就学前相談の時期ですね。
こんな相談をされた。
あら、意見の不一致。
この子は、知的障害を伴う自閉スペクトラム症。
知能検査の結果を見ると、また診察室での本人の様子からも、支援級(固定級)がよさそうだ。
役所の意見は妥当と思われる。
IQ的に、通級指導は適応外。
普通級の指導だけでは難しそうに思えるけれど……。
まず、親御さんにそう思う「理由」を聞いてみる。
子どものことを一番理解しているのは親御さん。
特にこのお母さん、よく考えてるタイプだし。
聞くと、お母さんの考えはこう。↓
……お母さん!
そこまで考えているなら、僕は普通級でよいと思う。
確かに、数字や表面的なふるまいからは支援級と思われる。
でも子どもの特性を理解した上で、それでもメリットがある、やってみたいと思うなら、トライすれば良い。
ってゆーか、スゲーなこのお母さん。
親のエゴじゃないかってやっぱり悩みます。
お母さん。
いやマジでスゲーです。
客観的には、支援級がよさそう。
僕も役所の担当者と同じ意見。
だから専門家としては、「支援級」をすすめる。
のだけれど、このお母さんは普通級を希望している。
僕は、そこにしっかりした理由があるのなら、まずやってみれば良いと思う。
※「なんとなく不安だから〜」みたいな理由なら支援級がいいと思うけどね。支援級の方が手厚いし。僕は受けられる支援はなんでも受ければいいと思うタイプ。
なぜかというと。
何かトラブルがあったとき、選択を後悔するでしょ?
↑ココなのだ。
この子は、知的障害を伴うASD。
入学後もきっと、なにかしらのトラブルを起こす。
いや障害がなくても、定型発達の子だっていくらかのトラブルは起こすだろう。
その時に、
「やっぱりあの時〇〇を選んでおけば!!!」
ってなりません?
そういうことなのだ。
自分で選択したら、「やっぱり合わなかったから支援級に移ろう」と決断できる。
でも人に決められた場合、「だから嫌だったんだ。役所の人が悪い!!!」ってならない?
すると、次の一手に差が出る。
前者は、今回のトラブルから学びを深め、次の環境を前向きに探す。
後者は、「〇〇のせい」にとらわれて動けない。
再度相談する敷居も上がるし。
この差は大きいと思うんだよね。
だからこそ、自分で決めるのがめちゃくちゃ大事。
※だから、それを選ぶ理由をしっかり考えてもらいたい。ふわっとなんとなくじゃなくて。次の一手に生きる「ねらい」をちゃんと考えてから選択してほしい。
あ、この場合は幼児である本人は選択できないので、親御さんが代行ね。
親御さんがいいように、納得して選ぶことが大事だと僕は考える。
大きくなったら、本人の自己決定ね。
他のシチュエーションでも同じ。
よくあるケースだと、起立性調節障害の子の高校選びとかさ。
ADHDの子の投薬とか。
不登校の子の居場所探しなんかもそう。
↑これがめっちゃ大事なんじゃないかなー。
そう、僕は思う。
人生の喜びって、「自分で決めること」じゃん?
主体的に、自分の人生の舵をとること。
これは、何物にも代えがたい幸せだ。
だから、専門家の意見はあくまで『参考』。
大事だとは思うけど、絶対じゃない。
失敗しても、専門家は責任とってくれないもん。
やっぱり自分で(もしくは親御さんが)決めて、責任をとり、その分メリットも味わい尽くすのが良いと思う。
専門家の意見なんて所詮そんなもん。
思うようにやっていただければ。
よい選択を。
幸運を祈る!
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高学年で発達障害が判明したので、小学校入学は悩むことがありませんでした。
体調不良を訴え五月雨登校。
出席しても興味ない授業は寝ている。
小学校は良い意味で寝ていても放置。
中学校では注意の対象となる。
支援級の見学にいきました。
(知的を伴わない自閉症の為、情緒級)
とてもザワザワした教室。
見学して直ぐに帰りたいと言い出す。
彼は聴覚過敏。
見学はそうそうに引き上げ面談にしました。
聴覚過敏なので、あのザワザワは辛い話をすると・・・
現1年生に騒がしくなってしまう長期支援計画の子が2人居る。
情緒は1~3年複合の1クラスのみ。
現1年なので、2年間一緒に過ごすことになる。
知的級は静かだそうですが、好きな教科は算数だけど怠い問題がある話をしていて
学力からして不適合。
仕方がないので普通級在籍でフリークラス利用にすることにしました。
(今年度から校内フリースクールが出来た)
消去法でも自ら選んだ事になるのかな?
一つ前の方のコメント、すごく真っ当な危惧だと思いますし、保護者としてそんな風に伝えたら、心配はないと考えます。
ただ、今回のブログは、明示はされていないものの、一般的には十分な説明をされても保護者が納得しなかったケースだと、私は読みました。
学校の時間の大部分を占める授業中は、基本的に一人で座って黒板と教師を見るだけで友達の助けなんて関係ないんじゃないかとか、幼稚園からの友達も小学校入ったら新しい友達ができるんじゃないかとか、年度が変わって支援級に行く前に、わからない授業を聞き続けたりテストで点が取れなくて辛い思いを重ねるんじゃないかとは私も思います。…私が親なら通常級は希望しません。支援級のサポートは有意義なものだと思いますし。でも未来を断言する事は誰にもできないので、他人の決断にジャッジはできません。そのクラスに進むかの最終決定権は多分保護者にあるんですよね。お母さんの期待通りに伸びるかも知れないし、そもそもそのお子さんが、できなくてもその事に傷つくかどうかもわからない。
もしお子さんが自分が支援級相当であるという自覚がなくて、幼稚園からの友達と一緒の学級に行きたがって学校嫌がったりしたら、このケース、お母さんの気持ちはずっとこじれると思います。
親子が納得した上での年度がわりでの転籍を暗黙のゴールにするなら、勝算がないわけではない、妥当なアドバイス、転ばぬ先の杖としてのプロの助言の一つだなあと私は思いました。
もちろんそれまでにお子さんが深く傷つく可能性はあるので、他の考え方をするプロもいらっしゃるでしょうが、お母さんが納得した上でのサポートがなければ、乗り越えられるはずの問題も乗り越えられない事があるので。
いつも、とてもわかりやすい記事をありがとうございます!!
そして、、すみません、、今日は分かったような、分からないような、、。
責任はもちろん本人と親がとるとして、、
「何かトラブルがあったとき、選択を後悔する」
の、事前見積もりと言いますか、
“専門家からみたら勝算は無いけど、言われてやった、だと納得しないでしょ?”
なのか(それならやはり、プロとして説明の上でとめて欲しい気持ちはあります)、
“勝算は低くみえるけど、でももしかしたら上手くいくかも。お勧めの方法の方がベターな選択だけど、絶対上手くいく、とまでの保証はないから、思うようにやってみたら”という感じなのか、、。
(多分、後者かと思いますが、合ってますか?)
と考えると、専門家は、「ローリスク、ミドルリターン」くらいを勧めがちで、親は「ハイリスク、ハイリターン」を試したい、ということなのかも。
(もちろん、個々のキャラクターや考え方、リスクの程度によりけりとは思いますが。)
子供には「失敗しながら学んでほしい」と思っているので、親もチームの一員として失敗しながら学ぶ部分もあるのでしょうけれど、痛い思いをするのは子供、と思うと、専門家の意見を覆すには勇気がいります。。
P先生、いつもありがとうございます。 「やっぱり自分で(もしくは親御さんが)決めて、責任をとり、その分メリットも味わい尽くすのが良いと思う。」
以前P先生が書かれていた「モナカを楽しむことも、子供に人生エンジョイを見せる事に繋がる」を思い出しました。
「自分で選んで買ったお菓子が美味しい」と、自分で選んだ事のメリットを味わいつくす姿を子供に見せるという面からも、真理かも知れませんね。
お菓子をたくさん食べた後は、運動や健康的な食事でそれなりに帳尻を合わせる所を、子供に見せるという点も含めて。.....明日、昔どこかで読んだ、100g太るには100円で済むけれど100g痩せるには1万円かかるっていう言葉はある意味至言だよなと、心中でぼやきながら、秋風に吹かれつつ、10キロ歩こうと思ってます。