きょうだい児。
問題がある子の、兄や姉、弟や妹。
妹が学校へ行かないなんて、絶対に許さない! って。
きょうだい児という表現は、病気や障害の子でよく使うんだけど、ココでは発達障害や不登校、ODの子なんかの兄弟姉妹のことね。
僕の外来に来る子は、だいたいみんな何らかの特性を持っている。
HSC、ADHD、ASD、発達デコボコ、認知の歪み、高知能低知能。
でね。
この辺の特性って、多かれ少なかれ兄弟姉妹も持っている。
遺伝的にも環境的にも似ているからね。
すると、往々にしてこうなるわけ。
人生ナメてる!
ロクな大人にならない!
私は絶対に許さない!!!
オレは要らない子なんだ!
弟なんて死ねばいいんだ!!!
きょうだい達も、特性を持ちながら頑張っている。
なのにアイツだけずるい!!!
言ってることはわかる。
気持ちは理解できる。
でも、何もそこまで言わなくても……。
ここまでキツイと、もう一人の方の肩を持たざるを得なくなる。
それがまた、きょうだい児の怒りを助長して、悪循環。
あっちを立てればこっちが立たずで、もう一体どうしたら……。(泣)
きょうだいも、大抵特性を持っているわけです。
でもその出方や考え方には、結構な差がある。
実際にどの程度社会適応できているかという観点で見ると、兄弟間でかなり大きな差になることもしばしば。
一人は適応できず、もう一人は過適応でムリやり適応している、とかね。
すると。
トラブルになっている方ばかりに目が行き、なってない方は放っておかれることが多いわけだ。
例えば不登校だと「登校すれば解決ですか?」って何度も言っているように、表面上のトラブルがないことが、イコール問題がないってことじゃないんだ。
きょうだい児も問題を抱えてる。
トラブルになっていない(ならないように頑張ってくれている)だけで。
トラブルになっていない子が、「学校に行くことが正義、行かなければ愛してもらえない」と思っているとする。
という経験と価値観を持つ場合。
弟が不登校だと?
絶対に許さん!!!
正論(その子の中での)をめっっっちゃ押し付けてくる。
しかもしかも。
自分は学校に行ったから両親に愛してもらえる(と思っている)のに、弟は不登校で許されるだと⁉︎
そんな理不尽があってたまるか!
自分の努力はなんだったんだ!!!
大激怒。
絶対に許さん。
わかる。
きょうだいには、きょうだいの思いがある。
渦中の子にはその子の特性や思いがある。
これはわかりやすいし、親御さんも努めて見ようとしますよね。
それと同様に、きょうだい児にも特性があり、思いがあり、頑張りがあるんだ。
見落とされがちだけど。
『いい子』ほど見落とされるよな。
トラブルにならないから。
頑張ったからトラブルにならなかったのに、そのせいでスルーされちゃう。
自分は100点で当たり前なのに、弟は80点でめっちゃ褒められる! とかよく聞く。
出来の悪い子はハードルが低いのよね。
理不尽極まりない! ってこの子は思うだろうな。
この思いが、当たりの強さの根元。
ムカつき、寂しさ、やるせなさがエネルギー。
いとしさと切なさと、酒と泪と男と女。
誰にぶつける?
そりゃ、トラブルの渦中の子と、親御さんですよ。
めっちゃぶつける。
そして、そんな自分に自分で傷つき、悲しみのエネルギーを溜める。
悲しみは、怒りに変わる。
飲んで飲んで飲まれて飲んでですよ。
こうならないように、きょうだいはそれぞれ分けて考えてほしい。
一人ひとり、その子の特性や頑張りを見てあげてほしい。
トラブルがあってもなくても、それぞれみんな頑張っています。
みんないい子よ。
そして。
もうこうなっちゃった場合も、それぞれ分けて考えてほしい。
不登校の子は、それはそれで困っている。
どーーーーーしても学校に行けないわけで、そこに寄り添ってあげてほしい。
きょうだい児は、この子にも辛いことはあったろうに、それでも登校を続けている。
頑張りを認めてあげてほしい。
とか、
とか、いっしょくたにして評価することを避ける。
そりゃ子どもたちは言うよ?
あっちは〇〇でズルイ! って。
でも、大人は乗っからないでほしい。
あなたはそう思うのね、わかったわ(魔法の言葉)だ。
気持ちは受け止めるけど、同意はしない。
この子はこの子で頑張ってる。
その子はその子で頑張ってる。
これはこれ、それはそれ。
別々の人で、別々の人生だ。
別々の思いを持っている。
それぞれ別々に向き合ってあげてほしいなーと思う。
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抑圧された自己嫌悪がスイッチ押されるから
許せん!!!!
ってなるんですよね(´;ω;`)
だって自分だってそうしたいけど、そうなっちゃだめだと思って必死に頑張ってるんだもん!!!
だからズルい!!!
お前なんかいなくなれ!!!
怒りのコントロールができないほどの爆発した感情が生まれる・・・
その怒りの下にある
羨ましい
自分だって頑張ってる
こっちを見て欲しい
そっちばかり見ないで
たくさんの感情がある。
怒りをぶつけてしまう自己嫌悪。
そこにも苦しむ。
そしてまた自分が嫌いになる。
自己否定。
そんな負のループ。
そこに気づけば親も見方が変わる。
見方が変われば対応も柔軟になる。
子は安心する。
そんな過程があるのかなと思います。
うちの子たち、まさにこの通りでした。
3年前、当時高一の娘がODが酷くなって不登校になっていました。
2つ上の息子は大学受験が目前に迫って、殺気だっていました。
娘にあたりがきつく、視界に入れるなと私に言ってきました。
娘の主治医に相談したところ、2人引き離した方がいい、お兄さんには我慢してくれてるの偉いねとでも言ってあげればいいと言われました。
娘を隣の祖父母のところに行かせて、息子には
少し演技して我慢してくれてるのありがとうと言ってみました。
すると、態度が柔らかくなって娘の事については何も言わなくなりました。
今は息子は一浪して志望の大学に行けて他県で下宿しています。
娘は体調の波はありますが行きたい大学を見つけ予備校に行っています。
今、2人の関係はと言うと、私にお互い相手の近況を聞いてきたり、ラインで敬語を使う仲です。笑
P先生こんにちは。
長男は成績優秀。一通りなんでもそつなくこなします。次男は体育命の兄弟です。
よく兄弟は比べてはいけないと言われていたので次男の勉強の不出来は不問にしていました。
次男のテストが80点だった時は褒め倒しました。赤飯焚く勢いで。その時長男が「次男は80点で褒められて僕は98点でなんであと2点もったいないと言われないといけないのか」
と言われてはっとしました。出来ない方の気持ちは考えていたけど逆は考えたことなかったのです。普通に出来てたから。当たり前のように思っていましたがそれは長男が頑張っていたからだと。
そんな長男絶賛OD不登校になりました。
同じように育てたのになぜこうも違うのかと思っていましたが、そもそも違う人間なのだから当たり前ですよね。
ごめん、長男。小田和正。
P先生こんばんは!
まさに小学生の長男が幼稚園児の長女に、あれが出来てないこれが出来てない、お前はクズだ、調子に乗るな、と本当に酷い事を言うので悩んでいたのです。(うちの場合は暴言を言う長男が特性有りで、長女は定型と思われる…という感じですが)
裏を返せば、やっぱり長男自身が毎日努力して頑張っているという事なんですね。
妹が幼稚園児だからということで、些細な事で褒められているのが悔しいし、妹はこれといって怒られる事がないのも気にいらないのかと思いました。(というか、あまりに長男にワーワー言われて可哀想で、何か問題があっても長女を注意できない状況になっていました。)
それぞれの思いを受け止めて、それぞれの課題について向き合う…難しいですけど、現状の長男が酷い・長女が可哀想から抜け出せるように頑張りたいと思います。