Categories: 心理学

いじめが起こる原因

いじめってなんで起こるのか、考えてみた。

コロナ感染者は、学校でいじめの対象になり得ると思う。

いじめまではいかなくても、からかわれたり悪口を言われたりは想像に難くない。

なぜかというと、『みんなと同じ』でなくなってしまったから。

周囲の人からすると、昨日までは机を並べていた同級生。

自分と同質の人だった。

その人が『コロナウイルス感染者』になった。

自分は感染者ではない。

すなわち異質だ。

人は、異質なものを排除する。

よくわからないから。

わからないものは怖い。

感染症しかり、お化けや妖怪しかり、老後問題もしかり。

人は生存確率をあげるため、わからないもの、異質なものに恐怖を感じ、避けるようインプットされているのだろう。

クラスに『コロナウイルス感染者』がいる。

異質だ。

自分にどんな影響があるのかわからない。

怖い。

不安は人を怒らせる。

不安は怒りに変わり、元凶であるコロナウイルス感染者を責める。

相手を罵倒し自分が優位に立つことで、少しだけ安心できる。

コロナに限らず、全てのことで同様だと思う。

いじめの根底には「わからない」が横たわる。

だから極論を言うと、いじめはなくならないと思う。

全てがわかる、全て同じ、なんてあり得ないから。

でも、「わからないから不安なんだ」って知っていてほしい。

知識と理解は、不安を克服する。

僕は専門外だが、感染症の先生はそこまで恐れずにコロナウイルスに立ち向かっているように見える。

で、ここからが重要。

上記「わからないから不安」がベースなんだけど、そこに別の要素が乗っかると、いじめが最悪になる。

別の要素とは、

「ずるい」

ってこと。

具体的に説明する。

コロナウイルスはよくわからないし怖いから、みんな対策していると思う。

なのにパチンコに出かけたり、感染が分かっているのに長距離移動したり、軽率な行動をする人が目に入る。

どう思いますか?

みんな我慢しているのに、あの人だけ「ずるい」。

そのせいで他の人に感染が広がる。

自分は我慢しているのに、あの人のせいで感染リスクが上がる。

そう思いませんか?

この気持ちの根底には、「自分は我慢している」という自負があるはずだ。

自分は我慢しているのにあの人は「ずるい」。

正直、湘南に人出が増えても、湘南在住者以外には影響ないはずだ。

でも全国民が怒る。

なぜなら、みんな我慢しているから。

遊びたい気持ちをぐっとこらえて自粛しているから。

ずるい。

この人はズルをしている。

ズルをするのは、悪いことだ。

こうして自粛警察が誕生する。

正義の名の下に、過剰な制裁を行う。

当人はそれが正しいと思って、信念を持ってやっている。

こうなるとなかなか歯止めが効かない。

ちょっとしたやっかみが、笑えないいじめに昇華する。

学校でコロナウイルス感染者が出たとする。

この子はどこで感染したの?

街に遊びに行ったんじゃないの?

家族が居酒屋に行ったのかも?

憶測が憶測を呼び、悪いことをしないか見張るようになる。

怪しいところがあると、声高に糾弾する。

悪いことをしたのだから、いじめられて当然。

誹謗中傷も当然の報いだと考える。

こうなっちゃうと、上記「わからないから不安」のレベルを大きく超える。

不安で怒っているなら、あとで冷静になれば軌道修正できる。

でも信念を持って怒ると、軌道修正は難しい。

自分が正しいと確信しているので、都合の悪い情報は耳に入らなくなる。

「わからない」がいじめの火種で、「ずるい」が火を大きく燃え上がらせると僕は考えている。

火種をなくすことはできない。

でも、「ずるい」という感情を大きく減らすことはできると思う。

みんな自粛している。

それは理解している。

でも、自粛できない理由がある人もいるだろう。

のっぴきならない事情があったかもしれない。

コロナウイルスをあんまり不安に思わない人もいるだろう。(人間の多様性。こんな人がいないと人類は絶滅する。)

いろんな考えの、いろんな事情の人がいる。

その中で自分は、自分の身を守るために自粛する。

それでいいと思う。

人から何を言われるかわからないから自粛しなくちゃ、的な考えが諸悪の根源に思う。

そうするのが「当然」、「普通」、「常識」、のような。

人の目を基準にせず、自分で判断して行動する。

『自分が』感染するといやだから。

他の人にうつすと『自分が』居心地悪いから。

だから感染対策をするのであって、相互の見張り機構によってではない。

それを自覚すると、怒りのスイッチは入りづらくなると思うんだ。

いじめの構造って他でも同じで、「異質」で「ずるい」と感じると、どうしても攻撃対象になってしまう。

加害者にならないためには、未知のことに出会ったら、

「分からなくて不安になってる!」

と自覚を持つこと。

そして変なことには必ず理由があるので、なぜそうなったのか想像力を働かせること。

これで不幸ないじめはだいぶ減ると思うのだけれど、どうだろうか。

pediatrician-p

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