前回の続き。
お子さんが不登校になると、まずは「不登校」という行動(結果)に慌てふためくと思う。
なんとか解決しようと、
「なんで学校に行かないの? 何が嫌?」
と聞きまくる。
でも、要領を得た回答は得られない。
場合によっては反発されて余計に荒れたり。
少し時間が経ち、ムリな登校刺激は事態を好転させないんじゃないかと思い至る。
言ってもどうせ動かないし。
じゃあせめて、家で快適に過ごしてほしい。
この子は何が好きで、どんな考えを持っているんだろう?
家で快適に過ごすとは言っても、将来のことを全く考えないわけにはいかないから、相談には乗りたい。
この時にね。
全然喋ってくれないから。
という話を聞く。
ね。
子ども、喋らんよね。
しかも大事なことほど喋らない。
焦った親御さんが、親御さんのタイミングで学校やら進路やら就職やらの話をぶっ込んで、家の中が険悪に……。
そして子どもはさらに口を閉ざすという循環を、たくさん見てきた。
まず雑談です。
圧倒的に雑談。
情報を得るためには、遠回りなようで雑談からをお勧めする。
知りたいことがある?
オッケー、一旦忘れて雑談だ。
何が嫌で今後どうしたい?
↑こんなことを突然ぶっ込んでも、まずムリで。
そりゃそうだ。
そうじゃなくて、その子の本質は日々の雑談から見えてくる。
その人を知りたければ、その人が何に対して怒りを感じるかを知れ。
って言ってた。ハンターハンターのゴンが。
それでいいんだと思う。
その子の本質は変わらない。
問題が大きくても小さくても、その子の反応にさしたる変わりはないはずだ。
いいニュースにどう反応するか、そして悪いニュースにどう反応するか。
これは、学校でのトラブルでどう感じるかに似通った部分があるだろう。
家の中で起こる、些細なこと。
小さな喜びや、ゆずれないこだわり。
きっと同じようなことを学校でも感じていたはずだ。
その子はここに窓があり、大きく増幅する玉を持つわけだ。
まずはここから。
ここからで大丈夫。
「ここから」で「大丈夫」、つまりココカラファイン。
ココロ、カラダ、ゲンキ、ココカラファインなわけだ。(よく分からんけど)
三つ子の魂百までって言葉があるじゃん?
あれって僕は、3歳児神話的な乳幼児教育の話じゃなくて、3歳までに見えてくる性格(玉)は生涯変わらないってことだと思ってるのね。
小さい頃から、その子の玉は変わらない。
今は一丁前な口をきくし反抗的だけど、本質は変わってない。
その子はその子だ。
だから、幼児期からのその子を知っている親御さんは、観察に非常に有利。
むしろ、親御さん以外の誰にわかるのだろうと。
雑談から見えてくるものはたくさんあるはずだ。
物事には順番がある。
よく喋ってくれないお子さんの気持ちを知るには、順番が大事。
まずは雑談だ。
ココカラファイン。(気に入ってる)
お子さんの年齢が小さいと、きっと会話のほとんどがゲームとかYouTubeとかマイクラとかフォートナイトとかBTSとか東京リベンジャーズとかまいぜんシスターズとかだろう。
コメントでいただいた。
日常会話の29/30がゲームと動画の話です。
でも1/30くらい、ポロッと大事なことを話します。
これね。
ここを目指してほしい。
だってきっと、その子の脳内の29/30はまいぜんシスターズと人狼ゲームなのだ。
親御さんが気になってる学校とか勉強のことは、この子の中では1/30程度なの。
信じられないって?
でも、そんなもん。
まだ小さいんで。
脳内メモリの1/30しか割いてない話題についてしつこく聞かれたら、「うっせーなー。それよりまいぜんシスターズがさー」ってなるだろう。
↑まいぜんシスターズ。小学生に大人気。らしいよ。
思春期くらいになると、きっともう少し考えている。
親御さんの知りたい、学校とか進路とか就職についてね。
自分の人生だもん。
自分が一番考え、誰よりも心配してるに決まってる。
でも、言ってくない。
じゃあ雑談だ。
ココカラファイン。(3回目)
このくらいの年齢なら、親御さんの思う「マジ雑談」で良いだろう。
小さい子のように「マイッキーの脱獄がさー」とか親の全く興味ない話をされて、「???」ってことは減ってくる。
「何食べたい?」
「風呂は何時に入るの?」
「買い物行くけど要るものある?」
こんなんで良い。
ここがクリアできたら、もう少し踏み込んだ話。
「あなたはどう思うの?」系の話を聞く。
テレビやニュースを見て、「どう思う?」ができると良い。
「あのスイーツおいしそう」とか、「火事は怖いから気をつけよう」とか、そんな感想が聞きたい。
否定しないで聞いてあげてください。
こんな会話から、その子が何に興味を持ち、どの程度の思考力で、どんな方向に考えるのかが分かる。
そして。
テレビの恐ろしく、同時に素晴らしい点として、「センシティブな話題を突然ぶっ込んでくる」という特徴がある。
「高校入試が始まりました。今年の倍率は……」とか。
「この仕事を選んだ若者の奮闘」とか。
「(お子さんと同世代の)キッズのスゴ技特集、世界〇〇大会で優勝!」とかね。
この時に、気まずくならずに雑談できるようなら、機は熟したと考えてよい。
この流れで、「そういえばあなた、高校進学はどう考えてる?」と聞いて良いように思う。
きっと期待する答えが返ってくるだろう。
お子さんは、自分のことを話さないかもしれない。
でも子どもは一般に、親に自分のことを知って欲しいと思っている。
知って欲しいし、なにより「分かってほしい」。
理解してほしいのね。
その気持ちは絶対にあるだろう。
親にわかってほしい。
誰よりも、親に理解してほしいと思っている。
なのに話さないのは、「否定されたくないから」でしょう。
誰よりも理解してほしい相手に、自分を否定されたら。
あまりにもショックだ。
じゃあ、否定されるくらいなら話さない。
そしたら傷つく心配はないもんね。
これが、「考えていることはあるのに話さない子」の心理だ。
じゃあさ。
「否定されない」と安心できれば話すよ。
だって親には分かってほしいんだもん。
「あなたは、そのままでとってもステキだよ」って肯定して欲しいもの。
だから雑談だ。
否定されても傷つかない内容からじゃないと、子どもは踏み出せない。
この順番でしょう。
否定されない安心感を土台に、少しずつ重い話ができるようになる。
遠回りでも、少しずつ本質に迫っていってほしい。
不登校の子は傷ついている。
自分に自信を失くしている。
だからこそ、親には「分かって欲しい」。
自分を見て欲しい、理解してほしいのね。
なのに親御さんが、自分の本質ではないところ、つまり『不登校』という行動(矢印)ばかりに注目していたら。
お子さんは玉を見て欲しいのに、親がちっとも見てくれず、行動(矢印)の是正ばかり求めたら。
傷つくし、腐っちゃうよね。
不登校初期は仕方ないと思うけど、少し落ち着いたら、矢印じゃなくて『玉』に目を向けてほしい。
『玉』がその子の本質だ。
困っちゃう部分であり、同時にかけがえのない素敵な部分だ。
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先生はじめてコメントさせて頂きます。
兄弟揃って不登校ですが上のお兄ちゃんは少しずつ自分のペースで前に進んでます。
ずっと見守ってきて最近息子に俺が学校行かない事をわかってくれてありがとうと言われました。きっと彼の中でもまだまだ苦しいと思いますが見守っていけたらと。
下の息子は今小4ですが小3学期から不登校になり色々気になることもあり、少しでも理解してあげたら…とwiscを受けました。グレーゾーンでした。お兄ちゃんの担当でもある先生にご説明を受けて頷ける部分が沢山あったのと本人も努力して今こうして不登校になってしまったのだと。お友達は大好きなのに勉強おいつかず苦しんでる。座ってるのが辛い。
今更違う教室でなんてやりたくないと。
学校には無理矢理いかせるつもりはないのですが、グレーゾーンと言われると息子のために何かをしてあげなくちゃいけない気がして。
今は不安でしかたないです。
今はこうやって先生のブログや息子達を担当してくださっている精神科の先生が息子達にかけてくれる言葉が元気の源になってます。
長々とすみません。
ありがとうございます。
続きを待っていました!完全不登校になって、10ヶ月の中2男子。雑談はある程度出来る。時事問題や彼が疑問に思ったことを質問してきたり、彼の意見を聞いてみたり、全然できる。のに、さりげなく流れで今後のこととか、進路のことを聞くと黙ってしまう。まだ、安心できないのかな〜。そのままでいいのに…