子供が学校を休みたがっている。
どうしますか?
でもね。
休むという選択は、とても重要でとても尊いものだと僕は思うんだ。
みんなの調子が悪い今、その話をしようと思った。
今まで隠してたけど、僕は実は医者なんだけど。(知ってたよ)
医者には「研修医」という見習い期間があってですね。
僕が研修医だったころ、まぁ無茶な働き方をしていたわけです。
通常勤務は6時〜23時、月25日。
休日は半日出勤、もちろん無給。
加えて当直(一晩中コールされっぱなし)が月8回くらい。
もちろん朝6時に出勤して、そのまま夜通し働き、翌日の22時までぶっ続けで勤務。
気になるお給料ですが、時給換算すると200円くらいだと思う。
狂ってた。
ホント狂ってた。
クレイジーだった。
でも先輩医師たちは「俺が研修医の頃はもっと働いた」とか言い出して、若き日の武勇伝大会が始まるので、貝のように口を閉ざし黙々と働き続けるしかなかったんだけど。
スーパークレイジー。
今は労働環境が改善していると思います。当然だよ!
で、ですよ。
そんなスーパークレイジーな職場で、スーパークレイジーな研修を積んだ僕ですが、この研修期間に何を得たかというと。
それが大事ですよね。
何かを得たいから頑張るわけで。
この場合、医学的な知識や技術の習得、臨床技能の向上とかがそれにあたると思うんだけど。
正直、何もねぇ。
マジで何もない。
「死にそうだった」という思い出だけ。
もうね、忙しすぎて何も考えられなかった。
目の前の仕事に忙殺されただけで、「なぜそうなるのか」「その根拠は何か」とか、微塵も考えられなかった。
そんな余裕なかった。
頭に浮かぶのはベッドにダイブする自分のイメージのみ。
眠い眠い眠い眠い眠い眠い眠い眠い………それしかなかった。
このまま廊下で寝てしまおうと本気で考える始末。
患児が枕、お母さんがベッドに見え始める始末。
狂ってた。
当時医療ミスをしても、きっと気づいていない。
なにかしでかしていたら本当にごめんなさい訴えないでください反省してます。
今、振り返って思うわけですよ。
あんなに頑張ってあんなに辛かったのに、何も得てないとか。
意味なくね?
だったらさっさとゆるい病院に転職すればよかった。
でも当時はそんなことを考える余裕もなかった。
忙しいという字は心を亡くすと書いてですね、正常な判断が出来なかったのだ。
子供が学校を休みたいと言った。
その選択肢を考えられる段階でとりあえず休んでおくことは、決して間違いではないと僕は思う。
「休む」という選択肢すら考えられなくなったときが最悪。
休むのは、いつもベターだ。
ベストじゃないかもしれない、でもベターだ。
絶対に悪い選択じゃない。
↓この本に書いてあった。
発達障害サバイバルガイド 「あたりまえ」がやれない僕らがどうにか生きていくコツ47 [ 借金玉 ] 価格:1,650円 |
とりあえず休んで、それから考えればよい。
その通りだと思う。
休むという選択には、意志が必要。
これも上記の本に書いてあったんだけど。
その通りだと思う。
がんばるは惰性。
だらだら惰性で頑張るほうが、断然やりやすい。
休むと決めるには、そしてそれを実行するには、強い意志が必要となる。
だからこそ尊い。
「今は休みたい」
そう思ったなら、とりあえず尊重してあげてほしい。
学校に適応できる子なら、少し休んでまた前を向く。
その小休止がマイナスになることはないだろう。
もともと学校が合わない子なら、「休みたい」と言ったときが最後のSOSだ。
それまでずっと我慢して頑張ってきて、もうダメでやっと出た「休みたい」だろう。
惰性で頑張るより、強い意志で「休む」という選択肢を選んだ。
ここで叩き潰すと、ロクな結果にならないと僕は思う。
ただ辛いだけで、何も得ない僕の研修医時代のような。
「休む」という選択肢すら思い浮かばない思考停止状態に。
「自分のSOSは叩き潰されるから意味ない」という学びとともに。
もちろん、ならないかもしれない。
がんばらせたらそのまま適応して、大丈夫になるかもしれない。
でもそんな子であれば、小休止させたとしても結局自分で前を向くんじゃないか。
どっちにしろ事なきを得たように思えてならない。
その子がどの程度の覚悟で「休みたい」と言ったのか見極めてだけど(ノリで言ってるだけかもしれないし)、でも「休みたい」という子を無理やりがんばらせるのはリスクが大きいと、僕は思う。
とりあえず休ませるのが安牌、つまりベターな選択だと思っている。
View Comments
先生、いつもありがとうございます。
我が子はASDメインの小6・男の子で、今は不登校ではない(2年前、一時的に登校渋りが酷いときが数年ありましたが)のですが、ここ半月で、小3から続けてきたサッカーを辞めたいと言い出し、親としてどう対応したらよいものか、夫婦喧嘩にまで発展し(笑)、家の中がザワつきまくっております。
でも、先生の不登校の記事を「サッカー」に置き換えて読んでみたら(置き換えても良かったですよね?同じことかな、って。)、なんだか心が軽くなりました。
好きで始めたサッカーを、試合にでられなくなったからと言ってあと5ヶ月しかないのに辞めてどうするんや!嫌なことがあったらすぐ辞めてしまうクセがつくんじゃないか、最後までやりきって欲しいという「親の」思いにとらわれてたように思います。
確かに途中で辞めることはベストではないかもしれないけど、休みたい、辞めたいという本人のSOSを尊重してあげたいと思います。ありがとうございました。長文失礼しました。