久しぶりに、お父さんについて書く。
僕の印象では、お父さんってすごくイケてる。
「お前のブログ、お母さんばかりでお父さんは出てこないのなっ。」
定期的にご意見いただく。
何度か書いているが、このブログを読んでいるのは8割方女性だ。
「お母さん」に属する人が圧倒的に多い。
だから呼びかける際は「お母さん」を使うことが多いってだけで。
僕は両親に差はないと思っている。
便宜上「お母さん」と書いても、それはお父さんにも当てはまる。
あと、努めて「親御さん」という表現を使うようにしている。
お母さんばかりに言ってるんじゃなくて、両親に向けて書いてるつもり。
気になる人は今までのブログを見直していただければ。
あ、フキダシについてる顔がお母さんだからか。
コレさ、作るのめんどいんだよね。
母の顔が登録してあるから使ってるだけで、特に深い意味はないんです。
最近のお父さんは、相当イケてると思う。
と言っても、僕が医者になって10年ちょっとなので、その頃との比較になるが。
当時のお父さんは、まんま「ガキの使い」だった印象がある。
ダウンタウンじゃなくて(大好き)、「子どものお使い」の意味ね。
発熱や咳での子供の受診。
そもそもお父さんが受診に連れてくること自体、非常に少なかった。
たまにいても、「妻(子供の母)に言われたから連れてきましたぁ!」感満載のことが多く。
まさにガキの使い。
中でも困るのが、体重を把握していないことだった。
子どもの薬は体重で計算するため、体重が分からないと薬が出せない。
「あー……、10kgはないと思うんですけど。」
……その子、4歳やで?
的外れな数字を聞くと、普段からまったく子どもを見ていないんだなと思わされる。
子どもの服や靴のサイズなんかも、全く知らないんだろうな。
多分、普段食べているものとか、好きな遊びなんかも知らないんだろうと思う。
(別に責めたり怒ったりはない)(あー見てないんだなーってだけ)
これが10年前。
でも、今はこんなお父さんにはめったにお目にかからない。
まず、小児科の待合室で、お父さんの姿は全く珍しくない。
平日の日中でも、お父さんはよく来ている。
スーツ姿で、「園からのお迎え要請があり、その足で病院に来ました」というお父さんも多い。
で、病状を聴取すると、案の定よく把握している。
普段から積極的にお子さんと関わっているのだろうと容易に予想できる。
なので、一昔前はお父さんがくると正直、僕はちょっと及び腰だった。
うっお父さんだ、把握してないんだろーなぁ、という思いが先に立っていた。
が、最近は全くない。
来院するのがお父さんだろうとお母さんだろうと、まったく気にならないし、同じように対応している。
※強いて言うなら、普段見ていない祖父母が連れてきたときが、一昔前のお父さん状態でやりにくかったりする。
発達外来は、その性質上、どうしても平日の日中に定期受診してもらうことになる。
単発の急性期疾患(熱とかね)と比較し、やっぱりお母さん率が上がるのは致し方ない部分があると思う。
それでもお父さん、結構来てくれますよ。
特に初診は両親揃って来てくれることも多い。
両親で意見が食い違ったときに、「第三者の意見を聞きに」と一緒に受診してくれるお父さんもいるし。
僕が「お父さんの意見も聞きたい」と希望したら、次回の受診では一緒に来てくれたり。
非常に協力的だし、よく見ていると感じる。
もちろん、すごく心配しているし、お子さんを思っている。
家では言わないんだろーけど。
でさ。
僕の立場から感じるのが、両親の視点の違いだ。
そもそも僕は男女の脳機能差をあまり信じていない。
脳の差はさほどなく、置かれた環境による考え方の違いの方がずっと大きいと思っているんだけど。
その上で、それでも両親の視点の差は感じる。
結構違うのよ、見ているところが。
具体的には、
お母さんは集団。
お父さんは個。
を見ていることが多い気がする。
※もちろん個人差はあります。もちろんです。
お母さんは、「集団の中のこの子」をよく見ている。
つまり、
的な、「集団の中でどう振る舞うか、どうポジションを取るか」を見ていることが多いように思う。
対してお父さんは、「この子個人」に注目していることが多い気がする。
って感じ。
どちらが合ってるとか大事とかではなく、どちらも合ってるし大事。
僕は男だからか、どちらかというとお父さん寄りの視点で見てしまうことが多いのだけど。
お父さんの話を聞くと、すごくよく見ていると感心させられるし、お母さんとは別の、でも大事な視点を持っていると思わされる。
いろんな視点からその子を見るって、きっとすごくすごく役に立つ。
だからこそ、お父さんの意見は大事だし、お父さんの力は偉大だ。
気持ちはわかるが、切り捨てるのは非常にもったいない。
その子の親として、当事者として考えてくれる人だ。
僕なんかがお父さんに話を聞くと、事前情報よりずっとずっとよく考えているケースが大半だ。
※既にお父さんに不信感を持っちゃってるお母さんにはなかなか納得できないところだと思うけどネ。今すぐ話し合って和解しろってことじゃなく、「僕の視点からはこう見えるよ」って話ね。
ついでに言うと、だからこそお父さんからの質問はブログにしづらいところがあり。
と、こんな感じの「ザ・具体的」な質問が多いから。
素晴らしい質問なんだけど、その子にしか当てはまらないっていうか。
大人数に向けて発信するブログでは取り上げない内容。
最近のお父さんはイケてる!!!
僕はお父さんを軽視しているなんてことは、全くなく。
むしろ、その視点や、偉大な力に絶大なる信頼を置いている。
家庭の中だと、父性というか、「お父さん」の力がものを言う場面もあるだろうし。
お父さんたち、いつもありがとうございます。
遠慮して発言しづらいこともあると思いますが、その視点は非常に大事だと僕は思います。
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若い世代のお父さんなら・・・なんでしょうね。
問題を起こし金曜に緊急入院した息子。
土曜日に家族揃って事情が聞きたいと言われ旦那と娘(姉)で面談となった時の話です。
主治医からお父さんはどう思われますか?と聞かれ、現場に居なかったからわからない。妻の意見に同意します。と丸投げ。
晩婚なので小学生の父でもアラフィフの昭和人間。
発達障害が判明する前から家事育児にはほぼ参加していません。(多分ASDだから仕方ない)
発表会の現地に居ながら、順番までロビーに居ると言い、メールしても気づかず、発表会見ない人ですから。
発表会がGWの事が多く、仕事になることもある人です。
仕事の方が良いよね。
見に行けない方が現地で見ないよりマシ。
あっ。愚痴です。
ごめんなさい。
不登校中一男子の父親です。
このサイト、イロイロ参考にさせていただいています。
(おかげ様で雑談が増え、子供との関係が良くなりました)
別に褒めてもらいたくて子供と関わっているわけでは無いですが、「こういう風に見てくれている人がいるんだ」と正直嬉しくなります。
子供の体重いまだに知りませんが。。。
頑張れお父さん!
P先生、今日もタイムリーな記事ありがとうございます。
散々モヤモヤしてきた夫の息子に対する対応。
夫はどんだけ⁈と思うくらい息子に寄り添います。寄り添いまくります。休みの度にショッピングセンターに行き毎回オモチャを買い、ガチャガチャをし、ゲームしたり甘いおやつ食べたり。
夜は寝かしつけという言葉を知らないのか⁈と思うくらい、10時過ぎても10時半過ぎても2人でキャッキャしてる。寝る前にこっそりスマホで動画を見せたり。(私は別室で双子の寝かしつけしながらモヤモヤイライラ。)
去年の1番大きいケンカは夜の9時半にナメクジにかける塩をくれと言ってきた事です。笑
まだ年中の息子には早いよ!と何度も言い、怒り、伝えましたがさっぱり響かないので諦めました。何で育児の常識が分からないの⁈と何度も思いましたが、自閉傾向の難しい息子にここまで寄り添えるのは夫だけです。それが息子にとってどれだけ救いなのか、やっと最近分かるようになった気がします。
近々、発達検査を受ける予定があり、ゆくゆくはASDの診断を受けることになると思います。登園拒否が激しく、行けば楽しめるのですが、家に帰ってくると行きたくなくなってしまう。今は小規模の園に週1でも行ければいいかな、という状況です。
今回の記事とは関係ないのですが、P先生が幼い頃どんなお子さんだったのか、記事を書いてもらえたら嬉しいな、希望になるなと思っています。(過去に記事あったらすみません)
先生、いつもありがとうございます。
次女不登校真っ只中の時の主人がまさしくそうで、個を見ていました。そう見る事が出来る主人を羨ましくもあり腹が立ったりしていた事を思い出しました。家にいる事が少なく、家事育児はほとんどやらないくせに次女とわかりあえていた感じで、娘も主人には色んな事を話していました。元々漫画やゲーム等の共通の話題もあったんですが、自分の話を興味深く聞いてくれるのが娘は嬉しかったんでしょうね。
今となっては主人に感謝しています。
来月通信制高校を卒業する次女、今は「お父さんの部屋って汚い!」「お父さんのお母さんに対するあの言い方は良くない!」などと陰で言いまくっていますが笑
娘が中学不登校の時に先生のこのブログに出会い、どれだけ救われたかわかりません。泣いて笑って…でした。来月無事に高校卒業します!
先生本当にありがとうございました!
(この記事に対するコメントではなくなってしまいましたね。ごめんなさい)
今回もありがとうございます。
そうかー。
「夫はなーんも分かってないし子供の困り事の話をしてもトンチンカンで噛み合わないし障害を認めようとしないしもう話すのも嫌」
と思うのは、視点が違うからって事ですね。
それぞれ子供をよく見ている夫婦でも、話すと
「言ってる事わかるけど そういう事じゃないんだよ」
ってなりがちなのかもしれません。
うちの夫は 結果によって元々の自分の意見も変えちゃうところがある(本人に自覚なし)ので、
対策として私は、事後報告制にしました。
結果オーライだったことを後からシレッと報告すれば、夫も “俺もそれ賛成” と満足できるようで、
事前に相談してた頃より揉めることも無くなり、
そこから派生して夫婦の距離感も、父と子の距離感(というか立ち位置)も、
前より掴めてバランスが良くなりました。
診断名の受容っていうのも、普段子供を見ていて
「あー、やっぱり…“そう”なのかなぁ」
と思える時期は夫婦でもそれぞれ違うなぁと思います。
なので私自身は子供に対してASDだな、と思いつつも、夫には「発達遅れてる」という言い方をしてきましたが、
最近になって夫の口から“自閉症”という言葉が聞かれるようになりました。
受け入れ態勢が整ってきたのかな。
P先生の実感として、以前より『保護者』らしいパパさんが増えているとの事、なんだか嬉しいです。