リクエストをいただいたので、書いてみる。
女子のASD (自閉スペクトラム症)の特徴。
ASDは、ざっくり言うと下記の2つの点に特徴づけられる。
①コミュニケーションの問題って、具体的に言うと以下のような感じ。
ASDは「人」に興味が薄い。
特に「相手の立場」を考えるのが苦手で、目の前のモノ・コトにフォーカスしがち。
だから上記のようなコミュニケーションの問題が出てくるんだけど。
だけど。
ここまでわかりやすい子って、実際には多くなくて。
それなりにコミュニケーションが取れることが大半。
表面的な話なんて、全然普通にできる子が多い。
相手の立場も、一応考えようとする。(下手だけど)
自閉『スペクトラム』とはよく言ったもので、ホント、スペクトラム状に上手な子からヘタな子まで、いろんな子がいるんです。
ASDで、コミュニケーションが(割と)上手な子って、想像よりずっと多い。
でね。
コミュニケーションが比較的上手な子は、診断じゃなくて「グレーゾーン」になりがち。
発達「障害」って、日常生活で「困る」からそう呼ぶのであって。
コミュニケーション面であまり困らなければ、多少のこだわりや興味の偏りがあっても、診断レベルではなさそうだ。
人間誰しも興味の偏りなんてあるし。
アニオタでもジャニオタでもガノタでも、熱をあげられる趣味があるのは良いことだと思う。
ここまでが前提。
でさ。
女子のASDには、男子とちょっと違う特徴があると思うんだよ。
コミュニケーションが上手
↑コレです。
女子、コミュニケーション上手な子が多いんです。
エビデンスはなくて、臨床的な肌感覚なんだけど。
ASD女子とASD男子とを比較すると、やっぱり差があるように思う。
特に小学校高学年〜中学生以降の女子は、かなり上手。
一方的な感じが、年齢と共にだんだん薄れてくるように見える。
一方、男子は大きくなってもコミュニケーション様式があまり変わらない。
※個人差あります。もちろん。
好きなゲームとか動画とかYouTuberの話を、固有名詞バリバリで一方的に喋りまくるのが男子。
女子は固有名詞を避けて「好きなタレント」とか「ハマってるアニメ」みたいに表現する。
こちら(聞き手)がついていけないと、注釈を入れるのが女子、気にしないのが男子。
ここに男女差を感じる。
※個人差あります。もちろん。
知り合いの精神科の先生が言ってたんだけど、「女子のASDは、コミュニケーションの問題がない」のだそうだ。
まぁ「ない」は言い過ぎだろうけど、でも、やっぱりそんなふうに感じるんだなぁと思った。
女子のASD、コミュニケーション上手
なんです。
個人的に興味がある。
この女子のコミュ力、一体いつ、どうやって身に着けるのだろう。
生まれつき、女子は言語やコミュニケーション能力に長けているのか。
遺伝子的に、女子は言語能力が発達しやすいのだろうか。
それとも社会的な要因で、後天的にコミュ力が身に付くのか。
現代の日本社会では、女子の方がコミュニケーションスキルを求められるだろう。
KY発言で失敗した経験を積み重ねた結果、「この場面でこれは言っちゃダメ」とか「こんなときはこう返すのが無難」とか学習するのだろうか。
必要があるから能力が伸びる?
興味深い。
ASDの有病率には、明確な男女差がある。
4対1で、男性に多い。
コレは、本当にこうなのだろうか。
実際男性の有病率が高いのだろうか。
それとも女性は後天的にコミュ力を磨くため、診断される割合が低いのだろうか。
実際には男女とも同程度の割合で発生するのだろうか。
非常に興味深い。
個人的には、男女の脳の仕組みにはさほど大きな違いはないと思っている。
能力差は、性差じゃなくて個人差だと。
だとすると、社会的な必要性から女子はコミュ力を上げるのだろうか。
だからASDが少ない?
誰か研究してくれねーかな。
これが分かれば、療育の方法とか効果判定なんかにも応用できそうだ。
僕はやんないけど。
上記の通り、女子のASDはコミュニケーション上手なことが多い。
だから、診断が難しい。
やっぱりASDの困りごとって、コミュニケーションに起因する部分が大きいと思う。
こだわりから問題行動を起こし、
↓
コミュニケーションの問題で行動の是正ができない。
この流れで受診に至るASDが多い。
でも、コミュニケーションが上手だと、なんとか取り繕えちゃう。
「このこだわりはKYだ」と自覚できれば、次からはひっこめる。
これができれば大きな問題には至らないと予想される。
実際、明らかなトラブルを起こすASDは、男子に多い印象がある。
女子のASDは、いわゆる『陰キャ』となって教室の隅っこにいる印象。
共通の趣味の仲間(ヲタ友)としか喋らなくて。
あ、そうだ。
あんまり喋らないんだよね、ASDの女子。
だからトラブルを起こさない。
喋らなければ地雷を踏む心配はない、そんな自覚があるのかもしれない。
※個人差ありますよー。もちろん。
なので、女子のASDは表面化しづらいんだと思う。
男女比4:1とは言うけれど、実際は困っている女子がたくさんいるのかも。
はっきりした困難があるわけじゃない。
でも、「なんか生きづらい」。
女子グループとか、ママ友付き合いとか、親戚関係とか、繊細な心遣いを要する場面では特にやりづらい。
頑張ってもうまく行かず、疲れてぐったり。
もちろん診断もされないし、そもそも受診しようと思い至らない。
そんな女性が、潜在的にたくさんいるのかもしれないなと思う。
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ASDとADHDの高2女子の母親です。
私が鈍感だったのか中学生で突然学校へ行けなくなるまでなんら疑ったこともありませんでした。
思春期外来が数か月待ちだたっため、心療内科やら小児科やら診断がつくまでかなり遠回りしてしまい、昨年ようやくちゃんとした病院で診察してもらいました。
娘は勉強もできるし友達もいます。真面目なので学校の先生受けもよかったです。いわゆるコミュ力はかなりあるな~と思っていたのですが、学校から帰宅すると動けなくなるぐらいに疲労困憊。
結局その無理が積み重なり、学校へ行けなくなり、今年の春、通信制の学校へ転学しました。
娘がいつも「私は周りの人と違うような気がする」「誰かに見られているような気がする」と言っていたのが今では納得です。
ASDやADHDの思春期向けの本を何冊か読みましたが、子供の頃に診断がついているお子さんが前提の本ばかりで
とても戸惑いました。
P先生のブログを読んで毎日納得しています。
そして以前の記事に「ASDの子は黙って見守るだけでは動かない」を見て私は娘に提案をして動きました。
今は元気にのんびりペースで過ごしています。
今まで読んだ何十冊のどんな本よりもP先生のブログに助けられています。
ありがとうございます。
古来言われてきた「男らしさ」ってASDの性質とも被るなと思ったことがあります。
ぺちゃくちゃお喋りなんて女の腐った奴がすること、たった1つだけオレには譲れねえ物がある(というこだわりの強さ)、小さいことは気にすんな男は黙って信念を貫くのみ、みたいな。
今はこんなの絶滅危惧種だと思いますが、それが許されてきた時代が長かったのではないか、とか。
翻って「女らしさ」はこれの真逆。穿った見方をすれば、そういう男がやらかすあれこれを上手くフォローできるのが「女らしい」ってことに、これまた長い時代そう決められてた面があるのかななんて思ったりします。
ASDっぼさが男は許されてきた、女は許されてこなかった、それが未だに尾を引いてるのかな的な。
社会的に生物的にその方がお互いに適していたというのも、もしかしたらあるのかもしれませんが。
私もコミ障でした。友達関係を築くのが難しく、いつも1人でした。でもある時、数少ない友人からの一言で急に霧が晴れたかのように視界が広がって、他人の目の存在に気付いたんです。自分の殻から出れました。それから、少しずつ人間関係を学びました。いまでは大勢のなかでもそれなりに楽しく過ごせるようになりました。でもすごく疲れます。男性はこのような体験は少ないのでしょうか?興味があります。
娘の受診をきっかけに、自分にも特性があると自覚し始めた50代です。どうりでトラブル多かったわけだ!と納得です。
ママ友同士で徒党を組んでる(組める)人達を遠くから眺めてましたが、あの方々は定型発達なんですかね。
自分にはハードル高すぎます。
こんにちは、いつも参考にさせて頂いています。
ちょうど、韓国ドラマで、ASD女子が弁護士として奮闘するドラマ「ウ・ヨンウ弁護士は天才肌」を見ていたところで、今回のお話とてもタイムリーです。
これは、ユーモアありのサクセスストーリーなんですが、実際はここまで特性濃くないけれど・・・という人の方がずっと多い気がします。
これまでASDしかりADHDしかり、どうしても男の子のイメージ多かったのですが、周囲のママ友なんかにも、「え、この人なんかちょっと違う」的な人は、思い返すと結構いますよね・・・。
最近、自閉スペクトラム症と診断された中2女子の母です。
先生のおっしゃる通りです。
女子の自閉症って分かりにくいんですね。
私も男子の自閉症の印象しかなく、娘はいったい何なんだろうと悩みました・・
明らかに生活に難が現れたのが小1で
やっと診断を確定されたのが中2でした。
最初は軽度知的障害から始まり学習障害が追加され場面緘黙症になり、結局総合的に見て自閉症に行き着きました。
大学病院に転医して1年後の診断でした。
私は30代後半ですが、やっと最近、自分がASD(ADHDもあり)と気づきました。自身の母親がかなりの変人だったことで、自分はまともだと思っていたこと。発達障害の本を読んでもASDの特性が強調して書かれており、グレーゾーンの人からすると、自分に多少あてはまることもあれば、あてはまらないこともあり判断がつきにくいこと。あと自分以外の定型発達の感覚を知らないことで、気付くのが遅れました。
でも、自分では、うまくやってるつもりでも、人付き合いにつまづいたり、人と一緒にいるとすごく疲れて、生きづらいのに原因が分からず、ずっと困っていました。
自分の子どもを見ていても、女子は先天的にまわりの人を観察すること、まねをすることが男子に比べて、上手な気がします。だから後天的にコミュ力が発達しやすいのかなぁと個人的に思います。
私は、人には自分と同じく感情があることに気がついたのが小6でした。自分で自分の発見に驚いたのでよく覚えています。ズバズバ言う自分が面白いと思っていたけれど、他人は面白くないと感じていると気がついたのは高校生のとき。物事を多面的に考えるのが苦手で決めつけたような発言をしてしまう癖があることに気がついたのは30代でした。すごく遅いですが成長して改善していくことを積み重ねている気がします。いま営業職ですが、営業は苦手意識をずっと持ちながらなぜか続いています。
私は50歳の女性です。
息子がASDと診断され、調べるうちに自分自身もASDだろうと理解しました。
この記事に書かれている通り、私は50年かけて一定のコミュ力を作り、工夫してきて対人関係の知恵をつけて、困ることなく生活できているので、ASDの診断には至らないと思います。
女性脳の何かしらの特質によってここまで来られたと感じていますが、どう証明(?)したらいいのか分かりません。
私がゲットした知恵は・・・
①学校や職場では定型発達の女子の言動をマネする。
②思ったこと、考えたことは口にしないで「へえ〜そうなの〜うんうん」と言う(親友だけには話してOK)。
③全体のテンションを落として静かにしておくと良い。
④正しいと思うことを、そのまま言ってはいけない。あやふやな態度をしておけばOK。
⑤過剰なまでに丁寧に、優しく親しい笑顔をして、相手がして欲しそうな事を全力で考えていれば、70点くらい取れる。
⑥すぐ疲れるから、人と関わったら一人の時間をたくさんとる。
⑦睡眠不足は大敵なので、睡眠剤使ってでも22時には就寝する。
⑧「ありがとう」「ごめんね」を使いすぎるくらいで丁度いい。
⑨質問に対して真に受けて答えなくていい場面が8割あると自覚する。
ふと思いつくのは、こんな感じでしょうか。
1年、1年、積み重ねて勉強してきたと思います。
35歳の頃に親戚を激怒させた過去あり、そこで「相手の立場を考えるってこいうことか!」と学んだり(遅っ)。
「私のココが無礼と思われるのか。よし、二度と同じ過ちは犯さぬぞ」と決心し、非常に注意深くなりました。
50歳になってやっと「素の自分のままでいると私は感じ悪い印象を与えるんだな」と理解できたので、優しくニコニコ笑顔を心がけるようになりました(遅っ)。
この自分の感覚を共有できる友人は一定数いるので、診断されないけどASDの女性というのは結構いると感じますね〜。
あー確かにそうかも。
現在絶賛ステイホーム中の中3娘。
こだわりが確かに強いけど、特に困ってる訳でもないので診断はされてない。(イヤ、学校行ってない時点で困ってるのか?)でも、日常生活を共にしていると、ソコこだわりすぎじゃね?と思う事は多々あり。
具体的に、今日の出来事で言えばテスト(定期テスト等)数学しか受けない。別に特に数学が出来るわけでもなく(因みに未だ九九は完璧じゃない、解るところを駆使して組み合わせてやる、本人談)、嫌いでもないから受けているそう。で、今日の話によると、国語は正解が曖昧だから好きじゃないということを言っていた。うん、確かにそうね、たかしくんはどう思ったか?と言われても、知らんがなと言うのが娘の意見。いや、そこは国語の問題だから、国語の問題らしくその文章から読み取れば、だいたいの正解ってのがあるんじゃない?と言っても娘には伝わらない。だから国語は好きじゃないのでテストは受けないのだそう。
コミュニケーションはそれなりに出来る、が、不登校のきっかけとなったものはやはり人間関係。小学6年の頃のザ!女子の雰囲気やグループに疲れたらしい。コミュニケーションは出来ることには出来るがついていききれないって感じなのかな。だから病むのかな。
で、そんなに困ってないように見えるから診断もされない。
学校側が特定の教科だけ受けることを受け入れてくれたり、テストのその時間だけ行くことを許してくれていたり、環境に恵まれているので、好きなようにしている娘。この先の進路はどんなお花畑なのか、絶壁の山なのかは知らんけど、前から感じてはいたが、やっぱり、自閉症傾向あるよねと思っていた方が、ワタシが楽になれると思う今日この頃な記事にありがとう。
表面化してないだけで男女比に差はないに一票投じたいと思います。