Categories: 発達障害HSC

強すぎる正義感

発達障害特性を持つ子や、HSC気質の子なんかに多いでしょうか。

決まりやルールの逸脱、モラル違反なんかが絶対に許せない子。

正義感が過剰に強い子。

 

正義感が強い

人のズルや悪さが気になってしょうがない。

スルーできない。

 

  • 課題をサボってる子とか。
  • 授業中にふざけている子や。
  • おもちゃの貸し借りができない子。
  • 陰で悪口を言っている子。

 

こんな子を見つけると、口を出さずにはいられない。

「ダメなんだよ!」

「いけないんだよ!」

自分もできていないのに、人には強く指摘したりする。

 

口だけじゃなくて、相手に反論されると手まで出ちゃったり。

そうなると、正義の指摘だったハズが気づけば悪者に。

 

同級生相手ならまだいい。

コワモテのお兄さんの信号無視を大声で指摘しちゃった日には、見ているこっちが冷や冷や……。

 

ダメなものはダメ!

グレーの許容が苦手な子ですよね。

  • 「これくらいなら、まぁいっか」
  • 「自分とは関係ないし、まぁいっか」
  • 「自分もできないことあるし、まぁいっか」
  • 「逆ギレされたら面倒だし、まぁいっか」

こんな「まぁいっか」ができない子。

 

 

これねー。

よく相談されるんだけど、いわゆる「お疲れ様案件」じゃないかと思っている。

しょーがないってことね。

「お疲れ様です。」ブログを書いていると、どうしても結論が「お疲れ様です」になるときがある。 僕のスタンスとして、可能な限り対応策を提...

 

だって、最後まで残るトラブルなんですよ。

だいぶグレーが許容できるようになり、トラブルが減ってきた子。

自分の思い通りにならなくても、こだわりがそのまま通らなくても、まあまあ許容できるようになってきた。

こんな子でも上記トラブルを起こすんです。

 

男の子
〇〇くんが、禁止されてる木登りをやってた!

 

木登りは禁止だもんで。

まぁ、ダメなんだけどさ。

 

即刻指摘し、相手も禁止されている木登りをやっちゃうような子なもんだから、もう取っ組み合いのケンカよね。

で、勝っちゃったりして。

結局この子が叱られる。

最初は正義のヒーロだったはずなのに……。

 

男の子
相手が悪い!!!

納得できない!!!

 

まぁまぁ、気持ちわかるよ。

元気出して。

でも傘で叩くのはやりすぎだったかな……と小声でつぶやいておく。

 

グレーの許容

グレーが許容できないことに起因するトラブルは、年齢と共に減っていく。

薄皮を剥ぐように、少しずつ。

気づくと「まぁいっか」ができる場面が増えている。

経験って大事だなと思う。

 

でも、上記トラブルは最後まで残ることが多いように思う。

経験を積んでもなかなかなくならない。

 

理由は、明らかにダメ、だからでしょうか。

 

 

経験とともに増える「まぁいっか」って、その後ろにちゃんと理屈がくっついているように思う。

  • 〇〇したくないけど、集団行動だから仕方ない

とか。

  • 〇〇が欲しいけど、我慢したご褒美(モノだけじゃなく、大人からの称賛とか、別の案件での交渉権も含む)の方がお徳だから手を引こう

とか。

  • 自分は選ばないけど、それを選ぶ人もいるんだろうな

とかさ。

 

経験により、全か無か、ゼロか100かじゃなくて、波風の立たない方法を選べるようになる。

後先が考えられるようになってくる。

 

 

でも、「ルール違反」とか「誰かの悪口」ってさ。

明らかに悪いじゃん。

 

かばいようなく。

疑いようなく。

「ダメ」ってはっきり決まってるし、学校でも家でもそう教わるしさ。

 

そりゃダメよね。

ダメなものはダメ! よね。

 

だから許容できないんだと思う。

 

お疲れ様です

これさ。

しょーがないよ。

お疲れ様です、だ。

 

だってその子、悪くないもん。

主張内容、正直正しいもん。

 

叱れないじゃん。

いや、叱らないでやってほしいんだよね。

 

どんな理由でも、傘で人を殴っちゃダメです!

 

そりゃね、わかるんだけどさ。

僕も大人だし、その通りなのは分かるけど。

 

でも子どもにとっては、「自分は悪くない!」なんだよ。

誰が悪いって、ルールを破った人だ。

そりゃそうだ。

合ってる。

 

指摘したその子は、正義の味方だ。

ヒーローだ。

褒められこそすれ、叱られる筋合いはない。

ヒーロー。

もはやキムタク。

久利生公平。

 

 

「その子の言い分は合ってる」

 

まず、こっちが先なんだと思う。

 

相手が悪いことをした。

だから注意した。

つまり、正しかった。

 

これを先に認めてやってほしい。

大人の言い分(でも叩いちゃダメとか、時と場合を選べとか)は、後。

子どもを受け入れるのが先。

まずは子どもから。

なんで子供を受け入れろって言うの⁉︎  先に母を受け入れてよ!反抗期でも思春期でも発達障害でも不登校でもなんでもいいんだけど。 「そのままのお子さんを受け入れてください」って再三言っている。 ...

 

だって、そうしないときっと入らないから。

やっぱり自分は正しかった

お父さん、お母さんもわかってくれた

そう思えて初めて、大人の理屈に耳を傾けられる。

 

あなたは悪くないよね。

でもさ、傘で叩いちゃうとあなたが悪者になっちゃうから、口で言うか、大人に教えようね。

 

自分の主張が受け入れられて初めて、より良い改善策が視界に入る。

そんなもんじゃない?

大人だってまず自分の主張が認められないと、人の意見なんて聞けないでしょ?

 

大丈夫。

正義感が強いってことは、ルールをよく理解してるってことだ。

物事の道理や理屈がわかるってこと。

 

じゃあ、大人の理屈もわかってくれるはず。

今すぐじゃなくても、きっとそのうち、近い将来。

 

まとめ

強すぎる正義感はしかたない。

 

しょーがないです。

お疲れ様です。

 

急がば回れで、まずは正当性の肯定から。

 

ちょっ、待てよ! とキムタクが出てきかけても、ぐっと我慢。

まずは「その子は間違っていない」と認めてあげてください。

※表面上でもよいです。「木登りはダメ」というのは事実なので、この点のみで良いです。傘を振り回した件は一旦脇に置いて。

 

それがあって初めて、

「でも言い過ぎだよね」

「でも困ることになっちゃうよね」

が入る。

 

大丈夫、きっとわかってくれる。

HEROだもの。

pediatrician-p

View Comments

  • 最後の文章の

    大丈夫、分かってくれる
    HEROだもの

    を読んで涙が出ました。
    すごく素敵な言葉。

    子供は悪くないですもんね、母親がんばります。

  • P先生、いつもありがとうございます。
    特性ゆえでしょうか。
    小3の息子が本当にヘンに正義感が強くて、でも、ヘタレなので悪いことしてる相手には「それまちがってるよ」って言えなくて、悶々とした結果不登校に…。正義感があるのでクラス男児の大半が加わっているイジメっ子グループには入れない、でも、ターゲットになっているいじめられっ子を助けたりするほど強さがない…。先生に止めてもらおうとしたけどスルーされて上手くいかず。
    結果的に息子も軽くいじめられて不登校…。
    本人曰く、先生は信用できない、でも、イジメグループには入りたくない。ターゲットになってる子がかわいそうで見てられない。苦しい…。
    それが不登校の原因って話してくれたのが不登校半年経過の年度末のこの時期。親として、とにかくこれから学校相手にやらかすかどうか思案中です(泣)

  • P先生、いつもありがとうございます。
    特性ゆえでしょうか。
    小3の息子が本当にヘンに正義感が強くて、でも、ヘタレなので悪いことしてる相手には「それまちがってるよ」って言えなくて、悶々とした結果不登校に…。正義感があるのでクラス男児の大半が加わっているイジメっ子グループには入れない、でも、ターゲットになっているいじめられっ子を助けたりするほど強さがない…。先生に止めてもらおうとしたけどスルーされて上手くいかず。
    結果的に息子も軽くいじめられて不登校…。
    本人曰く、先生は信用できない、でも、イジメグループには入りたくない。ターゲットになってる子がかわいそうで見てられない。苦しい…。
    それが不登校の原因って話してくれたのが不登校半年経過の年度末のこの時期。親として、とにかくこれから学校相手にやらかすかどうか思案中です(泣き笑い)

  • 親子喧嘩でも夫婦喧嘩でも友達喧嘩でもそう。
    正しいか、正しくないかで誰かがジャッジし、制裁を加えれば戦争になってしまいます。
    じゃあ、その相手が絶対間違っている!(今で言えば、プーチンが絶対間違っている!)という思いはどうやって昇華させればいいのでしょうね。
    ロシアを攻撃すれば、プーチンを暗殺すれば解決なのか。
    あいつが悪い!じゃあどうする?
    相手を理解し、自分を理解するところからしかないでしょうかね。そこを子供と日々考えていますが、簡単ではないですね。

  • うちの子もそうですね~。
    やっぱり6年生なので、そういうトラブルは激減しましたが。
    まわりの子も成長するし、本人もスルーできるようになるし。
    学校から帰ってきて、激怒しながら私に伝えてくることはあっても、面と向かっては言わないほうがいいということも学んだようで。
    ですが、家の中では4才の妹のあれこれが許せません…。
    論破!怒鳴る!脅す!時々手も出る!
    4才相手にとにかく許せない!
    『あなたも4才のときには同じことをしていたよ』『繰り返し伝えてあげてわかってくれるのを待つんだよ』『今それができるようになるための練習中だからね』…。そんな言葉は通じません(笑)。
    大目に見るなんてありえない!って感じです。
    まず息子の言うことを受け入れる…大事ですね。
    注意してから『あなたの言っていることは間違ってないんだけどね』となりがちなので、気をつけようと思います。
    でもきっと、気になるのは外でも家でも一緒で、外では言わないように耐えてるってことなんでしょうね。
    家だと素の自分がでてしまっているのかなーと。
    妹の成長を待つしかないんでしょうか(笑)。
    けど私が一番言いたいのは、あなたもルールや約束を毎日やぶってますけどーーー!ってことですけどね!(ゲームの時間とか!!)
    自分に甘く、他人に厳しいって…なんだそりゃー!(笑)

  • あーーー。これね、私自身だと思います。
    いい大人になってもあんまり変わらない、ような。

    で、我が子は問題児。ルール逸脱大好きなんですよーー。親子とはいえ合うわけない、というか。

    我が子は小学生の頃からクラスメイトの正義感の強すぎる優等生に色々と叱られ続けました。大体我が子が嫌いという子は記事のようなお子さんでした。
    トラブルはあるけど、学校の先生も、優等生保護者も、我が子が10対0で悪い、と判断されることが多かったです。味方なんていないんですよー。
    やってることは間違えてるので、家でもやっぱ叱りますよね?むしろ世間様はそれを求めて、「家でしっかり教育しろ」「愛情を注げ」と我が子を守るためかもしれないけど色々と直接言われできました。

    優等生の保護者は現実ではに「うちの子、間違えてないですよね‼︎」とジャッジを求められる方が多かったです。

    我が子が優等生の場合、正当性を声高に叫べますが、ルール破る子は先生に怒られ、家でも私にも怒られて…。自己肯定感もクソもありません。。一体どうすればよかったのでしょうか。
    「ルール守ってないんだから仕方ないじゃん?」ですよね???

    我が子もそれでも脳みそが多少は発達して、少しはマシになり、怒られることも少なくなりましたが。

    自分も正義感強すぎると思いますが、今回の記事…中庸って大事だなと思い、我が子のために気をつけようと思いました。

  • いつも勉強させてもらっています。
    我が子だな、と思って読んでいました。
    何かことを起こす時は、必ずと言って良いほど何かある。

    それを知らん顔して、大人の都合ばかり押し付けると
    反抗心ばかり育ってしまって、
    誰のいう事も聞かなくなりかけた事ありました。

    大人の気持ちを聞いてもらいたいなら
    まずは子どもの話を聞く。先生おっしゃるようにこれ原点ですね。
    「わかった。あなたはそういう思いだったのね。」
    と受け止めてからだな、と、もう日々我が子に勉強させてもらっています。

    聞いてるうちに、こちらのカッとした気持ちも少しずつ落ち着いてくるのもわかります。

    冷静に。
    子どもだから教えなきゃ!と思わず
    大人と接するように丁寧に話を聞かないと
    見透かされますね。

  • あー、もう本当に我が子なんですよね・・・、これ。
    小学生の低学年から、これに振り回され、トラブル多々。
    将来警察官でも目指しとく!?って言ってみたりもしましたが。
    ADHDも含んだASD、HSC、起立性調節障害、学習障害。
    あれこれ含んだ厨2病ですが、先生のブログを拠り所に、
    親修行の日々です。
    これが無ければ私が生きて行けないので、先生ずっと続けて下さいね。
    夫もなかなか分かってくれないんですよね。
    いつも本当にありがとうございます。

Recent Posts

【ADHD】やらかす原因、やらない理由

いやー。 やらかしましたぁ! …

4日 ago

【ASD】「わからない」詳細

発達障害の子、発達でこぼこの子…

1週間 ago

大人の情報処理 〜成長すると失うもの〜

前回の続き。↓ https:/…

2週間 ago

女子の発達障害は少ない

こんなことを聞かれた。 &nb…

4週間 ago