ハサミや鉛筆がうまく使えなくて。
字なんかミミズが這ったみたい。
幼稚園の頃からボタンや着替えが苦手でした。
走るのは早いんですけど、先生、何かの病気ですか?
こういう子は、発達外来ではなく一般外来を受診することが多い。
身体の異常はなさそうに見えるけど、とにかく不器用。
日常生活に必要な着替え、靴を履く、箸などの動作が遅い。
見ていてイライラする。
学校では「やる気がない」と叱られがち。
字は汚いし、着替えは遅いし。
あまりに不器用で、何か悪い病気かといよいよ心配になり受診するケースだ。
『発達性協調運動症』
という概念がある。
協調運動、つまり身体のいくつかの部位を協力してスムーズに動かすことが苦手。
例えばボタンをかける動作は、ボタンの位置を目で把握しながら、両手の指先を別々の役割で動かす必要がある。
頭の中で、この指はこう動かして、コッチの指はこう……と指示を出し、実行する。
これが苦手。
他の人が考えずにやっているような自然な動作、この子の場合は特に指先の細かい動きが苦手なのだ。
反対に手先は器用だけど、ボールを投げたりジャングルジムに登ったりといったダイナミックな動きが苦手な子もいる。
両方苦手な子もいる。
身体に悪いところがないのが特徴で、例えば骨が曲がっているとか脳に異常があるとか、そういったものは除外する必要がある。
検査で異常がなければこの『発達性協調運動症』の可能性がある。
この疾患、僕はあまり詳しくない。
どうやって対処するか、どんな療育や練習で伸びるのか、よく知らない。
克服しようとせず、得意なことを伸ばす方がいいのかもしれない。
その辺りは専門家に譲りたい。
僕が言いたいのは、
「こんな病気がありますよ!」
ってこと。
この疾患、認知度が低い。
でも、症状を持っている人は多い。
自閉症やADHDのような発達障害に非常によく合併する。
また、HSCにも合併しやすい。
結構いる。
そして知っているかどうかで、対応が全然違ってくるのだ。
子供本人は、至って真面目に取り組んでいる。
一生懸命にやっている。
でもできない。
それはこの子が悪いのではない。
どこか悪いところがあるわけでも、やる気がないわけでもない。
でも、できない。
能力的にはできるはずなんだけれど、できない。
すると周囲はどうするか。
叱責したり、叱咤激励したり。
「できるはずだ、がんばろう!」
そう言われても、できないものはできない。
子供の自己肯定感は、どうなりますか?
もちろん、めちゃくちゃに下がる。
発達障害やHSCの子は、ただでさえ自己肯定感が低下しやすい。
加えて、発達性協調運動症だ。
みんなは当たり前にできている。
でも、自分はできない。
HSCが、みんなの前で先生に怒られたりした日には……。
そんな惨事が結構起きている。
これは、お互いに不幸だ。
僕からのお願いは、この疾患概念を『知って』ほしいのだ。
知るだけでいい。
そういう子がいると知ってさえいれば、別の接し方が考えられるだろう。
知ってさえいれば回避できた傷つき体験だ。
何か変なことがあったら、それには理由がある。
変になった理由があるはずだ。
そこに思いを馳せる想像力があると、無用なトラブルを回避できる率が高まると思う。
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やっとここにたどりつきました。
知るには遅過ぎたかもしれません。
学校の先生からは「もっと公園へ連れて行って体を動かしてあげてください」と言われたり
(小さい頃から公園には連れて行っていたのに)、
運動教室みたいなところへも通わせたり。
いろいろ調べてきたけど、なぜその時には的確な情報が得られないのか、、、でもそれは私の問題ですね。
息子に余計なことを言い過ぎてきました。
後悔ばかりです。
普通級の小学生の子供がそうです。担任の先生は全員同じことが出来るのを求めるタイプで配慮が期待出来ません。体育の跳び箱やマットなど怪我を伴いそうなものに関しては、親の判断で見学にする方が良いのか、それは過保護になってしまうのか、日々考えています。