む井戸、どっちで生活する? ってことじゃん。
記事の論旨だと、この子は軽い気持ちで不登校していたような感じになっている。
「サボりだ」
「家だとゲームもテレビもやり放題だもんね」
「お母さんは舐められてるんだよ」
僕は、その決めつけは非常に危険だと思う。
そもそも「ゲームしたい」「サボりたい」とかの理由で学校を休む子。
いると思うよ?
いると思うけど、そう長くは続かないものだ。
数日から、長くても1ヶ月も休んだら、勝手に学校へ行く。
だって友達と会いたいし、勉強が遅れるのは不安だし、そもそもゲームって結構飽きるし。
年間30日以上病気などの理由以外で学校を休むと、不登校としてカウントされるらしい。
30日の壁を越えるって、結構ハードル高いよ?
生半可な気持ちじゃできない。
だから僕は、不登校は基本的に、
行かなきゃいけないのは分かってるけど、どーーーーーしても学校に行けない子
だと思っている。
軽い気持ちじゃできない。
気安く触れたらヤケドする。
(実際不登校は、社会的評価とか家庭での地位とか学習機会の損失とかで、かなりのダメージを受ける)
それでも不登校してるのは、どーーーーーしても行けないからだ。
行けないの。
辛いの。
とんでもなくしんどいの。
オーバーに聞こえるかもしれないけど、でも実際外来では過剰評価だとは感じない。
大人から見るとくだらない理由かもしれない。
でもその子には乗り越えられない『理由』があるのだ。
学校に行けば解決ですか?
僕はそんなことは全くないと思う。
記事に出てきた彼、不登校してた方がまだ精神安定上よかったと思われる。
だって、家にも居場所がなくなっちゃった。
そもそも学校に居場所がないから不登校になったのに。
じゃあ、この子が心を休める場所はどこ?
この子の居場所はどこにあるの?
個人的には、そのうち再爆発する可能性が高いと予想する。
もちろん、これがきっかけとなって、学校にうまく適応できるかもしれない。
荒療治が功を奏する可能性は否定しない。
でも、賭けだ。
失敗したら、何倍にもなって返ってきそうだ。
具体的には、思春期に大暴れしたり、頑張り続けてうつになったり、プライドが高過ぎて全て人のせいにするしかできなかったり、社会人になってつまずいて引きこもったりラジバンダリ。
自分の人生を生きられなくなってしまうと思うんだ。
自己肯定感ダダ下がり。
いや僕の勝手な予想だけども。
学校に行けば解決ですか?
それは違うと思う。
そんな単純な話じゃない。
学校は通過点にすぎない。
人生はその後も連綿と続いていくのだ。
やっぱり、家は快適にしてほしい。
子供が心を休める場所であってほしい。
その傷ついた子(不登校児)を傷ついた場所(学校)に同意もなく追いやるって、傷口に塩を塗る行為に他ならない。
学校は花子さんの棲むトイレ、家は井戸with貞子では、あまりに不憫だ。
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学校は戦場です。その子は、今までお母さんが安全な環境を作ってくれていた貯金で、怖いお父さんと一時的に距離を置いただけなんですよね…。そこで無理をしすぎると壊れることも。解決は、もっと違うところにあるんですよね。医療の立場の方にそう言っていただけると、とても心強いです。ありがとうございます!
なんか不登校って、理由があって学校行けない男の子、わかってあげようとする真面目なお母さん、学校行けないのは百歩譲って認めよう…が、やる事やらないのはゆるさんっ!のお父さん ってイメージです。かく言ううちも男の子3兄弟で真ん中(ASD不登校→五月雨登校) 末っ子(HSC絶賛不登校)なのですが、これが女の子だった場合でもお父さんってこうなのでしょうか?目に入れても痛くない可愛い娘なら対応も違うんじゃないかと思ってなんだかモヤモヤします それとも女の子は生まれ持った女チカラでそこはうまくやり過ごしてお父さんをまるめこめているんでしょうか…
先生が現場から見て感じるところがあれば、機会があったら教えてください
うちもまさにそれです。
次男は早々に登校を選びましたが、長男はしんどくて登校できない日が長かったこともあり、父親からいかに社会が怖いのかを繰り返し聞かされたため、競走に負けることにものすごい恐怖を抱くようになりました。
復活した今、長男は、当時吐いたのも自分の意志だと言い張るほど、不登校だった自分を認められなくなりました。私が甘やかしたから不登校になったんだと責めてきます。
次男は、自分が父親からされたように、今不登校の弟達を責め立てます。
私は兄達の甘えを受け止めるようにしてますが、日々のストレスはかなりあるようです。
何も解決してない中、家族みんなが快適に過ごす環境を作るのが難しいです。私はどのように対応したらいいのでしょうか?
いや〜、学校は花子さんの住むトイレ!まさに、ついこないだウチの中2の不登校娘が、学校はお化け屋敷みたいに怖い所なんだよと言っていた。間違ってない(笑)うん。
私が子どもの頃、まさにそうでした。
父親に引きずられて学校に連れて行かれ、仕方なく登校していたけれど、喘息も出ていたし、ずっと下痢してました。
社会に出てからパニック障害、うつ、拒食→過食嘔吐、散々でした。
自分にとって、安心安全な場所が平日の誰もいない自宅でした。
いじめられてたわけでもないけど、人並みに学校生活を送ることが辛かったです。
不登校の息子に。今日のお話を
一緒に読みながら、聞いてみたら。
読んで読んでと。興味をもっていました。
学校に行けば解決ですか?
違います!わかります!何度も味わってきました。
根本が解決しなければ、どこかでまた繰り返しです。
根本の問題が何で、どのくらい時間が必要なのか、誰もわからない、もちろん本人もわからないから辛いのです。
みんなが辛くなく生きていけるには、誰が考えてもわからないことは、考えるのをやめるのが一番ですね!
どこかにある、優しい世界を探して!
先生、いつもありがとうございます。