Categories: 心理学

何歳でどのくらいのことができるのが普通?

よく聞かれる。

 

中3ですが、毎朝起こしてます。

起こしてもらったのに、不機嫌に文句ばかり。

でも起こさないと遅刻だし。

 

はたまた

 

小2です。

明日の準備や宿題をやらず、帰宅するとゲームばかり。

何度も何度も声をかけ、毎日イライラします!

 

第三者的には「えっ⁉︎」というのが正直なところ。

中3なら放っとけばよいし、小2には無理でしょう。

 

でも親御さんは本気。

毎日戦いが繰り広げられている。

 

じゃあさ。

じゃあ一般的に、何年生でどのくらいのことができるのが普通?

あくまで一般的に、だけど、目安ってある?

 

どのくらいできるもん?

こんな話を聞いた。

 

小学生に、新しいゲームをやらせる。

ルールを一通り説明し、

 

「みなさんできそうですか?」

はーい!

 

実際にゲームを開始してみて、ルールが不足していることに気づく。

提示されたルールではゲームが成り立たないのだ。

 

せんせー! これじゃゲームできませーん!

 

ゲーム開始前に「ルールが足りない」と気づくのは、3−4年生以降なのだそうだ。

 

 

こんな話も聞いた。

授業で、問題の解き方を教える。

実際に子供たちに演習もさせる。

 

「みなさんわかりましたか?」

はーい!

 

「一人でもできそうですか?」

はーい!

 

家に帰り、一人でトライでしてみる。

解き方は理解したはずだし、学校では実際に解いてみた。

その時は出来た。

なのに、自分一人では出来ない。

出来ると思ったのになんで⁉︎

 

「分かる」と「出来る」はイコールじゃないからこうなるんだけど。

これが実際に出来るようになるのは、5−6年生以降とのことだ。

 

 

2つの実験の話を出した。

詳細は忘れたしソースも失念したが、大体こんな内容だったと思う。

 

ここから分かるのは、「まぁそんなもんよな」ってこと。

説明された内容を、頭の中で現実に即して想像できるのは、3−4年生以降くらいでしょう。

「出来る」と思った課題を実際に遂行できるのは、5−6年生くらい。

まぁ、妥当よな。

たくさんの子供の話を聞いて、まぁそんなもん。

 

目安は高学年くらい

上記実験が目安になると思う。

 

普段の生活でのお小言って大抵

  • 後のことを想定し、今やるべきことを考えなさい
  • 優先順位を考えて行動しなさい
  • 必要な時間や物品を自分で考えて管理しなさい

とか、そんなような内容だと思う。

 

じゃあそれに必要な能力。

「これをしなかったら後でどうなるか考えられる」とか、

「このくらいの時間があれば終えられると想定し、実際に終える」とか。

これらは高学年くらいから可能かなーと。

 

あくまで目安ね。

早熟で賢い子もいるし、発達障害特性があってすごく苦手な子もいる。

大体、一般的にはこのくらいで、そこに個人差を加味してって感じだと思う。

 

極端じゃない?

冒頭の例に戻る。

 

中3なら、時間や生活の管理は自分でできるはずで。

なのに極端だなーと思う。

きっとこのお母さんは、朝起きるのも準備も一人ではできないのが当たり前の幼少期からこの子を育て、そのままの感覚できてしまったのだろう。

何も出来なかった幼児期からの『線』で考えるとこうなっちゃうけど、今の能力という『点』で見れば極端。

だからお母さんを責めるわけじゃないんだけど、第三者から見たら極端よな。

 

反対に小2の子は、まぁ出来ないのが妥当なので、そのつもりで接すればここまでイライラしないはず。

なのにいつかは(大人になったら)出来るという『線』で考えて、今の能力という『点』が置き去りに。

そりゃ将来的には出来るだろうけど、今はムリで。

期待が過剰なわけです。

 

他人はその子の年齢という『点』で考える。

でも親御さんは幼児期〜今〜成人期まで続く『線』で考えるから、現状が見えなくなりがちなのだろう。

 

具体的にどうするか

僕は上記のような質問を受けたら、

「本人の自己責任なので放置して良いと思います」

とか

「年齢的に無理なのでお母さんがやっちゃっていいと思います」とか答える。

今という『点』で考えたら、そう答えるしかない。

 

んだけど、今という1点で考えたらそうなんだけど、普段から接している、つまり『線』で接している親御さんには工夫できるところがあると思う。

つまり、「ゴールを見据えて接する」こと。

 

 

低学年の子とか、さらにADHDタイプだと輪をかけて、時間や生活の管理ができない。

この時に「高学年くらいになればある程度できるはず」というゴールを意識して接する。

「先に宿題しないと後がツライよ」と教えながらも、親御さんは手を貸す腹づもりでいるってこと。

 

今は出来ないけど、数年後に出来るように、ってこと。

「今すぐ出来るようになりなさい」は極端だし、「どうせできないからずっとできないはず」も極端。

 

 

高学年以上の子は、「今までやらせて来なかったし本人のやる気もないけど、能力的にはできるはず」と思って接する。

 

女の子
朝起こしてよ!

起きられなかったらお母さんのせいだ!

 

とか言われたら、「朝はお母さんも忙しいので、2回は声をかけますが、以降は自己責任です」と毅然と答える。

だって、できるはずだから。

中学生の寝坊なんて自己責任でしょう。

お母さんの責任ではない。

むしろ、「やってあげちゃったから自分で責任をとる機会を失い、当たり前に出来ないしやる気もない」の状態にしちゃう方が責任重大だと思う。

※この話をすると、「でもやってあげないとキレて手がつけられなくなるんです!」とおっしゃる方がいる。今のトラブルを避けて問題を先送りしても、何も解決しないと思う。きつい言い方だけど。今までやってあげちゃったから今こうなっているのであって、ここが踏ん張りどころ。頑張って!

 

もちろん上記は平均的な目安であって、その子の能力に応じたゴール設定が必要となる。

その辺はお子さんをよく観察してください。

明らかに出来ないことをやらせるのも、明らかに出来るのにやってあげるのも、イビツでしょう。

なんとなくの目安をもって接していただけると、親子ともイライラが減るんじゃないかなーと思う。

pediatrician-p

View Comments

  • 明らかにやれる事だけど、やれない時(気持ち的に)もあるんじゃないかな?と子どもを見ていると思います。(甘え含め)

    息子は小4、明らかに着替えは自分で出来る。
    だけど、手伝ってと言う。

    これを突き放すのか受け入れるのか?

    出来る時には自ら、出来ない時には力を借りる。

    いいんじゃない?

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