先日、学校の先生と話す機会があって。
そこで、ざっくばらんな質問を受けた。
学校では、発達障害が増えている実感があるんすけど。
医療ではどーすか?
やっぱ、増えてるんすか?
先生からの素朴な疑問だ。
答えは明確。
全然、増えてるっす。
発達障害、増えています。
統計的にも増えているし。
体感的にもめっちゃ多い。
こんなに初診を受けているのに、なぜ、受診希望者が一向に減らないんだ!
と常々思っている。
どうしてこんなに多いのか。
なぜこんなにも、需要と供給のバランスが崩壊しているのか。
みんな待ってる。
困っている。
これでいいのか。
医療は保険点数で金額が決められているけれどさ。
コレ、自由経済にしたらさー。
需要供給曲線的にさー、需要過多で価格が爆上がりしてサ、僕とか一気に億万長者ウフフフ……じゃなかった、医療人としての使命に燃え、患者様のために、患者様第一で、滅私奉公でがんばります!!!
ってことで。
発達障害は増えている。
爆増している。
医療でも教育でも福祉でも、受け皿が足りない。
受診だけでなく、療育も通級もカウンセリングもいっぱいだ。
需要過多、供給過小。
このブルーオーシャンにビジネスチャンスがウフフフ……じゃなかった、広く公的支援が行き渡ることを、現場から切に希望する。
これ。
なぜかというと、
見つかるようになったから
が最大の理由で。
↑コレが一番大きい理由だと思う。
不登校が増えた理由と似てるよね。
「不登校」という選択肢がなければ、不登校は選べない。
今はその選択肢ができたため、不登校が増えている。
同様に発達障害も、「発達障害」という概念がなければ、発達障害の人口はゼロだ。
「発達障害」の概念を知らなければ、疑うこともできない。
ということだろう。
でも。
実際に、発達障害の人は増えているかいないのか。
↑コレはわからない。
概念の浸透による診断率の増加は、ひとつ、絶対にある。
でも、それを抜きにして、発達障害の実数自体が増えている可能性もあるんじゃないか。
先生の質問は、こういうことだ。
あると思う。
「わからない」。
個人的には、発達障害は先天的なものだと思っている。
だもんで、実数は昔から同程度で、さほど変化ないだろうという考え。(遺伝子頻度はそんなに急に変わらないから)
でも、あくまで僕の勝手な予想であって。
後天的な要素で発達障害が生じるという仮説に立てば、その実数が増えている可能性は、全然ある。
環境とか社会とか栄養とか習慣とか薬物とかウイルスとか?
わかんねーけどさ。
そんなものが本当に影響するなら、発症率が大きく変わっている可能性は十二分にある。
だから、わからない。
診断数が増えただけで実数は変わらないのか。
それとも実数自体増えているのか。
実際どうなのかと問われたら、答えは「わからない」になる。
そう答えたら、先生は不満そうにしてたけど。
しょうがない。
だって、わかんねーもん。
でね。
この件について、あとからぼんやり考えてたのね。
歯磨きしながらぼんやり。
ゼニ勘定しながらぼんやり。
僕、思いついたんだ。
あの先生に、「発達障害かもしれない親の率」を聞けばよかった!
ちょっと前に文科省から、
発達障害かもしれない子が、小中学生の8.8%
と発表された。
センセーショナルな数字で、結構話題になったんだけど。
コレね。↓
https://www.mext.go.jp/b_menu/houdou/2022/1421569_00005.htm
コレ、学校の先生から見て「あの子発達障害っぽいなー」って子の割合だ。
言っちゃえば先生の主観。
でさ。
主観で発達障害かもしれない子の数字が出せるなら、親御さんのそれも出せない?
先生から見て、コミュニケーションとか社会性に難のある親の割合ってどのくらい?
それがわかれば、30年前の発達障害者の率を推測する助けになるんじゃないだろうか。
と思った。
親も子どもの8.8%と同程度なら、昔から同様の頻度だった可能性がある。
明らかに少なければ、昔はもっと少なかった可能性がある。
と、思った。
先生なら発達障害の知識も持っているだろうし、親御さんと話す機会もあるだろう。
どんなもんだろう。
それとも、面談や保護者会程度じゃわからないものか?
もちろん、大人の社会的困難が、イコール発達障害じゃないことは理解している。
その他の精神疾患やパーソナリティ障害、トラウマ経験なんかからの不適応行動は、子どもと比較し圧倒的に増えるだろう。
でも逆に、大人になると、発達障害の人が診断から外れるケースも多いからさ。
社会経験から適応が良くなって。
だから、無理くり相殺ってことにして。
乱暴だけど、「今の社会的困難から発達障害有病率を推計する」ってことにしてさ。
学校の先生って、生徒児童だけじゃなく、親の対応に難渋することも多いだろう。
正直、親と子と、どっちの困難事例が多い?
病院だとどうしても、受診者にバイアスがかかるからさー。
子ども:発達障害
親:定型発達
↑このケースは受診するけど。
子ども:定型発達
親:発達障害
↑このケースは、病院に来ない。
だから発達外来では、明らかに子どもの困難率が高い。
でも一般外来(風邪とかインフルエンザとかみる外来)(あ、僕全然一般外来やってますよ)(フツーの小児科医)(メンタル専門じゃない)(ましてや、精神科医じゃない)の患者層だと、勝手な体感、困った親率8.8%って、大きくずれない。
↑こんな親御さんが8.8%って言われると、うん、まぁそんなもんかなと思う。(個人の体感です)
学校だと、さらにバイアスが少ないと思うから。
「特定の地域に住む、特定の年齢の子を持つ親」ってだけだから。
先生方、どうでしょうか。
学校の先生以外でも、広く一般の人と接する立場にいる方。
どんなもんだと思います?
親世代の困難事例の頻度から、30年前の発達障害発生率が推測できないかなーという、個人的な興味。
あくまで乱暴な推測で、エビデンスとしてはめちゃ弱だけど。
親世代と、子世代と、どちらに困難な人が多いでしょうか。
わかる方、やさしい方。
自由にコメント書けますので、教えろください。
View Comments
40年以上前でも良いですか?地域で多少バラツキはあると思いますが8.8%で合っていると思います。昔は全員普通級でした。
1.放課後ケンカでクラスメイトの頭を絵の具の筆の柄で刺した男子。攻撃性が強かったのですがピアノが死ぬほど上手かったです。
2.兄、妹のパターンは2人とも超絶美形でしたが煽ると必ず「死んでやる!」と屋上へ走って行きました。他害はありませんでしたが短気でした。
3.授業中に他の教科の道具を机に並べる女子(妹)。生後半年から喋り、生後10ヶ月で走っていて子育てが大変そうでした。そして体育が大の得意。しかし勉強面では机の上が溢れて度々バコッと何か落としていました。成績は中の中でしたが人になった今、事務仕事はかなり苦手で気を病みました。白と黒でしか判断できないので人事関係の仕事は皆無です。体を使う仕事が向いています。
4.3の母。白と黒でしか判断できず、話が通じません。今話題の宗教に没頭しています。妹に手を焼いていたので虐待を容認していた宗教が都合よくハマったんだと思います。妹は相当な虐待を受けていました。
5.4の孫。つまり私の子。IQ130超えです…大学生になり本人も私もまぁまぁ楽になりましたが、小学低学年は不登校気味で悩みました。20年前は精神青年医学の論文が日本語で読める状態でしたし児相が発達系に配慮がありなんとか今までやってこれました。しかし公立普通級は無理で中学から海外留学させました。知的好奇心を満たすにはこれしか方法がありませんでした。結果よかったです。
学校内だと攻撃性がなければ子供心には気付けません。身内は過ごす時間が長いので気付けます。
1〜4は40〜30年程度前の話で、5に関しては20年前の話です。
今から30数年前、田舎の小学校20人学級。
今思うと、ASDとADHD、LDの子がいました。明らかには2人くらい。先生が無茶苦茶怒ってて、暴力暴言が毎日。私は全然関係ないのに、近くの席だったりすると黒板消しが飛んできたり。連帯責任でビンタされたり。
小学生の時は心が疲れて月一回休ませてもらってた。勉強も部活も好きで真面目だったから親は普通に休ませてくれたな。感謝。
バリバリのLDの子、今は元気に過ごしてるかな。自分の子供がASD、OD、LD気味だから、しょっちゅう思い出す。昔のこと。彼はいじめられがちだったけど、私は普通に接していたことがせめてもの救い。
発達障害だと思われる人は昔から一定数居ましたから、今と変わらないと思っています。
ただ単純に細かく区別されるようになっただけ。
私自身、小学校低学年の頃は発達障がいだと思われても仕方のないタイプでした。
忘れ物多いし、宿題やらない出さない、学校の机でパンカビさせる、片付けられない、話聞いてないなど。
高学年くらいには定型っぽくなってました。
今現在、定型らしいです。
夫は小学校の同級生ですが、普通に見えました。
結婚するまで定型だと思ってたんですけど、子を産んで気がつきました。
完全に発達の人です。
義祖父→義父→夫→我が子へと遺伝。
義父は分かりやいタイプの発達障害ですね。
今は分かりにくい発達の子も気づいてもらえるようになったと言うことなのかな?
結果、診断される子が増えている。
都内在住、こどもが発達障害児が多い園に通っています。
(最初からバイアスがかかっててすみません。広くいろんな方と接する職業でもないので、市井の人間の実感としてお読みください)
やはり、問題行動が多いお子さんは親御さんの一方または両方がかなり個性的です。
一方がグレーな雰囲気で一方が普通という場合、普通側の親族に特性強めの人がいてお付き合いしている人の特性もさほど気にならず結婚…というケースもちらほら。
職場では、特性強めの人が集まりがちなコミュニティ内で結婚して更に先鋭化した特性持ちの子が産まれたよ〜…というパターンが周りに多いです。昔よりも女性が選べる学部・職種が拡大して居心地の良いコミュニティに流れ着いた結果なのでしょうね。
昔から一定数いた発達障害同士のカップリングで特性が薄まらなくなったり、出産の高齢化で突然変異が増えたりした結果、じんわり拡大しているんだろうなと思っています。
初めまして
どの角度からでも保護者が傷つかないお話でいつも安心して読めるので、とても救われております。
いち意見ですが、教えろさせていただきます。
オーバー40ですが、公の機関の窓口で働いていました(ハッピーな方は来ない部署です、福祉ではありません)。
大人で、話してても論理が噛み合わない方、情緒不安定に見えて、おや?これは?って思ういう方、初対面の他人に暴言を言える方、体感そのくらいと言われたらいるかも…あ、でも7%くらいかも…(気持ちディスカウント)と思います。
夫は民間の仕事で、多くの家庭にお邪魔する部署にいましたが、聞いてみたところ、『お客さんで話ができない人、8.8%?そんくらいいるよなー!』でした。
P先生の呼びかけでたくさん即レスされてるみなさんに、ほっこりして救われます。
『世界は思ったより優しい』の証明を見てます。
あ、顔松潤、髪質Vaundyだから普通に先生がモテてるだけですかね。
いつもありがとうございます!
教育関係ではありません。
でも、比較的幅広い大人と接している方、かつ、素がまあまあ分かる業種かな、と思います。
ざっっくりの印象。
先生の患者さんの親世代(30〜50代?):8.8%はいない気がします。
その上の世代:20%くらいの人に特性を感じます。
結論→子供の頃は、特性がよく分かる。その後、学習してそれなりに適応する。さらにその後、年とともに図々しさが増したり抑制が効きにくくなって、また特性があらわになる。
ということでどうでしょう?
自分の時代もクラスに緘黙症(一言も話さず声を聞いたことがない、のちに治り医療従事者になったと)、不登校、多動、いじめ…マンモス小学校でしたが、今より若干多かったイメージです。
教育水準が高く、進学校に行く子も多かったのですが…あまりに素行悪い男子に、教師の暴力暴言廊下締め出し、立たせるもありましたし。
良く学校に行ってたなと、あの時代でも家の子は不登校だろうなと…
今は、親が少し回りと違うと発達かも?とすぐに相談センターに行っているイメージです。
発達グレーなら早く療育を!生きやすい道を!とい方が多い印象です。
良くわかりませんが、さらに昔の8050引きこもり問題も、何か関係してるのでしょうかね
35年前にもクラスに馴染めない子、衛生面に頓着ない子、問題を起こす子はクラスに一定数居て、思い出すと今でいう発達障害・軽度知的に相当しているのかな?という感じです。
1クラス10人くらいは居たので、今と大して変わらないと思います。
近年、子どもたちの教育水準が上がって、できる子と困りごとのある子との差が大きくなったから余計に目立っているのかな?と思います。
学校の中に多様性を内包できる余裕というか度量がなくなった→個性が強い子どもは外部に押し出される→ 子どもの支援を受ける環境のリソースの取り合い(加配・支援学級・通級指導教室)→現場は人手不足なので、特別待遇するには根拠を示せと迫る→ 特性薄めでも、合理的配慮を得る為に医者の診断や通院している事実を学校に示す伝家の宝刀が必要→学校生活に困るととりあえず受診→これが受診が増えてる原因かなァ? と、、、
こうしたらこういう子どもがこうなる。
こういう風に教えたらこういう結果になる。
成功体験が多く広まりすぎちゃって、当てはまらない子どもが皆んな発達障害にくくられてる気がします。
補足
発達障害という言葉が当時なく、身体と知的障害しか認知されていなかったので、「あの子、ちょっとアレじゃない?」という視点で見ていなかった、ということです。
だから、グレーの子は記憶に残っていません。
多動や授業妨害なら、「廊下に立ってろ」と外に出されてましたし。