起立性調節障害の原因って、なんだろう。
どっちだろう。
たまに聞かれる。
体質的に今こうなっているのか、もしそうなら遺伝の関与があるのかという質問だ。
聞くと、親御さんにも中高生の頃同様の症状があったそうだ。
うん、これはね。(←あ、意図せずうんこ。)
うん、これ。(←うんこ)
遺伝、あるでしょうね。
起立性調節障害。
基本的には、循環器の病気だ。
血管の病気。
脳にうまく血液を送り出せず、いわゆる「脳貧血」の状態となる。
たちくらみやめまい、頭痛なんかを引き起こす。
血管の自動調節がうまく働かないため、こうなる。
血管って、自動調節じゃん?
「よし、血管を収縮させよう」とか、意識しないじゃん?
身体が勝手にやってる。
ってことは多分、体質はありそうだ。
自律神経的なアレコレとか。
体型や筋肉量とか、急激な身長の伸びとか。
とすると。
遺伝、あると思う。
じゃあ、原因がすべてコレかというと、そうでもなくて。
「起こしやすい体質」は、遺伝というか、生まれつきでありそうだ。
でもそこに、メンタル要素が強く関わる病気だ。
明らかに、ストレスが引き金となる子がいる。
どう考えても疾病利得のある子もいる。
※疾病利得:病気でいたほうがお得ってこと。この場合、ODで体調が悪ければ学校を休む正当な言い訳ができる。
メンタル状態は、症状に強く関わる。
環境によって症状が大きく変わる子がいる。
本人の気の持ちよう(きっかけがあって考え方がポジティブになったとか)で、症状が大きく改善する子も多い。
起立性調節障害、
メンタルの関与も、大いにある。
起立性調節障害。
ご存知朝起きられない病気。
疾患概念の広まりとともに、いろいろな意見が飛び交う。
起立性調節障害といえば、相当数の患者と出会っている僕がですね。(えっへん)
この論争に、一言物申す。
起立性調節障害の原因は、身体?
それともメンタル?
その答えは、
人による。
マジかーーーーーーーーーー。
伝家の宝刀、「人による」。
それ言っちゃおしまいなんじゃ?
でも、実際そう思う。
経験が増えれば増えるほど、そう思わずにいられない。
人による。
非常に個人差が大きい。
「ケースバイケース」の、めっぽう強い疾患のように感じている。
なんだけど、「人による」って全てをぶった斬る言葉だ。
それを言っちゃぁおしまいよ的な。
じゃあどうしろと⁉︎ ってなる。
実際、悪化要因によって対処法も変わってくるわけですしお寿司。
こんな考え方はどうでしょうか。↓
身体とメンタルの関与を、それぞれパーセンテージで考える。
どっちがどれだけ足を引っ張っているかという視点で見てみる。
患者さんたちを見ていると、この割合が千差万別なように感じられる。
もちろん実際の彼らの生活全部を見ているわけじゃないんだけど。
話を聞いて推測するに、
身体メインの人
と
メンタルメインの人
がいるように思われるのだ。
例えば、身体的な要因が強い人。
↑こんな感じ。
原因の9割方が身体要素。
身体が100%にならないのは、
体調が悪いと少なからずメンタルにも影響を及ぼすよね
ってことを加味している。
体調が悪いと、生活に影響が出る。
多少なりともストレスがかかる。
このストレスが、多少なりとも症状を悪化させる。
こういった面があるように思う。
体調が悪いと → メンタルも悪化し → 体調の足を引っ張る。
なので、身体100%じゃなくて、10%ほどはメンタルの関与する余地ありとした。
逆に、メンタル要素がほぼ全ての人。
↑こんな感じ。
メンタルの関与が大きいんだけど、この人にも、ベースの身体的な特徴が10%くらい関与している。
まったく身体的な素因のない、
みたいな人は、ストレスがかかってもOD発症までは至らない。(と思う)
抑うつとかイライラとか、そっち系にいきそうだ。
だから、ベースの身体的な素因も少しは関わると思う。
↓両方の関与があり、同程度に足を引っ張り合っている人はこう。
うん、こんな感じかな。(←あ、またうんこ)(わざとじゃなくたまたま)(タマタマwww)(いつまでも精神年齢小学生)
僕の視点からは、この振れ幅の中で、「人による」ように見える。
起立性調節障害。
ご存知、朝起きられない病気。
変わった病気だ。
ほぼほぼ身体疾患だろうと思われる子がいる。
生活リズムに気をつけつつ、服薬をしていくことになる。
多分そのうち治るけど、今はつらいよなーという感じでみていく。
逆に、ほぼほぼメンタルだろうと思われる子もいる。
ストレスに対処していくことになる。
でも、自分以外の要因(家庭や学校)がストレス源だと、自分での調整には限界がある。
客観的に、周囲の大人に対し「あー……それ言わんでやってや……」と思わされるケースも散見される。
周囲(親御さん)が責められるのは、このパターンだろう。
もちろんこれが全てじゃないから、「ODは親のせい」と断定するのは当然だが間違いだ。
身体面は、ある程度は仕方がない。
でもメンタル面は、改善したいところだ。
この子は、どっちがどの程度関与しているでしょうか。
メンタル面は、環境調整で軽減できますか?
特定の原因を探しても、ぴったりこないことが多いから。
パーセンテージで考えるのはどうでしょう。
そして、メンタル面は改善できないか考える。
起立性調節障害。
症状は、あるにしても少しでも楽に過ごす方がいいに決まっている。
ベース起きられなくても、起きられた日は活動するのがいいし。
学校を休んだにしても、家で好きなゲームや音楽やお絵描きを楽しめた方がよい。
そう考えると、起立性調節障害は0か100かで捉えない方がよい病気だ。
原因も、0か100かじゃないし。
症状も、0か100か(あるかないか)じゃない。
グレーを許容しながら、できる限り快適に過ごす方法を模索する病気だ。
View Comments
いつも更新を楽しみにしています。
先生にこんな例もあると知っていただきたくて。
うちの現高2の息子、中1夏から学校に行けなくなり、狼狽した私は小児科へ連れて行きました。例の診断テストを受け、起立性調節障害と診断されました。
1年以上休んだころに読んだブログのお子さんと症状がにてて、気になり脳神経外科で再度検査したところ、脳脊髄液減少症でした。
今は徐々に回復しなんとか高校もかよっています。
小児科では、学校あわなかった?しんどいことあった?みたいな質問しかされなくて。
あの時、頭や、背中打った覚えある?と聞いてもらえたら、大切な中学時代を孤独に過ごすことなかったのになぁ。と思います。
適切な処置を受けて早期に復帰できる子が1人でも増えますように。