ASD (自閉スペクトラム症)と、ADHD (注意欠陥多動性障害)は、別の病気だ。
特徴も違うし、根本の原因も別だと思っている。
(ASDは自他境界の弱さ、ADHDは脳内伝達物質の弱さ)
※両者の合併はよくあります。
なんだけど。
ある1点に注目して見ると、結構似ていたりする。
例えば、離席とか。
ADHDは衝動性から離席するし。
ASDは興味のなさや、求められていること(授業中なので着席する)の理解の弱さから離席する。
呼びかけに反応しないとか。
ADHDはゲーム等に過集中状態になると周囲の声が聞こえないし。
ASDは、過集中もあるし、そもそも相手に興味なくて(鈍感で)声かけがキャッチできなかったり。
今日は、その中の一つ、多弁の話。
両方とも、一方的に喋りまくるよね。
ASDは、なぜ喋りまくるのか。
ASDには多弁がある。
診察室でも、一方的に喋りまくられることが多々ある。
聞いていない趣味の話を、延々と。
感想とか作文はできないのに、なぜにこんなに喋るのか。
自慢じゃないが、僕は子ども文化にはかなり詳しい。
精神年齢が子どもなので。
Eテレ系は一通り把握してるし、パウパトロール、パジャマスク、プリキュア、仮面ライダー、各種恐竜やプリンセスの識別、ポケモン、マイクラ、スプラトゥーン、スマブラ、TDL、YouTuberも有名どころなら。
結構話が弾むのよ。
なんだけど。
電車の、Eなんとか系の走行経路とか、電力変換方式の違いとか事細かに説明されても!
マイクラのMODの細かい設定とか!
聞いたことのない戦国武将の活躍の歴史とか!
ボカロ系の絵師さんの表現方法の違いなんかは!
正直厳しい!!!
でも実際、こんな内容を延々、しかし嬉々として、喋ってくれる。
本人楽しそうだし、遮るのもなぁ……。
でも、それより学校や運動会の話が聞きたいし、正直その話興味ないんだよなぁ……。
ザ・ASDって感じですね。
この時の子どもの視点、僕はこうだと思うんです。↓
(図は使い回しですすみません)(新たに作るのめんどい)
こんなものを読んだ、知った、楽しんだ、興味がある、好き。
その思いを、アツいエネルギーのまま喋っている。
一般的な視点は、こう。↓
「相手はこの話に興味あるかな?」
「そもそも前提知識が違うから、説明しなくちゃ」
「理解できなくて困っている場所はある?」
「相手も何かコメントしたそうにしている」
このように、説明する自分を「俯瞰して見る自分」が、話す内容を決める。
だからキャッチボールが成立するのだ。
これが、ASDはこうだ。
相手はいなくて、または薄くて、知った内容をとにかく全部喋っている。
純粋な好意から。
「僕はコレが好きなんだ!!!」という気持ち。
「僕の好きなコレを説明したい!!!」という強い気持ち。
こんな調子で喋るから、相手からすると一方的に見える。
喋りすぎ、多弁と言われたりする。
これが、一般的に言われる心の理論ってやつだ。
ASDは、相手の需要は何か、この説明で伝わるか、そもそも今は何をすべきか、などの理論が弱い。
春はあけぼのの要約として、「春は明け方がキレイ⭐︎」でいいのに、当時の時代背景とか古文の文法とか作者の身分とか全部説明してくれる感じ。
余談だけど、僕、スポーツ全般からきしでさ。
サッカーのルールもよく知らなくて。
子ども文化は詳しいんだけど。
知人に「オフサイドってなに?」って聞いたら、死ぬほど詳しく説明されたことがある。
ポジションとかコートの線? とかもよく分かってないのに、適応の例外とかその他特殊なルールまで色々教えてくれて。
結局、1ミリも理解できなかったのを思い出した。
以来、今でもサッカーには苦手意識がある。
ロスタイムってなに?
今思うと、彼はASDだったのだろう。
ADHDも、喋りすぎる。
ASDと少し違うのは、個人的な趣味や興味の話より、会話に出てきた内容の派生事項を喋りまくることが多い点。
授業で出てきた内容を、
「それ知ってる! 〇〇が△△なんだよね!」
とか、挙手せず発言して叱られるなんて、典型的なADHDの特徴だ。
この時の、この子の視点はきっとこう。↓
ASDと違い、周囲の様子は一応見える。(はず)
落ち着いて冷静に考えれば、「他の子もいるし、挙手せずに発言してはいけない」と理解できる。(はず)
なんだけど、その瞬間はお留守になっちゃう。
「それ知ってる!」と思うと、授業中のルールとか先生の意図とか他の子の存在とか、消えちゃう。
「言いたい!」という気持ちが先走り、それ以外は見えなくなってしまう。
その瞬間は「なくなっちゃう」のだ。
そりゃもう、ブラックホールのように。
「視界の外はブラックホール」ってやつ。
で、あとになって「やってしまった……」と反省。
するんだけど、でもまた同じ失敗を繰り返す。
やっぱりその瞬間は、他のことがブラックホールに消えるから。
分かってはいるのに、何度も繰り返してしまう。
これが一般的にいう『衝動性』。
言いたい! と思うと、他の状況は消えてなくなる。
よく言われる心の部屋が一つってやつだ。
ASDにもADHDにも多弁がある。
が、その成り立ちはちょっと異なるように思う。
「興味の内容しか見えていない」のは同じだけど、
だからまぁ、どっちにしても、多弁を止めるのは難しいんだけどね。
やるとすると、
でしょうか。
でも個人的には、興味の内容を目をキラキラさせて喋りまくる子どもの顔、好きなんだけどねー。
聞いてあげたいんだけどさ。
時間がないのよ。
大人の事情で申し訳ないけど。
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これを読むと、義妹はASDが強めなのだろうか、、、
好意からの話だとしても、受取手の私からすると、余計なお世話(下手すれば悪意)ともとれる内容の電話。
ほぼ一方的に話し続け、途中僅かな隙間で、こちらの事情を伝えようと試みても、途中で遮られる。
私の声は耳に届けど、脳ミソまで到達した様子は無い。そもそも、こちらは言葉を途中で遮られる。
持論の中身は、義妹が今興味のある事柄で、それをどのくらい熱心にこなしているか、どんなに素晴らしい事柄かのオンパレード。
そして、そのようなものを私も是非やるべきだ、と。
内容から、過集中が推測できるのと、今までの関わりからADHDっぽい人だなぁと感じてきたけれど。
どちらにしても、一方的で、自己満足の電話をかけて来られた方は疲弊します。
そうすると息子はやっぱりADHD強めなんだなーと思います。
発達検査でも『説明が冗長』と何度も書かれてましたね(^o^;)
あと息子の様子を見ていると、衝動性から止まらなくなるというのもあるんですが、“誤解のないように正確にすべての情報を伝えたい”っていう気持ちも感じます。(私もその傾向が…(^_^;))
それって、気遣いの方向が違っちゃってるHSCからくるわけではないのかな?
息子の特性がADHDからなのかHSCも含んでいるのか、いまだによくわからないことが多く…。(先生の過去記事は何度も読ませていただいています。ありがとうございます。)
どちらにしても冗長なのは事実なので、家では状況に合わせて
①わかったわかったとバッサリ切る
②ふんふん、へぇーと軽く聞く
③あまり興味はないけど関心を持って聞く
の3パターンくらいを使いまわしてます(笑)
毎回ちゃんと聞いてあげたいんですけどね(^_^;)
先生、ロスタイムってゆーのはね、今はアディショナルタイムと言って…
はさておき。
娘は途中から診断が変わりASD→ADHDとなり、
ずっと課題は多弁です。
ですが、こうして比べられると確かに多弁の質が変わったように感じました。
一方通行なおしゃべりから、我慢できずにしゃべっちゃった!的に。
こちらの心構えとしても、なんだか納得できてスッキリしました。ありがとうございました。