Categories: 心理学

これで解決! 昼夜逆転

昼夜逆転。

考えてみればおかしな現象だ。

 

変だ。

人間は昼行性なので、夜寝て、昼活動するのが自然だ。

 

これが逆転する。

自然に逆らっており、変だと思う。

これを理屈で紐解こうと思う。

まず。

『変』なことには、それが変になった理由が必ずある。

僕はそう思っている。

世界には奇祭と呼ばれる奇妙なお祭りがあるが、

↑こんなのとか

 

↑こういうの。

きっとこうなった深〜い理由があるのだろう。知らんけど。

 

 

世の中の変なこと、みんなそうだ。

変になった理由がある。

理不尽な校則も、会社の変なしきたりも、話の通じないあの人だって、それが変になった理由があるのだ。

 

なので僕は「変だっ!」と糾弾する前に、

それが変になった理由を考えることにしている。

で、昼夜逆転。

変ですよね。

しかもそこに、

不登校とかゲーム依存とか家庭内暴力とかネットとかスマホとか課金とか出会い系とか、なにやらよろしくないオマケまでくっついてくる。

 

どげんかせんといかん。(急に宮崎弁)

 

 

 

で、昼夜逆転を是正しようと思うが、まあうまくいかないこと。

朝は引っ叩いても起きないし、夜は頑として寝ないし。

 

「まずは生活リズムをっていろんな本に書いてあるし、病院でも言われたし、とにかく朝起きなさいっ!」

 

多分ムリだ。

ではなぜその子が昼夜逆転しているのか、一緒に考えてみよう。

必ず理由があるはずだ。

 

 

 

仮説① 人間の体内リズムは24時間より長いから

そうであれば、徐々に夜寝るのが遅くなって、いずれ昼夜逆転に至る。

わかる。

が、そうであるなら、さらに日数がたつと今度は朝型に戻るはずである。

 

数週間単位で朝型と夜型を繰り返す。

そんな子がいたら、その子は地球の自転を超越したところで生きているので、人間界の生活時間に合わせるのは土台ムリな話であろう。

そして、そんな子にはまずお目にかからない。

 

仮説② 夜が好き

夜が好きなので起きていたい。

相対的に昼は嫌いなので寝ていたい。

 

これも説得力がある。

実際、そうなのだと思う。

 

 

ではなぜ夜が好きなのか。

ヒトとして自然なのは昼に活動することで、身体もそうできているのに、

あえて夜が好き。

これは昼に存在する不都合なことが、夜には存在しないからだ。

不都合なこと、それは『人の目』だ。

 

昼間に外出すると、「なぜこんな時間に中学生が? 学校はどうした?」と近所の人に思われるかもしれない。

怖いから、夜外出する。

 

日中自宅でゲームしていると、「ゲームする元気があるなら学校に行きなさい! ろくな大人にならないよ!」と小言を言われる。

うざいから、家族が寝静まってからゲームをする。

 

 

夜は、本来ヒトが眠る時間だ。

だから静かだ。

圧倒的に人目がない。

昼夜逆転の子は、人目を避けたいのだ。

特に小児期は、『家族の目』から逃れる目的で昼夜逆転することが多い。

小言を言われたくないのはもちろんだが、それよりも家族を傷つけないためが大きいように思う。

 

顔を合わせると喧嘩になって、家族に暴言を吐いてしまう。

顔を見るだけでイライラしてしまう。

人によっては親を殴ってしまったり。

親を傷つけることで、子供自身もさらに傷つく。

 

嫁・姑関係なら即別居だけど(できなければ離婚になる)、親子だとそうはいかない。

実家は窮屈だから一人暮らし、というわけにもいかない。

 

 

どうするか。

生活時間を分けるしかない。

家族が寝ているときに活動し、活動しているときは寝る。

するとお互い顔を合わせず、傷つけ合わずに済む。

 

 

昼夜逆転は、家族に対する優しさだ。

実際僕の外来でも、完全に昼夜逆転していた子が、母が仕事に出て日中不在になった途端に昼行性に戻ったりする。

 

 

 

だから、昼夜逆転は直さなくてよいと伝えている。

家族思いの優しい子だ。

この子が家族の目を避けないといけなかった理由を考えるべきだ。

 

小言を言ってない?

お互いイライラしていませんか?

その状況を、子供が避けてくれているのだ。

直すには。

家族の目を避ける必要をなくせばよい。

家族は味方、と思えば昼夜逆転は直る。

 

 

具体的には、雑談してください。

彼/彼女の機嫌がいいとき、たまに話しかけてくることがあるでしょう?

親から見るとどんなにくだらなくても、聞いてあげてほしい。

 

「そんなことより、勉強でもしたらどうなんだ」

 

なんて、間違っても言ってはいけない。

彼/彼女の興味の内容を共有してください。

 

「へー、そうなんだ」

「そんなのがあるのね」

 

それでいい。

 

 

 

雑談ってとても大事で、雑談ができると、子供にとって親は

『何を言っても無駄な人』

から

『普通の話ならできる人』

に格上げされる。

これができると、次は『話を聞いてくれるかもしれない人』

そして『僕/私の味方』にレベルアップする。

 

ゼロからイチにできれば、あとはスムーズに事が運ぶ。

すると、親の目を避ける必要がなくなる。

気づくと昼夜逆転は直っている。

だから、力づくで昼夜逆転を直す必要はない。

というか多分ムリだし。

まずは子供の話を聞く事。

家が安全な場所だと思えるまで、子供は昼夜逆転を続ける。

逆に言うと、子供が昼夜逆転していたら、親御さんを避けている証拠だ。

接し方を考えていただくのが正攻法で、健全だ。

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