Categories: 起立性調節障害

起立性調節障害の原因 〜ストレス? 身体の成長?〜

起立性調節障害の原因って、なんだろう。

  1. 強いストレスにさらされたせいか。
  2. もともと、身体的にそういう体質なのか。

どっちだろう。

 

起立性調節障害と遺伝

たまに聞かれる。

 

起立性調節障害って、遺伝しますか?

 

体質的に今こうなっているのか、もしそうなら遺伝の関与があるのかという質問だ。

聞くと、親御さんにも中高生の頃同様の症状があったそうだ。

 

 

うん、これはね。(←あ、意図せずうんこ。)

うん、これ。(←うんこ)

 

遺伝、あるでしょうね。

 

 

起立性調節障害。

基本的には、循環器の病気だ。

血管の病気。

脳にうまく血液を送り出せず、いわゆる「脳貧血」の状態となる。

たちくらみやめまい、頭痛なんかを引き起こす。

 

血管の自動調節がうまく働かないため、こうなる。

血管って、自動調節じゃん?

「よし、血管を収縮させよう」とか、意識しないじゃん?

身体が勝手にやってる。

 

ってことは多分、体質はありそうだ。

自律神経的なアレコレとか。

体型や筋肉量とか、急激な身長の伸びとか。

とすると。

遺伝、あると思う。

 

メンタルの関与

じゃあ、原因がすべてコレかというと、そうでもなくて。

 

「起こしやすい体質」は、遺伝というか、生まれつきでありそうだ。

でもそこに、メンタル要素が強く関わる病気だ。

 

明らかに、ストレスが引き金となる子がいる。

どう考えても疾病利得のある子もいる。

※疾病利得:病気でいたほうがお得ってこと。この場合、ODで体調が悪ければ学校を休む正当な言い訳ができる。

 

メンタル状態は、症状に強く関わる。

環境によって症状が大きく変わる子がいる。

本人の気の持ちよう(きっかけがあって考え方がポジティブになったとか)で、症状が大きく改善する子も多い。

 

起立性調節障害、

メンタルの関与も、大いにある。

 

結局どっち?

起立性調節障害。

ご存知朝起きられない病気。

 

  • 親の接し方が悪いのだ。
  • いやいや、成長期の自律神経失調のせいだ。

疾患概念の広まりとともに、いろいろな意見が飛び交う。

 

 

起立性調節障害といえば、相当数の患者と出会っている僕がですね。(えっへん)

この論争に、一言物申す。

起立性調節障害の原因は、身体?

それともメンタル?

 

 

その答えは、

 

 

人による。

 

 

 

マジかーーーーーーーーーー。

 

 

伝家の宝刀、「人による」。

それ言っちゃおしまいなんじゃ?

 

 

でも、実際そう思う。

経験が増えれば増えるほど、そう思わずにいられない。

 

人による。

非常に個人差が大きい。

「ケースバイケース」の、めっぽう強い疾患のように感じている。

 

じゃあどう考えるか

なんだけど、「人による」って全てをぶった斬る言葉だ。

それを言っちゃぁおしまいよ的な。

じゃあどうしろと⁉︎ ってなる。

実際、悪化要因によって対処法も変わってくるわけですしお寿司。

 

 

こんな考え方はどうでしょうか。↓

 

 

身体とメンタルの関与を、それぞれパーセンテージで考える。

どっちがどれだけ足を引っ張っているかという視点で見てみる。

 

患者さんたちを見ていると、この割合が千差万別なように感じられる。

もちろん実際の彼らの生活全部を見ているわけじゃないんだけど。

 

話を聞いて推測するに、

身体メインの人

メンタルメインの人

がいるように思われるのだ。

 

 

例えば、身体的な要因が強い人。

↑こんな感じ。

原因の9割方が身体要素。

 

身体が100%にならないのは、

体調が悪いと少なからずメンタルにも影響を及ぼすよね

ってことを加味している。

 

体調が悪いと、生活に影響が出る。

  • 行きたかったイベントに行けない。
  • 他の人と同じようにフルで活動はできない。
  • しかも、いつ悪くなるか、予測がつかない。

多少なりともストレスがかかる。

このストレスが、多少なりとも症状を悪化させる。

 

こういった面があるように思う。

体調が悪いと → メンタルも悪化し → 体調の足を引っ張る。

なので、身体100%じゃなくて、10%ほどはメンタルの関与する余地ありとした。

 

 

逆に、メンタル要素がほぼ全ての人。

↑こんな感じ。

メンタルの関与が大きいんだけど、この人にも、ベースの身体的な特徴が10%くらい関与している。

 

まったく身体的な素因のない、

  • 高血圧!
  • 朝から超元気!
  • 強心臓!
  • 快便・快眠!

みたいな人は、ストレスがかかってもOD発症までは至らない。(と思う)

抑うつとかイライラとか、そっち系にいきそうだ。

だから、ベースの身体的な素因も少しは関わると思う。

 

 

↓両方の関与があり、同程度に足を引っ張り合っている人はこう。

 

うん、こんな感じかな。(←あ、またうんこ)(わざとじゃなくたまたま)(タマタマwww)(いつまでも精神年齢小学生)

僕の視点からは、この振れ幅の中で、「人による」ように見える。

 

まとめ

起立性調節障害。

ご存知、朝起きられない病気。

変わった病気だ。

 

ほぼほぼ身体疾患だろうと思われる子がいる。

生活リズムに気をつけつつ、服薬をしていくことになる。

多分そのうち治るけど、今はつらいよなーという感じでみていく。

 

逆に、ほぼほぼメンタルだろうと思われる子もいる。

ストレスに対処していくことになる。

 

でも、自分以外の要因(家庭や学校)がストレス源だと、自分での調整には限界がある。

客観的に、周囲の大人に対し「あー……それ言わんでやってや……」と思わされるケースも散見される。

周囲(親御さん)が責められるのは、このパターンだろう。

もちろんこれが全てじゃないから、「ODは親のせい」と断定するのは当然だが間違いだ。

 

 

身体面は、ある程度は仕方がない。

でもメンタル面は、改善したいところだ。

 

この子は、どっちがどの程度関与しているでしょうか。

メンタル面は、環境調整で軽減できますか?

 

特定の原因を探しても、ぴったりこないことが多いから。

パーセンテージで考えるのはどうでしょう。

そして、メンタル面は改善できないか考える。

 

 

起立性調節障害。

症状は、あるにしても少しでも楽に過ごす方がいいに決まっている。

ベース起きられなくても、起きられた日は活動するのがいいし。

学校を休んだにしても、家で好きなゲームや音楽やお絵描きを楽しめた方がよい。

 

そう考えると、起立性調節障害は0か100かで捉えない方がよい病気だ。

原因も、0か100かじゃないし。

症状も、0か100か(あるかないか)じゃない。

グレーを許容しながら、できる限り快適に過ごす方法を模索する病気だ。

pediatrician-p

View Comments

  • いつも更新を楽しみにしています。
    先生にこんな例もあると知っていただきたくて。

    うちの現高2の息子、中1夏から学校に行けなくなり、狼狽した私は小児科へ連れて行きました。例の診断テストを受け、起立性調節障害と診断されました。
    1年以上休んだころに読んだブログのお子さんと症状がにてて、気になり脳神経外科で再度検査したところ、脳脊髄液減少症でした。
    今は徐々に回復しなんとか高校もかよっています。
    小児科では、学校あわなかった?しんどいことあった?みたいな質問しかされなくて。
    あの時、頭や、背中打った覚えある?と聞いてもらえたら、大切な中学時代を孤独に過ごすことなかったのになぁ。と思います。
    適切な処置を受けて早期に復帰できる子が1人でも増えますように。

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pediatrician-p

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