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学校でコロナウイルス感染者が出たら

全国的に緊急事態宣言が解除されそうだ。

学校も順次再開されていくだろう。

コロナウイルス流行の第二波については、みんなが心配するところだと思う。

感染者が出れば学級閉鎖、もしかしたら学校閉鎖なんて事態も想定される。

そのあたり、僕の懸念する内容を書く。

大前提として、緊急事態宣言の解除以降も、感染者は出る。

ウイルスが駆逐されたわけではないので、感染する人は絶対に出る。

それが早いか遅いか、人数が多いか少ないかはわからないが。

一人でも感染者が出た場合、学校がどう対応するかが気になる。

クラスメイトは全員濃厚接触者になる?

症状がなくても全員PCR検査をするのか?

発症した生徒は、どうなったら登校できるのかも気がかり。

PCR陰性を確認するのか。

陽性が持続する期間は結構長かったりするんだけど(1ヶ月近かったり)、数日おきに検査し続けるのか。

検査の目的で来院したら、病院でウイルスを撒き散らさないか。

そもそもPCRは感度が低い。

陽性なら多分感染しているが(専門的には色々あるのだろうがここでは言及しない)、陰性だから感染していないとは言えない。

それでもPCR頼みで管理するのか。

迅速検査はもっと感度が低い。

他の病気でよく書かされる書類に『治癒証明』というのがある。

これを使うのか。

「もう人にうつらないので登校していいですよ」というお墨付きを、医者が出すわけだ。

でもコロナウイルスの場合、治ったという証明は不可能だ。

そもそも『感染していない』と言い切ることができない。

特に子どもは感染しても症状がすごーく軽いらしい。

症状が軽微でPCR陰性なら感染していないかというと、そうとは言い切れない。

PCRや治癒証明のための受診が殺到すると、病院の負担は跳ね上がる。

本当に必要な受診をしている患者さんに、病院でうつしてしまうリスクも上がる。

じゃあどうするのかなーと。

インフルエンザみたいに『解熱後3日』とかの期間を決めるのかな。

でも現状じゃ、どのくらい休めば人にうつさないかは明らかになっていない。

上述の通り、1ヶ月くらいPCR陽性が続く人もいるわけだし。

うーん。

想像するだにカオス。

我々は指示された通りに粛々と仕事するしかないのだけれど。

なんだか、魔女狩りの様相を呈してきそうで怖い。

クラス内で感染者が出れば特定は容易だ。

そして一人でも感染者が出ると、他の子にも影響が及ぶことが予想される。

また休校になったり、受診と検査を強要されたり。

親御さんへの影響も甚大だろう。

仕事を休まざるを得ない、受診させなくてはいけない、自宅で勉強をみるなど。

せっかく緊急事態宣言があけたのに、またステイホーム⁉︎

これはストレスだ。

するとどうなるか。

発症者がいじめにあうのではないか。

コロナウイルスを持ち込んだとされ、病原菌扱い。

「お前コロナウイルスだからこっち来んな! バリアーーー!!」

とか、いかにも小学生がやりそうだ。

僕の患者さんには繊細な子たちがたくさんいる。

そんな子に強い物言いとか、ホントに勘弁してほしい。

家庭内感染なら、家族全員の行動を把握され、SNSで晒されるとか。

地域で総スカン、村八分にされたり。

……想像するだに恐ろしい。

その辺も踏まえて、学校には慎重な対応をしてもらいたいものだ。

また上記悲劇を避けるために、登校を再開した子どもとその親は、『感染者狩り』をしないようにお願いしたい。

悪いのはウイルスだ。

感染者ではない。

このご時世、好き好んでわざわざ感染しに行く人はいないはずだ。

子どもならなおさら。

たまたまうつってしまったに過ぎない。

その人を責めても意味がない。

そもそも子どもは感染しにくいし、学校での感染リスクも高くないとされる。

リスクを下げるためにどうしたらいいかは、これからデータが積み重なり、情報が出てくるだろう。

いたずらに不安になることなく、科学的に正しい対応をしてもらいたい。

例えば、感覚過敏でマスクの着用が難しい子がいる。

どうしてもマスクを取ってしまう子。

この子がマスクをしないことによって、本当に感染率が上がるのか? とか。

症状がなければマスクは「ないよりマシ」程度と言われていますよね。

不安になる気持ちはわかる。

不安は怒りに変わる。

不安がって誰かを攻撃しても、本当に意味がないと思う。

僕個人としては、感染のリスクよりも休校が長引くことのリスクの方が大きいと考えている。

やっと再開できたのだ。

またすぐ休校に戻ることのないよう、不安からいじめに発展することのないよう、

科学的に、理論的に、落ち着いて。

楽しい学校生活を送ってください。

pediatrician-p

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