Categories: 発達障害

【発達障害の診断】それは主観です。

文部科学省が

 

通常学級の公立小中学校に通う生徒の8.8%に発達障害の可能性があり、

35人のクラスであれば約3人がそれに該当するという割合になる。

 

と報じた。らしい。

 

この数字にビックリした方へ。

 

発達検査

発達障害の診断の話。

※今日はASDとADHDの話。LDはまた別なので除外。

 

耳にタコでしょうけど、発達障害(ASD、ADHD)を診断する検査は存在しない。

いわゆる「発達検査」のWISCや田中ビネーは、発達障害を診断するものではない。

診断の補助にはなるけど(デコボコが大きいとより疑わしい とか)、確定的なものではない。

 

じゃあどうやって診断するかというと、

  • どんな症状(特性)で
  • どのくらい困るか

です。

 

この子は何点?

でね。

 

診断補助ツールというのがあって。

チェックリストみたいなやつ。

何点以上だと可能性が高いよ! 的なやつね。

 

これも、主観なんですよ。

診察室でつけると、

「それってあなたの感想ですよね」(ひろゆき)

ってことがしばしば。

 

例えば、

親御さんは「多動はない」って言うけど、今現在この子、めっちゃ走り回ってるんですけど。

あ、診察室から出て行っちゃった!

 

とか。

 

空気が読めないって言うけど、ちゃんと受け答えしてますが。

なんなら親御さんの「空気が読めない」という発言を受けて、急に空気読めないキャラに変わった。どゆこと。

 

とかさ。

 

これまでの問診でそれっぽいエピソードがボロボロ出ているのに、「ありますか?」には「ありません」になっちゃうケースがある。

逆に、全然それっぽくないし実際トラブルもないのに、人生でたった1回のミスを挙げて「ありまぁす!」になる人もいる。

いや、ないやろ。STAP細胞か。

 

まぁ、主観なんですよ。

 

診断は主観

何が言いたいかというと、発達障害の診断って、主観なんですよ。

だから上記のような、○%とかの数字をみても、うろたえないでほしいってこと。

同時に、「発達障害です」と「発達障害じゃありません」の間に明確な線引きはないってことを知っておいてほしいと思った。

 

 

うちの子が発達障害か否か、気になっている親御さんは多いと思う。

受診するべきか否か、迷っている方もいるだろう。

 

でも、実際こんなもん。

「こんな症状でこれだけ困っています」と言われれば、僕たちは診断をつけるし。

「特に困っていません」と言われれば、診断はつけられない。

 

僕らは、学校や家庭での様子を見ることはできなからね。

聞き取りで判断するしかない。

 

余談だけど、僕は「診断したか否か」と「僕的にはASD (ADHD)タイプだと思っている」とを分けて考えていて。

「診断するとしたら、先生はなんだと思いますか?」と聞かれれば答えるし。

聞かれなければ、むしろ口出し無用(言っても誰もハッピーにならない)ってケースもたくさんある。

 

 

つまり、「主観ですよ!」ってこと。

思ったより主観です。

 

発達障害の統計とかあるけどさ。

どこで線をひくかって、主観なんです。

 

くっきりはっきり、

○点以上が発達障害で、それ以下は定型発達です。

という基準は存在しない。

 

「答えた人が、困っています(過去困りました)」という表現が、実際に近いと思う。

※冒頭の文科省の調査も、「担任等」が回答したらしい。つまり、「担任の先生が気になった子の割合が8.8%」って意味だ。

事実、別の人に聞いたら全然違う答えが返ってくるなんて、めっちゃある。

 

 

主観です。

発達障害の診断、それは、主観なんです。

 

だもんで、

 

うちの子、発達障害かしら。

 

グレーって言われたけど、どういうことかしら。

 

といった疑問に、すっきりはっきりお答えするのは非常に難しい。

 

迷うとかグレーってことは、典型的な症状ではない。

  • 困るところもあるし
  • そうでもない時もあるし

って感じでしょう。

 

「どっちですかっっっ⁉︎」

に答えるのは、僕には非常に難しい。

 

 

これまでどこかの病院を受診し、歯切れの悪い対応をされた経験を持つ方もいらっしゃるでしょう。

それは、こういうこと。

患者さん側があると言うならあるし、ないと言うならないし。

主観なんですよ。

 

ちなみに診断する側としても、主観が入るし。

「この程度の特性があれば診断として良いだろう」という線引きは、まぁ、主観ですよね。

 

本質を見て

僕から言いたいのは、

診断は、確固たるものではない

ってこと。

 

診断をつけた方がお得(特性が理解しやすいとか、人に説明しやすいとか)なら、つけた方がいいと思うし。

つけない方がお得(逆に支援が受けづらいとか、できることも制限されちゃうとか)なら、付けない方がいいだろう。

 

うちの子、他の子と比べてどの程度?

しっかり特性がある方なのか、薄い方なのか。

 

気になる気持ちは非常にわかる。

マジ、超わかる。

大事な視点だと思うし。

 

でも実際、診断って主観だから。

「〇〇の検査で□□点だったから、基準は満たさないけど、でも定型発達かというと……」

とか思い悩まなくていいと思いますよって話。

診断云々を抜きにして、困るところがあるなら、それは特性でしょう。

 

また、診断がついたからといって

「じゃあこの子はASD (ADHD)だから、この先はああなってこうなって、こんなことで困る」

とも決まらないしね。

 

あくまで主観なんです。

そんなものです。

 

診断にこだわらずその子の個性(玉)を見るほうがずっと有意義だと思う所以は、ここだ。

pediatrician-p

View Comments

  • 小2の娘、完全不登校です。
    P先生は鎮静剤、いつも癒されています。ありがとうございます!

    WISCの数値の差が大きいという理由でASD診断でしたが、本人も私も何も困っていないので、その診断をあまり気にしていません。
    学校への不満をはっきりといくつも言語化していて、不登校の原因は知的に高い部分にありそうだなと思うのと、ASDとしての支援は「出来ることもできないと思われている」と感じるようで、親としてもちょっと違うなぁと感じています。

    ちなみにワーキングメモリが低かったのですが、検査を担当した心理士は「一生懸命覚えようとしてたのに数値が低かった」という判断だったのですが、
    その実「めんどくせぇな」と思ってたみたいで、一生懸命やる振りをしてたんだそうですww
    そうしないと「もう少しやってみようか?」とか言われるかもしれないから、だそうです。

    苦手分野なのは確かですし、興味ないからやらないというこだわりの強さがあるのも確かです。

    ただ、心理士には一生懸命に見え、医師にもそのまま伝わった上での診断だったらしいですが、本人の話が全て正しくは無いにしても、見えないところはあるよなぁって思いました。

    こだわりの強さがASDなのかそれ以外なのかにせよ、こだわりが強い個性だと思っていれば良い、と思ってます。

  • 3人とも不登校で不安感が強い
    何かあると思って調べたりいろいろな人に相談したりしてきました。
    WISCの凸凹が大きい子もいる。でもそうでない子もいる。
    今日やっと、玉を見続けてもしやと感じていた事実、自分のマルトリートメントの積み重ねだと言うことを受け入れました。
    いろいろな人に相談してきたのは、私じゃない人にどうにかしてほしかったから

    もちろん先生がおっしゃるように親のせいだけじゃない。
    でも私、根本を見ずにいたのです。
    玉を見ていた『だけ』で満足し、受け入れずにいました。
    ちょっと今パニックです。

  • 学習障害がある小6息子です。
    起立性調節障害で5年生のとき不登校になりました。
    今はたまに休みつつ通えています。
    朝起きて、その日により行けたりいけなかったり。その日の気分により波が大きい。
    学校も行きたくない朝は、しくしく泣き出してしまったり。
    波がありすぎて、親の主観さえも定まらない感じです💦ただただ毎朝、振り回されてしまいグッタリ疲れてしまいます。
    行きたくない理由が、勉強以外に思いつかないほど友達とは楽しく遊んでいます。
    まだまだ、玉が見えていないのでしょうか。

    来年は、中学生。近所の公立中にするか、学習障害に対応してくれる私立中学にするかまだギリギリで迷ってます。

  • 困った時に答えが出ると
    結論出て進みやすいのはありました。
    でも、だんだんと
    セカオワのhabit聴いてたら
    分類にハマってしまってるな
    それぞれがオリジナルな習性
    そっちが進みやすく感じてきたこの頃です。
    主観だなとドクターの個性も関係してる感じあります。
    十人十色で納得いく社会がいいなあ。

  • 親と息子とは別々に受診するスタイルの病院です。うちの主治医も歯切れが悪くて、こちら(親)から聞いてみて初めて「多分ASDだと思う」と言われました。本人が特性絡みで困っていることがあって相談を受けたら告知するけれど、今はそうではない、ということで、本人には告知していません。これで大丈夫なんだろうか?と悶々としていましたが、今回のP先生のお話で主治医の意図するところがわかった気がしました。玉をみる、そこですね。特性ばかりにフォーカスするのではなく、息子そのものを見ていく姿勢を大切しようと思いました。また、今の主治医に不信感を持ったこともありましたが、玉をみようとしてくれているのだと気づきました。ありがたいです。

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