ニュースで耳にする『感覚過敏』。
マスクつけられないって話。
これが理解されず差別やいじめの対象になっていると聞いた。
以前から感覚過敏が理解されないことによる差別・偏見はあったのだが、
これを機に知識を深めていただくチャンスと思い、筆を取った。
ところでパソコンでブログを書くのに「筆を取る」って表現、使うんですか? 合ってますか?
感覚過敏。
自閉スペクトラムやHSCの子に見られる。
『感覚』が『過敏』なこと。
ふむふむ、感覚が敏感ね。
それってどんな感じ?
炭治郎は匂いで相手の感情までわかるけど、そんな感じ?
炭治郎スゲーパネー。
確かに炭治郎はスゲーけど、ちょっと違う。
感覚過敏、わかったようなわからないような・・・。
感覚ってその人固有のものなので、他の人と共有するのが難しい。
例えば痛み。
このブログを読んでいらっしゃる方は子持ちのお母さんが多いと思うのですが、出産の痛みってどの程度でした?
「マジありえない」「三途の川を渡りかけた」「むしろ一瞬渡った」
って人から、
「痛いけど・・・まあね」「そんなことより赤ちゃんかわいい」
って人まで、感じ方には幅があると思う。
痛いのはまぁ痛いんだけど、どのくらい痛いかの表現って難しい。
同じレベルの痛み刺激に対して、刺激をキャッチする程度に差がある。
例えると、
出産が投げる『痛みボール』が100個だとすると、
うち10個くらいしか受け取らない人と、ほぼ全部受け取る人といる感じ。
100個のボールが投げられたのは同じだけど、キャッチしたボールの数には10倍の開きがある。
で。
多くの人は、かなりのボールをスルーしている。
痛みだけでなく、匂い、音、光、感触、味……。
刺激と呼ばれる全てに対してそう。
無意識に取捨選択して、必要な刺激だけを選び取る。
これが多数派。
「でも情報は全部キャッチした方がいいでしょう?」
そんなことはない。
この「鈍感力」が働かないと、ひどく生きにくい。
騒がしい人混みで、他人の会話が全て耳に入ってきたら発狂しそうになりません?
そうならないように人は、自分が会話している相手の声のみを拾い、他のグループの声はスルーしている。
これを全部受け取る人がいる。
誰でしょう?
聖徳太子!
も、そうなんだけど、今は感覚過敏の話だから空気読んで。
そう、感覚過敏の子だ。
教室の話し声、空調の音、廊下の足音、外の工事の音、誰かが鼻をすする音……。
もし全部拾ってしまったら、発狂しそうになると思いません?
これが感覚過敏だ。
「鈍感力」が働かないので投げられたボールをみんな拾ってしまい、キャパオーバーとなる。
マスクの例で言うと、口元に当たる布の感覚を過剰に拾うので「痛い」。
耳のゴムも「痛い」。
マスクの中に熱がこもり「暑い」し「苦しい」し、マスクのにおいが「くさい」。
大多数の人がスルーできる刺激を拾ってしまう。
刺激のキャパオーバーってどんな感じ?
想像してください。
真夏に汗だくで3時間みっちり練習した剣道部男子(180㎝、75㎏)の防具。
それを20個集め、さらに部室に1週間放置、じっくり熟成させたもの。
これを今から身に着けるくらいの不快感だと思って欲しい。
そのまま6時間の授業を受ける……。
ムリじゃね?
いやいや全然ムリ。
感覚過敏の人は、他の人の数倍、数十倍、数百倍の刺激を受けている。
でもコレ、理解してもらうのが難しい。
感覚的なことなので、共通認識が困難なのだ。
僕の外来に来る感覚過敏の子たち。
人によって色々なものに敏感なんだけど、中でも珍しいものを紹介する。
こんなん、ひどく生きづらいと思いませんか?
こんなん、困難でしょう(黙れ)
余談だが、特に自閉スペクトラムの子が刺激過多でキャパオーバーになると、全てのボールを放棄することがある。
1個も拾わない、すなわち刺激に対して無反応になる。
『感覚鈍麻』という。
『感覚過敏』と『感覚鈍麻』は表裏一体だ。
他人からは分からない困難を抱える人がいる。
優しさって想像力だと思う。
自分と違う立場や感覚の人に思いを馳せること。
わがままでマスクをしないわけじゃないのかもしれない。
なにか特別な理由があるのかも。
いろんな人がいると知って、みんなが少しずつ優しくなれるといいなと思う。
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いつも夫婦二人楽しく拝見させて頂いています。
最近になってですが、小2の息子が授業中しゃべりやまないということで、通級の先生からイヤーマフを着用するようアドバイスを貰い実行してます。(息子はADHDとASDも軽度あるかも?という診断でストラテラ服用中です)授業中のクラスメイトの話し声が耳に入り、便乗して喋るが、先生に注文されても辞めない。また、自も喋るのに、他のお喋りしてるクラスメイトにしつこく注意してしまう。静かに模写などする時間に音を出す(机を意味なく叩いたり、ブーブーと口を鳴らしたり)ので、先生も困ってしまうようです。イヤーマフをつけると大分お喋りが減るので、本人も先生もしばらく使いたいと言うのですが、クラスメイトにイヤーマフのことを説明しても、興味本位で遊んだりしてしまう子供もいるようで、これがベストな方法なのか、今後いじめなどの原因にならないか心配しています。WISKではIQ:117と、勉強についていくのが大変なわけでないのですが、いっそ支援級に入る方が息子にとっていいのか、考えてしまいます。。。イヤーマフを使用しなければならないほどのしゃべりすぎだとは思わず、ショックも受けています。いつかは着用しなくても、授業中やTPOにあわせて静かにしていられるようになるのでしょうか。また、息子は最近、ピアノを習いたい!と度々言うので、体験にいってみましたが、その30分はそれはもう集中して楽しそうにしてました(先生がとても褒め上手で指導もメリハリあるので、自己肯定感は上がりそうですけど)習わせて、聴覚過敏ひどくなったり、手遊びなど、今ある症状がひどくなったりしないでしょうか。通院している、小児科の先生に「子供は発達障害でも、日々発達し続けているんです。精神年齢は実際年齢の8🈹くらいと思って下さい。」と言われましたが、次々と問題が出てくるので、母親として不安が募るばかりです。