Categories: 発達障害

ASDは人目を気にしない⁉︎

ASD。

自閉スペクトラム症。

社会性やコミュニケーションに困難があり、典型的には人目を気にしない。

 

人目を気にしない?

 

典型的には、そうかもしれないけどさー。

 

人目を気にするASD

教科書的なASDは、対人意識が希薄で、人に興味がない。

人目を気にせず行動できる。

いや、「できる」というか、「しちゃう」というか。

それでトラブルを起こすわけだけども。

 

でもさ!

 

人目を気にするASDも、めっちゃいると僕は思うんだよ。

 

 

ASDって、自閉「スペクトラム」症だ。

白か黒かじゃなくて、幅のある概念。

 

しっかり特性がある人は、人に興味がなく、関わろうとしないかもしれない。

関わる必要性を感じないというか。

一人で好きなことをやっていればハッピーな人ね。

そういう人も、もちろんいる。

 

でも、そこまでじゃない人もいる。

 

空気が読めないがゆえに、これまで何度も失敗してきた。

「自分の感覚はなんか変らしい」

「気をつけないとトラブルを起こすらしい」

経験からそこに気付いて、気をつける人もいる。

 

「トラブルを起こさず社会生活を送りたい」と望む人。

それなりにしっかりと社会性というか、対人意識がある人だ。

 

 

後天的に客観視する人がいる。

求められる振る舞いを理解する人がいる。

そして、是正しようと努力する人がいる。

 

もちろんASDなので、完璧にはできない。

ちょっとズレた言動をしちゃうんだけど。

 

でも、彼ら彼女らが、「人に興味がなく人目を気にせず行動する」かというと、

 

そんなことはないっ!

 

と、僕は思うんだよ。

 

 

ってことで、人目を気にするASDはかなり多いと思います。

気にし方には偏りやズレがあるけど。

それで困りごとを起こしちゃうから、ASDなわけだけど。

 

でも、結構気にするASDは多い。

いや、かなり気にして、僕的にはHSPと区別がつかない人もいる。

 

「人に興味があるから、人目を気にするから、この人はASDじゃありません」

とは言えない。

 

ASDの本質

ASDの本質って、診断基準にあるような「コミュニケーション」とか「こだわり」ではないんだと思う。

それは、本質の部分から出てきた、『結果』であって。

『原因』は別にある。

 

僕的には、生まれつきの自他境界の弱さなんじゃないかと思っている。

 

自分と他人の境界が薄い。

人は人、自分は自分、という感覚が薄い。

よって、対人関係や相互関係で困難が生じる。

 

 

社会的な相互関係を把握する力が弱い。

ゆえに求められていることが察知できず、マイルールやマイワールドにこだわっちゃう。

 

確固たる自分がないから、イレギュラーに弱い。

自分とそれ以外の境界が脆いから、環境が変わると全てが足元から崩れるような不安に襲われる。

「いつもと同じ」が安心・安全。

 

すべて自他境界の薄さ(弱さ)に端を発しているように思われる。

※個人的な見解です。ASDの仕組みはまだ解明されていません。

 

 

症状が強く出ると、「社会性」という概念が極端に薄れて、人目を全く気にしなくなる。

そういう人もいるけど、そうじゃない人もいる。

ある程度の社会性や客観視する力が保たれていると、過剰なくらい人目を気にしたりする。

僕のところには、そんな人がたくさん来る。

 

ASDグレーは存在しない

ある高名な先生が言ってたんだけどさ。

 

ASDは、そもそも自閉「スペクトラム」で、濃淡を含んだ概念です。

よって僕はグレーゾーンとは言いません。

グレーも含めてASDです。

 

そーだよなーって思った。

「そういう傾向があって、困っている人」なら、ASDだよなって。

 

とか言って僕も、「グレーといえば、グレーですかねぇ」とか「まぁ即座に診断ってレベルではないですけどねぇ」なんて言い回しを使うけど。

なんて曖昧www

テラチキンwww

正確には、「そのような特性があり、社会で困っちゃってる」ならASDなのだ。

 

 

そう考えると、ASDって

めちゃくちゃ

めちゃくちゃ

めちゃくちゃ

幅広い概念だ。

 

典型的な症状の人ばかりでは、全然ない。

診断:Yes or NO

みたいな疾患概念じゃないんだ。

 

 

ASDは人によって症状が異なるとは、よく言われるけどさ。

マジそれなって思う。

  • こんな特徴があればASDです。
  • この特徴がなければASDではありません。

なんて、すっきりクリアなものではない。

 

もっと曖昧で、裾野の広い疾患概念なのだろう。

広い広ーいくくりの中で、「困っちゃってる人」にASDと名前をつけただけで。

 

 

そこから派生して、じゃあASDの診断がついたら人生終わりってわけでもないし、ASDじゃなければ人生安泰ってわけでもない。

そもそも、そんなクリアカットの話じゃない。

「ある」か「ない」かじゃないんだ。

この辺、一般的に認識されているASDの概念との大きなズレだよなーと思う。

 

診断にとらわれず、その子をよく見てください。

 

結局ここなんだけど。

この真意はマジで深くて。

  • もろもろ勘案した上で、
  • もちろん診断や投薬が有用なときもあるけどそうじゃないときもあるし、
  • 支援につながるか否かもケースバイケースで状況にもよるし、
  • ゼロか100か! 白か黒か! じゃなくて、
  • その子の曖昧な部分を丁寧に掬い上げた方が結局質のよい支援ができます。
  • ひいてはその子のQOL (クオリティ・オブ・ライフ:生活の質)も上がります。

ってことなんだけど。

 

病院で:「診断とはせず、経過をみましょう。」

と言ったら、

飲み会に:「行けたら行く。」

的な、お茶濁し的な、「お前ぜってー飲み会来ないじゃん!」みたいな捉え方をされるので、難しい。

逃げて濁してるわけじゃなくて、そういうことなんですヨ。

 

でもこうなるから、「ASDのグレーですかねぇ」みたいな発言を使っちゃう。

正しくないよなーと思う。

pediatrician-p

View Comments

  • 人目を気にするASD。
    まさにうちの息子です。
    ちなみに、ASD+ダウン症+HSCと言われています。
    中学生になってすぐに不登校になり、現在中3です。
    スペクトラムってそういうことだなって、P先生の仰るとおりと納得です。
    うちの息子は、人は大好きで受け答えも出来ますが、一方的なところもあり、想定問答じゃないと気持ち悪いようで、返事の文言を復唱させたりします。環境の変化にはめちゃくちゃ弱く、いつもと同じがだぁーい好きです。
    息子の支援学校のお友達を見ていても、本当にいろんなタイプのASDがいると感じます。
    わたし自身、まだ充分に息子の特性を把握しきれていない気がしています。障害名ではなく、その子をまるごと見ることが大切ですね。

  • 自他境界の薄さ
    初めて聞きました。

    私の母がそうです。
    これで何度揉めたか、、、。
    いくら説明しても首をかしげて「理解できない」という表情でした。
    理解できなければ、何度も繰り返す訳で、同居でこれはキツかった。

    子供の事で拝読していますが、発見が沢山あり、感謝します。
    病院って、気になる事しか話さないし、お医者さんのお話ゆっくり聞く機会もないですし。

    学校が嫌になるのって、同級生の自他境界の薄さも一因かと思います。
    「自分の意見は正論だから、相手に文句言っていい」を自分の価値観を相手に押し付けて何度も何度も言う子いますね。

    気が弱いと言い返せなくて、「バカなのね」とスルーも出来なくて。
    お互い子供だから。

    嫌なことをスルーするのも経験から学んでいくことですが、元々打たれ弱いから不登校な訳です。
    まずは家を安心な場所にして、話に耳を傾けて、せっせと種を蒔く骨拾いBBAです。

  • P先生、またドンピシャです。

    先日、児童精神科の先生に
    『息子が最近、自分が発達障害がありADHDじゃないかと思っているんです』
    私も今まで先生に聞かず繊細気質のあるADHDグレーくんと思っていました。
    すると先生は
    『え?息子くんはどっちかというとASDですよね』
    と言われびっくりしました。
    一目を気にするので違うなーなんて思っていました、、、
    一目を気にするASD、、、ぴったりですね。
    不登校もながーくなってますし。
    参考になります!
    いつもありがとうございます!

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