Categories: 発達障害

ネットの発達障害チェックリスト

うちの子、発達障害だと思うんです。

ネットのセルフチェックで当てはまっています。

 

もしくは、

 

私(夫)が多分発達障害です。

自己診断で、ほとんど全ての項目にチェックがつきました。

 

とか。

 

最近、ちょくちょく聞かれる。

ネットに溢れる発達障害のチェックリスト。

 

これって実際どうなの?

 

ぶっちゃけ、当たってる?

ぶっちゃけ、どの程度の信憑性がある?

 

これについて僕の個人的な意見を言わせてもらうと、

結構あてにならない

と思っている。

 

チェックリストの精度の問題ではない。

設問が悪いとか、内容がマユツバだとか、そんな話じゃない。

設問よりも、チェックする側の問題でそうなると思っているのだ。

 

説明する。

 

自己診断について

まずわかりやすく、自己診断、つまりチェック者本人の発達障害を診断する場合について。

これは、本人がどれだけ自分を客観視できているかによるだろう。

 

例えば

  • 計画性がない
  • 空気が読めない
  • 忘れ物が多い
  • 新しい場所で尻込みする

とか、チェックリストの内容ってこんな感じよな。

これについて、

 

 

計画性がない

→なんでも全てキッチリ計画を立ててこなす人って少数派だ。誰でもある程度は無計画で無鉄砲。

でも、ある程度ってどの程度?

 

 

空気が読めない

→カンペキに空気が読める人なんていない。自分では空気を読んだつもりでも、ズレている可能性は存分にある。

結局、どの程度空気読めてる?

 

 

忘れ物が多い

→多いって、平均と比較し相対的にどの程度多い? 忘れ物って、些細な事からやらかしちゃまずいものまで多岐にわたると思うけど、その優先順位はついてる? 忘れ物をして周囲を困らせていることに本人が気づいていない可能性も。

結局どの程度やらかしてる?

 

 

新しい場所で尻込みする

→新しい場所大好き! って人の方が少数派だし、それはそれで特殊だと思う。

どのレベルで尻込みする?

 

 

この、太字の部分。

結局この部分を自覚していないと、答えられないわけだ。

 

そして、チェックリストで聞かれているのはまさにこの部分。

セルフチェックってことは主観で答えるんだけど、客観的にどれだけ困るかが聞かれていたりする。

※発達障害の診断って、「どのくらい特性が強いか」じゃなくて、「特性のせいで周囲が(ひいては本人が)どのくらい困るか」でつける。

 

 

これ、難易度高くないですか?

自分のことをこのレベルで客観視できる人って、一体どのくらいいるだろう。

 

 

ましてや発達障害(ASDとADHD)の人、及びその傾向のある人は、自分を客観視するのが苦手なことが多い。

ASDは人(自分も含む)に興味が薄いし、ADHDはトラブルが色々な雑念に埋もれて流されていきがち。

僕は自分がASDタイプだと思ってるんだけど、じゃあどのレベルで空気が読めないのか、周囲がどの程度困っているか、正確に把握できている気がしない。(でも真実を聞くのは怖い!)

 

だから、発達障害の人、及び特性の強い人が、「自分はこのレベルの発達特性を持つ」と自覚するのって非常に困難だと思う。

 

 

ちなみに定型発達の人

定型発達の人でも、セルフチェックをするのって「自分って発達障害かも?」と不安に思った人だ。

HSPとか多そうだ。

前提として、何かひっかかるトラブルなり困りごとがあるのだ。

 

その人がチェックするんだから、過剰診断になりがちと予想される。

相対的にどのくらいか、ではなく、「あ! 前に一度こんなことがあった!」みたいな『経験がある』でチェックをつけがち。

もともと色々気にしている、気にしいな人だ。

基本的に過剰診断になるだろう。

 

 

よって、冒頭のような発言に対し、

「あぁその通り、そのケはありそうですよね」

と思う事もあれば、(その場合も親御さんは僕の患者じゃないので、ハッキリとは言わないけど)

「いや……違うと思う」

と思うこともある。(この場合もハッキリは言わないけど)

 

こと左様に、自分を客観視するってムズカシイ。

 

家族のチェックなら?

じゃあ家族のチェックなら?

子供とかお父さんを、お母さんがチェックするのは当たってる?

 

これもセルフチェックと同様、

結構あてにならない

と思っている。

 

 

結局、「お母さんの思うお子さん(お父さん)像」でチェックするからだ。

家族を客観視するのもかなり難しい。

距離が近い分、他人が見るより難しいと思う。

今までの思い、感情、期待、不満、希望要望なんかが混ざり合い、どうしても主観的になっちゃう。

 

お子さんに対してで言うと、親御さんがこれまで間近に見てきた子供って、せいぜい兄弟数人だと思う。

数人では平均像の把握は難しい。

しかも兄弟って特性が似るし、環境要因も同一。

世間一般の平均像の把握となると、さらに難しい。

比較する軸がないので、これが普通なのか、やっぱり外れ値にいるのか、判断が曖昧になる。

 

だからチェックリストの結果は、「親御さんが思うお子さん像」に一致する形で出てくる。

お母さんが「この子は発達障害に違いない」と思ってつければ『発達障害』と出るし、逆に「この子が発達障害なわけがない」と思ってつければ『定型発達』と出るだろう。

 

もちろんすごく上手に客観視しており、「おっしゃる通り!」と思うこともある。

でも我が子の客観視って、予想の数倍は難しいのだと思う。

 

まとめ

ってことで、発達障害の自己診断やチェックリストの類。

 

僕は

結構あてにならない

と思っている。

 

参考までにやってみるのは良いが、あくまで参考まで。

自己診断で突き進むと方向を間違えて迷子になる可能性がある、と意識していただけると良いと思う。

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