前回の続き。
不登校の予後はよい。
ゆっくり休んで、自分の頭でしっかり考え、心底納得する。
すると、勝手に動き出す。
どうしても人を求めてしまうからだ。
でも。
再三言っている、「家を快適にしてください」。
これをしないと予後が悪い。
そりゃもう明らかに悪い。
親戚に顔向けできない。
分かってるよ!
学校に行けっていうんだろ?
そしたら愛してくれるんだろ?
分かってる、でもできないんだよ!
子供は親の愛情を欲する。
でも、そのための条件が満たせない。(条件つきの愛情ってヤツ) (親御さんにその気はなくても、子供はそう解釈する)
親に喜んで欲しいのに、どうしたらいいかは分かっているのに、でもどうしても学校に行けない。
苦しい。
学校に行かなくちゃ、普通にならなくちゃ。
普通でいいのに!
星野源と結婚できればいいのに!
気持ちばかり焦る。
本当に星野源と結婚したいのか、自分の気持ちと向き合う余裕なんてあるわけがない。
ハードルを下げなければ、超えられるはずがない。
焦りと不安は怒りに変わる。
どうせ自分がダメなんだろ!
こんなに苦しいのは親のせいだ!
親なんだから、産んだ責任を取れ!
ふて腐れ、八つ当たりする。
自分を見てくれない、分かってくれない親を恨む。
あなたのためと言いながら親は自分の保身ばかり。
自分の人生をダメにすることで、親にわからせてやる!
「お前の子育て失敗だぞ」って思い知れ!
僕の思う引きこもりの構図はコレ。
不貞腐れ、親を恨んでいる。
親に復讐している。
親への復讐という目的があるので、暇にならず、人を欲する余裕がない。
親が非を認めるまで絶対に動かない!
キング・オブ・こじれ家庭だ。
こうならないために、自分で決めさせてほしい。
子供の人生を子供に返してほしい。
社会復帰の場所を決めるときも同様だ。
子供が納得して自分で選ぶことが重要。
どこに復帰するかより、本人が納得しているかどうかがずっと重要だと思う。
本来、少人数の適応指導教室が最適だったはずのBさん。
自分のペースでなら勉強できたはずのCさん。
これをしちゃうと、本人の納得が得られない。
親に愛されるため、あと漠然とした将来への不安から(だってそうしないと社会で通用しないってお母さんが)、元の学校に戻る。
でも、本来この子は少人数の環境が合っていた。
40人の学級ではやっぱりしんどい。
またどこかで心が折れ、不登校になる。
そりゃそうだ、元の学校に戻ったけど、この子はA集団になったわけではない。
あくまでB集団の特徴を持った、『そういう子』なのだ。
やっぱり、また不登校になる。
再度不登校になったので、親御さんは言う。
これを繰り返す。
自分はどうしたいのか、自分にはどんな特性があり、どんな環境が合うのか、向き合う機会がない。
行ったり行かなかったり、五月雨登校を続ける。
自己肯定感はズタボロだ。
でも、行かなきゃいけない。
いつになったら楽になるのか?
出口は見えない。
やっぱり、またどこかでつまずく可能性が非常に高いと思う。
社会人になってつまずいたら?
親は助けてあげられますか?
引きこもりになっても全然おかしくない案件だ。
この子に必要なのは、「自分には少人数の環境が適している」という気づきだと思う。
「星野源じゃなくていいから、年収500万のエガちゃん」と気づければうまくいったかもしれない。
そしたら、がっぺうまくいく。
わき毛投げる。
どうしたらそこに気付けるか。
やっぱり、自分で考えて自分でやってみるしかないだろう。
不登校? 別にいーじゃん。
と僕は思う。
むしろベストタイミングじゃん、とすら思う。
学生のうちに失敗してみればいい。
社会人になってからつまずくと、ダメージは大きいしプライドも高くなっていて立ち直れないし。
不登校は別にいいと思う。
親のせいじゃないし、むしろ今気づいて良かったとすら思う。
でも、対応によって予後は大きく変わる。
実際にAさん、Bさん、Cさんが、引きこもりになることがある。
引きこもりまでいかなくても、社会復帰に余計な時間を要する。
社会復帰しても、生きづらさをかかえて息切れしながら、無理やりギリギリなんとか頑張っている子、実際に僕の外来に数人いる。
どこかで心が折れてしまわないか、非常に心配になる。
必要なのは学校に行かせることじゃない。
社会復帰のための条件を見定めることだ。
そのために、自分とゆっくり向き合うこと。
それには「ありのままの自分」で愛される、安心安全な自宅が不可欠だ。
味方になってくれる親と、あと可能なら社会復帰までの伴走者がいるととても良い。
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社会復帰までの伴走者…どんな人がいいのだろう。
過去投稿に失礼します。どうしてもボヤキたくなって。
ドクスト!小6娘が単行本を集めてます。化学?科学?も出てきて、楽しいらしいです。
さて、去年からI年間、保健室登校していた娘、今年から我が市で決められたのか?(校長から直接子供にいわれました。)保健室利用はI時間まで!と利用が制限されてしまいました。結果、登校出来ても短時間の母子登校…で、お休みも多くなってきました。やっとの思いで、保健室登校に漕ぎ着けて、落ち着いた小学校生活が送れていたのに、自分のタイミングで戻れなかったから、今、最悪のコンディションです。
ここで嘆いても仕方がないのですが、行き場のない思いを呟いてみました。ごめんなさい。
いつも、先生の面白い言葉に元気をもらってます。ありがとうございます!
家を快適に、親子関係の見直し、先生のブログを暗記できるほど読みました。
読んだだけで、自分からポツポツ登校したりしなかったりするようになりました。
ところがまた、完全不登校。
しかも自分で無理やり昼夜逆転させている様子。
いったん回復の兆しがあったものだから、先生からの投稿刺激もつよく…。
以前は訪問してくれる先生と話をしましたが、今は布団にくるまって顔もみせることができません。
そして、学校での勉強は必要ないと、Googleで勉強しているからスマホを制限するのはやめてくれと。
もう一度、熟読したいと思います。
登校刺激をお休みして欲しいと学校側に理解してもらうのにも苦労します。
先生、いつもありがとうございます。
記事を喜んで拝読していますが、先生のお体が心配です。どうか無理をなさらないでください。
重い内容でもクスッと笑える優しい記事を、細く長く読ませて頂きたいです。先生のファンより。