Categories: 親子関係

親力 〜トラブル時に親ができること〜

コメントをいただいた。

 

発達障害と診断された息子の母です。
もしかしたら息子の玉には問題はなく、母である私の対応のせいで息子が困り事を抱えているのかもしれない…と、沢山悩みながら、試行錯誤の毎日です。

試行錯誤した上での対応も結局は間違っているかもしれない…と、日々ネット上のどこかに息子と同じパターンの人を探して、彷徨っています。

でも結局、どちらにせよ、目の前の息子をしっかり見るしかないんですよね。ライフハック的な対策なんて存在しない。

発達障害と二次障害の区別というか線引きも難しいなぁと感じております。

息子が何に困っているのか、どこまで理解しているのか…ネットではなく、息子の玉を見ます(下ネタではなく)。

 

 

この話についたコメント。↓

発達障害か、愛着障害か発達障害という概念は、だいぶ市民権を得ているように思う。 気になる子がいると、「発達障害かしら?」と疑う大人は多い。 受診を...

 

 

 

キーーーーー!

くやしいっっっ!!!!!

 

 

 

誰が上手いこと言えと。

上手くボケられると、僕は嫉妬が止まらない。

この方に限らず、いいセンスでコメントする方が結構いて。

 

ぼぼぼぼぼくだってなぁ、本気出せばもっとウケるんだからなぁ!(小物感)

 

ってことで、今日は玉の観察の話。

玉を見る話です。(下ネタではなく)

 

 

上記コメントの通り、その子の『玉』を観察するのは、めちゃくちゃ大事。

診断や分類も良いし、専門家に相談するのもよい。

ネットで似たタイプの人を探して、参考にするのも良いだろう。

 

ただ結局は、玉の観察だ。

その子特有の『玉』を見るしかない。

世界にたった一つの『玉』だ。

 

いや、『玉』は二つか……? (いい加減、下ネタやめて!)

 

こんな親子がいました。

対照的な二組の親子に会ったので、紹介させてほしい。(もちろん細部は大幅に変えています)

 

Aさん親子

 

子どもが、クラスメイトを蹴ったようです。

暴力はダメだと強く言いましたが、反発するばかりで聞き入れません。

他にも、学校の備品を壊したり、授業中に教室から出て行ったり、嘘をついたり。

その都度先生から呼び出されますし、家でも非常に反抗的で、ほとほと困り果てています。

 

ほほぅ。

そりゃ大変ですね。

 

ちなみに、お子さんはなぜ友達を蹴ったのですか?

もともと犬猿の仲だったとか、嫌なことを言われたとか、理由なく衝動的にとか。

 

理由……?

わかりません。

はて、なんででしょうね。

 

Bさん親子

 

子どもが、クラスメイトを蹴ったようです。

相手から手を出してきて、息子は我慢したのですが、しつこく絡まれて我慢しきれなかったようです。

息子は悪くないですが、蹴ったらあなたが悪者になっちゃうよと伝えました。

 

なるほど。

 

まず我慢したのは偉かったですね。

成長を感じます。

ぜひ褒めてあげてください。

 

今年度はその折り合いの悪い相手と同じクラスになり、荒れています。

学校の備品を壊したり、授業中に教室から出て行ったり、嘘をついたり。

家でもイライラしていますが、理由がわかっているので大目に見ています。

ゲームが長いのも、まぁ。(笑)

 

 

 

 

いかがでしょうか。

片方は、トラブルばかりに目が行き、理由がすっぽ抜けている親御さん。

方や、トラブルの理由をよく見ている親御さん。

 

僕はこの2組の親子に、親御さんの力の差を感じた。

 

トラブル時の対応

この手のトラブル時に、親御さんができることって、そう多くなくて。

  1. 『玉』を見る。
  2. 骨を拾う。

くらいだ。

 

①『玉』を見るって、つまり、なぜその行動をしたか理由を把握するってことだ。

変なことには必ず理由がある。

奇祭と同じだ。

その問題行動にも、必ず理由がある。

 

なぜ蹴った?

 

友達を蹴ってはいけないなんて、きっと子どももわかっている。

その上で蹴った。

それなりの理由があるのだろう。

 

普段のその子を観察していると、なんとなく透けて見える。

  • 衝動性が強く、「ただ目の前にいたから」蹴ったのかもしれない。
  • 別件でイライラしていると、我慢が効かなくなるのかもしれない。
  • 今まで色々あって、その相手だから許せなかったのかもしれない。
  • いや、そもそも「相手が悪ければ蹴っていい」と認識しているのかも。

 

さて、どれでしょうか。

普段の観察がものを言う。

 

 

そして。

本人は、なんて言ってる?

 

トラブルがあったとき、話が聞ける?

そういう親子関係を築いている?

 

頭ごなしに叱る親御さんには、子どもはきっと何も言わない。

どうせ聞いてもらえないからだ。

理由は言わず、ただただ反発する。

 

以前いただいたコメントで。

 

中2の娘が親の車を蹴りました。

いけないことなのでやめさせたいですが、言うことを聞きません。

 

というのが、頭に残っている。

 

いや、中2やろ?

車蹴っちゃダメなことくらい、わかってるやろ。

わかって、敢えて蹴ったんちゃうの?

 

ここを聞かない親御さんは、一定数存在する。

問題行動をやめさせることばかりに気を取られ、「なぜそれをしたか」がお留守になる。

この話でも、「不登校をとりつくろうこと」に必死で、大事な部分がおろそかになっている親御さんの話を書いたけど。↓

就活より自己理解 〜不登校の既往があると就職できない?〜不登校によるデメリット。 僕は「機会」の損失だと思っている。 代わりに得るものもあって。 それは「時間」。 ...

 

これ、当然だけど予後が悪い。

お分かりいただけると思うが、「ダメなものはダメ!」でゴリ押ししてうまくいくケースって多くない。

子どもがふわっと流されるタイプならまだしも、すでに困っちゃってるケース、トラブルが起きているケース、尖った個性のケースでは、相当に効果が薄いはずだ。

 

ですよね?

あなたのお子さん、もしくはあなたはそのタイプですよね?

 

 

トラブルをなくそうと頑張っても、あまり意味がない。

ってゆーか、多分なくならない。

 

それより、『玉』の観察だ。

 

その子はどんな子で、どんなシチュエーションで、どう考えたからその行動を取った?

↑この観察が不可欠。

 

そのためには、日頃から、トラブルが起きる前から、よく観察する必要がある。

日常の、些細なことを。

 

 

子どもの特徴を、日頃からよく見ている親御さん。

有事の際にも、子どもの話を聞く傾向にある。

 

なぜそれをしたの?

どんな状況で、どうなった?

 

普段から話を聞いてくれる親御さんだ。

トラブル時にも、子どもはしゃべってくれる。

 

聞けば、頭ごなしに叱りつける必要はないとわかる。

叱るのは、むしろ逆効果だとわかる。

 

 

そしてこのような関係だと、おそらく②骨拾いも上手だ。

子どもは失敗する生き物。

尖った玉を持つ子は、きっとたくさんトラブルを起こす。

 

そのときに、親御さんは上手に骨を拾ってくれる。

すると、子どもは安心して失敗できる。

安心感を土台に、じゃあどうすればよかったか、主体的に考え、掴み取っていく。

 

人は、経験から学ぶ。

以降のトラブルが減っていく。

親御さんに余裕ができて、さらに話を聞けるようになる。

 

親力

繰り返しになるが、子育てにおいて親御さんができることって、さほど多くないと僕は思っていて。

でも、さほど活躍の場面の多くない親御さんの力が、非常に強い力を持つ。

 

具体的には上記の通り。

  1. 『玉』の観察
  2. 骨拾い

の二つだ。

あとは、親御さんの人生をエンジョイしていただければ最高。

 

ここに、親の力の差を感じる。

親力といいますか。

この視点がある人は、有事に強いなぁと思っている。

 

 

目の前のトラブルをただただ消しても、意味がない。

頭ごなしに叱っても、きっとまたトラブルが芽吹く。

 

そんなことより、圧倒的に玉の観察だ。

 

その子はどんな子で、どんなシチュエーションで、どう考えたからその行動を取った?

↑これが大事。

 

どんなトラブルを起こしたか

より

なぜその行動を取ったか

の方が、ずっとずっと大事で、意味があると、僕は思う。

pediatrician-p

View Comments

  • いつも読ませていただいています。

    コメントの方、まじめな文章の最後に「下ネタではない」と否定する形で上品に下ネタをぶっこんでくるというおもしろさがありますね。P先生が嫉妬するのもわかります笑

    中2息子の玉ってなんだろうな、と今も模索中です。でも、もし不登校にならなかったら、他の子と同じように生きられる普通の子として、「何でできないの」「人に負けるな」とハードルを上げまくる母親のままだったかもしれません。仕事で成果を出すように、子どもをエリートに育てることで自分の価値を上げるよう頑張っていたかもしれません。不登校になったことで、この子には何か生き辛さがあるな‥と気づくことができました。
    不登校にならない方が楽だったけれど、色々気付くこともあったな、と思います。
    真っ暗なトンネルの中で、ちょっと笑えたり、子どもについて色々学べているのはP先生とコメントされる皆さんのおかげです。
    いつもありがとうございます。

  • P先生、いつもありがとうございます!

    HSC娘がいます。
    玉を見る。を意識して、本人もたくさん話してくれるので親子関係は良い方だとは思うのですが、玉を見ようとしたとき、「どうしてこの子はこうなのだろう」と思ってしまうと、そこに否定の感覚のいいますか、「社会適応するためになにかクリアしなければならない問題がある」というニュアンスが入るということに気がつきました。
    (いや、実際問題はあるのですが)

    「なんで」より、「今、どういう状態なのかな?」「どうしたいのかな?」という意識の方が、余計なノイズが入らず本人を見れるような気がします。あと、親自身が人生を楽しんでいると、余裕がでて柔らかい目線で見ることができるのかも?日々、試行錯誤中です。
    たくさんの気づきを本当にありがとうございます。
    ちょいちょい挟まれる小ネタにほっこりしています(笑)

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