Categories: 発達障害

ADHDは後から 〜選んでから、さてどうする?〜

ASDやADHDの子と接する際、特性に応じてちょっとしたコツがあるように思う。

 

  1. ADHDは後から
  2. ASDは先に

だ。

 

なんのこっちゃ?

 

まず、

  1. ADHDは後から

について説明する。

 

こんな子がいました。

ADHDの中学生。

そろそろ受験とか進路とか諸々、考える必要が出てきたところ。

 

もともとは全日制高校を希望していた。

 

アンタ、今の登校頻度じゃ、高校では進級できないのよ。(この子は五月雨登校)

分かってる?

 

本人はなんとなーく「全日制」と言っており、実現可能か、ダメだった場合どうなるかは考えていない様子。

高校は、単位足りなきゃ留年だからね。

母の心配も理解できる。

 

すったもんだの親子喧嘩があり、1ヶ月後には「やっぱり自衛隊を目指す」と言い出した、とのことで。

 

自衛隊の学校って偏差値高いんだけど、今の学力じゃムリくね?

 

またすったもんだの親子喧嘩。

さらに翌月にはこうだ。

 

突然「アートの専門学校に行く」ってアンタ、友達に影響されただけでしょっ。

 

で、またまたケンカ。

 

本人は大激怒。

曰く、「オレの考えをことごとく否定する!」と。

進学しても、どうせ自分は勉強しないから、専修学校でアートの勉強をしながら高卒同等の資格を取ろうと思った。

らしい。

 

そう聞くと、確かに彼なりによく考えている。

うん、分かる。

 

だが母は納得しない。

 

その学校で、卒業生はどんな進路をとるのか。

どのくらいの就職率なのか、生活していけるのか。

この辺全然調べてないんです。

潰しが効くのか全くわからずに突っ走ろうとしていて、許可できるはずがない!

 

母の言い分も理解できる。

 

突っ走るADHD

思うに、ADHDには「飛び出して行く才能」がある。

外へ外へ広がって行く力、というか。

 

新たなことに手を出すのに躊躇がない。

決めたら即突っ走る。

思いついたら、もう背中が見えなくなっていて。

 

いいところなんだけどね。

長所なんだけど。

でも、だからこそ困ってしまう場面も出てくるよね。

 

上記の例なんて、まさにそうで。

後先考えず、気が向いた方向に突っ走る。

まさにADHDの真骨頂! と言わんばかりの性質だ。

 

 

これさ。

僕は

突っ走らせていいんじゃね?

と思うのだ。

 

もちろん個人的な見解で、何が正解か不正解かなんて、やってみなきゃわからない。

いや、やってみても分からないだろうから(やらなかった場合との比較はできないから)、手放しでこれが良いよとは言えないんだけどさ。

 

 

ADHDは、まずやってみればいいと思うんだ。

気の向くまま、風の吹くままに。

 

見通しが持てなくても、ムリ目なチャレンジでも、「こう」と思ったら「こう」なのがADHDなのだから。

それが『玉』だ。

ADHDだ。

 

その子の人生だ。

思うようにやってみればいいと思う。

 

 

でさ。

やってみた後の振り返りが大事

だと思うんだよね。

 

熟慮せずに、とりあえずやってみたのだ。

失敗の可能性は高い。

少なくとも、こんなハズじゃなかったーってことの一つや二つ、出てくるだろう。

 

その時に、「じゃあやーめた」と放り投げるんじゃなくてさ。

今回はなぜうまくいかなかったのか(もしくはうまくいったのか)

じゃあ次回はこうしよう

↑コレがめっちゃ大事になるのが、ADHDだと思うのだ。

ココがコツ。

 

次につなげる

衝動的に選ぶ。

それもまた良い。

ADHDだもの。

 

でも、選びっぱなしにしない。

経験しっぱなしにしない。

 

ちゃんと、次につなげる。

 

↑ADHDの社会適応を左右するカギは、ココだと思う。

 

 

飽きると途端に興味がなくなるのがADHDだ。

気持ちはもう次に行っているのは重々理解できるが、そこでちょっと踏み止まってですね。

「今回の学びはなに?」

振り返る方がよい。

 

自分で選んだ場所だもの。

辞める前に、ちょっとだけ振り返ってほしいんだ。

 

どこが合わなかった?

どう、思ったのと違った?

じゃあ、次はどうする?

次につなげてほしい。

 

コレがないと、あれこれチャレンジしても、一つひとつがバラバラ。

行き当たりばったりになってしまう。

 

 

僕、いるように思うのだ。

あちこちとっ散らかって、結局どこに向かっているのかよく分からない、ADHDの大人。

せっかく色々やっているのに、社会的に評価されない人。

多分、自分でもどこに向かっているのかよく分かっていない。

 

逆に、社会的に評価されるADHDって(ADHDは社会的に評価されやすい特性です。社長、校長、起業者なんかに多い)、経験がつながっているように思う。

色々やって、経験がちゃんと生きているというか。

失敗を次に生かすというか。

経験の中から、自分の強みと弱み、自分に求められるものをよく理解している。

ように見える。

 

 

ADHDだ。

フットワークは軽い。

失敗しても、めげずに次に行くのが強み。

そうやって経験を繰り返せば、そのうち「成功しちゃう」のだろう。

※フットワーク激重の僕(ASD)としては、非常に羨ましい。

 

知り合いで、転職を繰り返し、でもその中でちゃんと芯が通っている人がいる。

ちゃんと評価され、出世している。

 

片や転職を繰り返し、あっちにフラフラこっちにフラフラ、見ていて危なっかしい人もいる。

評価される前に転職しちゃう。

 

この差は、「経験を振り返って次につなげるか否か」だと、客観的に見てて思うんだよなー。

 

まとめ

 

ADHDは、あとでつじつまを合わせる

↑これがコツかと。

 

転ばぬ先の杖をついたり、潰しが効くようプランニングしてから動くのは、性に合わない。

そう、「性に合わない」んだよね。

 

とりあえずやってみればいいんだよ。

ADHDだもん。

それが強みだ。

 

で、辞める前にちょっと振り返る。

今回の選択の良かったところは?

悪かったところは?

↑これが大事。

 

 

抽象的なので、ちょっとドラクエに例えさせてください。

 

旅に出るならやっぱ戦士?

そう思うなら、やってみれば良い。

 

で、戦士に飽きたときに、考える。

 

戦士の欠点は?

なんで転職するの?

 

次は、なんかカッコいいから盗賊! じゃなくてさ。

戦士+武道家 → バトルマスター(物理攻撃の鬼)

を目指すのか、

戦士+僧侶 → パラディン(鉄壁の防御力)

が必要なのか。

 

そもそもなんで転職するんだっけ?

戦士では、どんな不都合があった?

 

↑ココが、ADHDのコツ。

社会適応を分けるカギなんじゃないかなーと僕は思う。

※ちなみに戦士+盗賊で転職できる上級職は存在しない。テキトーに転職を繰り返すと、いたずらに中途半端なスキルを増やし、扱いづらいキャラとなる。

 

やっぱ、人生はドラクエだ。

pediatrician-p

View Comments

  • なかなか耳の痛いお話です(笑)。
    ADHD強めの息子には、ついつい後先を考えて判断する力を習得してほしいと思ってしまいがちです。
    “この思考回路のまま大きくなって、いつか痛い目に合うんじゃないか”と思うとつい…。
    失敗も経験、あんまり先回りしすぎないように心がけてはいるんですが『本当にその選択で大丈夫?〇〇になったときはどうするの?』みたいな言葉をかけちゃいます…。
    一緒に振り返ることに重点を置くほうが大事ですね。
    反省しまーす(+_+)

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