Categories: 親子関係

腫れ物扱いしないで……

不登校の子がいるご家庭には、

「家を快適にしてあげてください」

と再三お伝えしている。

 

不登校じゃなくても、自閉スペクトラム症でもADHDでも起立性調節障害でもHSCでも同様。

「家を快適にしてあげてください」

 

 

自信のベースになるのは家庭だから。

安心感を育むのは家庭。

その子らしい才能を開花させるエネルギーを養うことができるのは、家庭だけだから。

 

そうなんだけど。

特に思春期、自宅で暴れている場合。

親がひいてしまい、荒れ狂う子どもを腫れ物扱いしてしまうことがある。

 

「うるせぇクソババア!」

「殺すぞ!」

「死んでやる! 今すぐ飛び降りる!」

(窓の外に向かって大声で)「助けてー! 虐待ですぅ!」

 

あとは壁を蹴ったり物を投げたり、親を殴ったり、何か壊したり、

刃物をチラチラさせたり、非行、窃盗、タバコ、酒、性……。

 

そんなところでしょうか。

親御さんがどうしていいかわからず、腫れ物扱いしてしまうシチュエーションは。

 

上記のような状態になると、とにかく事態を落ち着けたいので、強引な介入は気が引ける。

下手に刺激してさらに悪化したら困る、というわけだ。

問題行動は把握しながら目をつぶり、これ以上やっかいなことにならないようそっとしておこう、ってわけ。

 

 

確かに上記の状態になったとき、問答無用で叱りつけても、うまくいくとは思えない。(思春期を想定している。幼児の対応はまた別。)

「ダメなものはダメ!」

そんなこと理解してる。

分かってわざと悪いことをしているのだから、叱ったところで効果がない。

それどころか逆上されて、さらに事態が悪化する。

 

だから、どうしようもないからそっとしておこう。

嵐が過ぎるのを待とう。

いつかわかってくれるはず、素直なあの子が戻ってくるはず……。

 

これを『腫れ物扱い』と呼ぶ。

 

一見、他に方法がないように思える。

でもこれ、子供はすげー傷つきます。

 

 

本人も悪いことをしてるって分かってる。

暴れながら、暴言を吐きながら、心のどこかにダメだって意識がある。

けど自分では止められないし、気持ちの下ろしどころがわからない。

 

そんな時、親が受け止めてくれない。

叱ってすらくれない。

叱るって、ある程度の期待があって初めてする行為。

認めている証し。

それすらなく無視されるってことは、親にとって自分はなんなんだろう。

無視されるって何より傷つく。

 

 

安心して自宅で過ごしたい。

ただ家にいればいいわけじゃない。

家族から存在を許可され、肯定されて、初めて心から安らげるわけで……。

 

 

 

腫れ物扱いされると、本人は敏感に察知する。

 

家族にも気を使われてる。

家庭内の仕事も振られず、家族のルールは免除され、悪さしても叱られず。

ただただ部屋が用意され、食事が運ばれてくる。

 

 

何コレ……?

 

 

誰も自分に興味ないんだろうな。

寂しい、気をひきたい、話を聞いてほしい。

暴れるってことは、そんな気持ちの表れなのに。

この置き所のない気持ち、共感して寄り添って欲しかったのに。

不安で不安でどうしようもないのに。

 

自分ひとりで解決できないから暴れている。

親に分かってもらいたくて。

わかってもらえなければまた暴れて、でも分かってもらえなくて。

暴れて、暴れて、暴れて、でも分かってもらえなくてそのうち諦める。

で、拗ねる。

 

 

どうせ何をやっても無駄、親は話を聞いてくれない。

でも自分がこうなったのは親の責任だから、復讐しよう。

ずっとここで暴れ続け、子育て失敗したぞって見せつけよう。

人ひとりの人生を台無しにしたって、見せ続けてやろう。

 

 

こうして問題が長期化していく。

 

 

だから、腫れ物扱いしないでほしい。

子供の話を聞いてほしい。

 

何が嫌だったのか、

納得がいかなかったのか、

今後どうしたいのか。

 

 

どんなにめちゃくちゃな主張でも、

親の『正論』を押し付けず、まずは聞いてあげてほしい。

よく聞くと親御さんの考えとは全く異なった次元の話をしていたりする。

 

 

 

『話を聞く』って、その子を一人の人間として尊重している証拠だ。

考えを持った人格として認めている証拠。

聞いてもらえると、子供は落ち着く。

 

 

親がこっちを見てくれた。

見て欲しくて暴れていたのだから、まずは第一目標クリアだ。

 

 

 

落ち着いたら、ゆっくり『会話』してほしい。

 

「すごく嫌だったんだね、でも人を傷つけるのはやめよう」

「死にたいほどつらかったんだね、じゃあそのつらい気持ちを話してくれると嬉しい」

 

そうそう、そんな感じ。

 

 

子供がどんな状態でも、家族のルールは守らせる。(ルール設定は各ご家庭にお任せします)

そうすることで、「自分はここにいていいんだ。許されているし、権利もある」と子供が安心する。

 

 

だから、そのルールの範囲内なら、何をしていても責めないでほしい。

「学校に行かずゲームばっかりして、いいご身分ね」

腫れ物扱いしてなくても、コレはダメ。

小言ダメ。ヨクナイ。

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責めない、腫れ物扱いしない。

子供を一人の人間として、『普通に』扱ってほしい。

『普通に』過ごせる家庭が、子供が一番安心できる環境だ。

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