僕にはこの質問の意味がわからなかった。
受容するっていったら受容するんだよ。
「あなたはそう思うんだね」だよ。
それ以上でも以下でもないよ。
と思っていたんだけど。
最近思ったのが、受容の間口が僕の思うよりずっと狭いですか?
〇〇な子じゃないといけない
〇〇出来る子が普通
とか思ってます?
だからその子をそのままで受容できない?
と思った。
そしたら、親の前提を変えずに受容するのは無理だよなーと。
だって目の前の子どもは、明らかにその前提からズレてるんだもの。
もしそうなら、僕から言えることは
なぜみんな普通だと思う?
ってこと。
みんな普通で、みんな同じ。
なぜそう思う?
人は生まれながらに不公平だ。
圧倒的に不公平。
「持ってる人」と「持ってない人」がいる。
「生きやすい人」と「生きづらい人」がいる。
それはもう、絶対そうだ。
みんな同じなんてありえない。
みんな平等なんて理想論、あまりに現実からかけ離れてる。
↓これ。リンク貼るのも恥ずかしいけど。
その子が持っていなかった部分について、
「みんなと同じにできるように」と無理やり練習させてコントロールしたり、
「周囲が理解してくれない」と腐ったり。
無理でしょう?
だって、同じじゃないんだ。
持ってない。
できない。
だからやりづらくて当然だし、生きづらくて当然。
まず、そこを認めるところが出発地点だと思う。
持ってない。できない。みんなと違う。
「そういう子」だ。
親御さんだってそうでしょう?
普通じゃないところって誰でも持ってるでしょう?
普通じゃなくて普通。
誰だって、ある点においては普通じゃないし、ある点においては普通だ。
普通じゃなくて普通。
じゃあ普通って一体なんだって話だけど。
その普通じゃないところを、マイナス面も含めて承知するのが、「受容する」ってことじゃないの?
それには本人をよく観察しないといけないし、本人の話を聞かなきゃいけない。
答えは子どもにある。
「あなたはどう思う?」「何がいや?」「どうしたい?」「それとも今はとにかく混乱してる?」
本人に聞かなきゃ分かりっこない。
これが『答え合わせ』だ。
本人をよく見て、答え合わせして、「あなたはそう考えるんだね」と認知する。
これが受容するってことだ。
「でもそうは言っても」
「でもそれじゃ進学(就職)が」
これは受容してない。
「でも」はあり得ない。
この子はこう、なのだ。
終了!
それ以上でも以下でもない。
で。
『受容』した上で次の作戦を考える。
苦手な部分は逃げるのか、克服させるのか。
どうするのがいいかは人による。
逃げて得意な部分で勝負した方がいい子もいるし、頑張って克服させたら一生の武器になる子もいる。
当然、一人の子でもこの点は逃げた方がいい、ここだけは頑張った方がいい、といった両方の側面がある。
その作戦を立てるのが親御さんの役目。
トライアンドエラーでやってみる。
試行錯誤してみる。
それが、親御さんの役目。
本人の自尊心をへし折らずに、社会適応する戦略を練る。
上手に『寄り添って』あげてください。
不登校とか発達障害とかあった子は、持っていなかったものがやや大きいわけだ。
上手にバランスをとってあげてください。
『受容』せずにこれをやろうとすると、まず失敗する。
「これができて普通だから」
そんなふうに、子の特性を無視して『普通』を押し付ける。
子供の自己肯定感はボロボロだ。
「みんな出来るんだから、あなたも出来るよ!」
いや、出来ないんだよ。
でも義務教育だから日本中で同じような教育を受け、みんな同じような知識を身につけている?
バカおっしゃい。
義務教育で身につくことなんて、学校によって、先生によって、その子の個性によって千差万別だ。
そして、別にそれでよい。
『受容』ってポジティブな響きだけど、やることは結構ネガティブだ。
その子の欠点をマルっと承知する。(もちろん美点もマルっと承知するんだけど)
親が目を背けたい「欠点」。
これを承知するのがハードルが高いのかなーと思った。
人は普通じゃない。
普通じゃなくて普通だ。
まず親の価値観から変えてほしい。
「なんとか普通に」
「人並みに」
そんなふうに考えている限り、受容なんて永遠にできない。
そしてそんな考えだと、きっと親御さん自身のことも受容できないのだと予想する。
「普通に」「常識的に」「みんな」とか、生きづらそうだ。
むしろ世の中の誰のことも受容できないだろう。
普通の人なんていないんだから。
残念ながら、世の中って不公平なんですよ。
持ってる人と、持ってない人がいる。
あなたのお子さんは、持っていないものがあった。
それが顕在化したのが今の状況だ。
その大前提から目を背けても、有効な戦略を練ることはできない。
あなたのお子さんは何を持っていて、何を持ってない?
普通に普通じゃないその子の生存戦略、どうするのがよさそう?
子ども自身で人生を切り開いていけるよう、知恵を授けてあげてください。
「あなたはこのカードは持ってないから、ここは逃げとこっか」
「このカードがないけど、ここは勝負してみよう」
一緒に考え、試行錯誤し、失敗させてあげてください。
思いきり失敗できるのって、子供時代の特権だと思う。
失敗して、次の手を考えて。
そのうちに子ども自身で「勝ちパターン」が分かってくる。
自信がつく。
強い武器(勝ちパターン)と強い鎧(自己肯定感)を持って、冒険に送り出してやってください。
勇者は魔王を倒します。
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先生のブログを読ませていただいています。とても勉強になります。
発達グレーの娘と自閉症スペクトラムの息子を育てています。
私は表面上しか受容できてないのだと思います。
去年、息子の診断がつき療育へ通い始めました。療育の教室から「⚪⚪君はこれが苦手」保育園から「⚪⚪君はこれができない」息子の苦手な事、できないことを毎日聞かされます。もちろん褒めていただくこともあるのですが、苦手な事やできない事を聞かされ過ぎて、褒めて頂いた事は正直響きません。
苦手やできないことを知ることは家庭療育のためにも必要な
事だとは認識していますがショックです。
受容できないお母さんは余裕がないのだと思います。
ただでさえ愛しい我が子が障がいがあると言われ、子供の将来を考えて病みます。そこにできない事を何度も聞かされて自分の価値が努力が子供の結果のように思えてしまうことがあります。
発達障がいの子供の為にもお母さんのケアは大事だと思います。