不登校や家庭内暴力など、たくさんの家庭をみてきた。
それぞれ家庭ごとの問題があるのだけど、中でもこじれている家庭、
キング・オブ・こじれ家庭って、どんな感じだと思います?
僕が思うのは、
子供が問題を親のせいにしている家庭
だ。
「お前(親)のせいでこうなった!」
「お前が悪い!」
「謝れ! 土下座しろ!」
子供からこんな言葉が出たら、かなりこじれていると思っている。
親の金を盗んだり、窓ガラスが割れたり、盗んだバイクで走り出したり、警察沙汰になったりするご家庭ではだいたい上記のセリフが出ている。
問題を親のせいにしているのだ。
逆に言うと、こうならないよう注意すれば、結構予後がよいと言えないだろうか。
問題を親のせいにさせない環境を作れば、問題は長期化しないと僕は考えている。
ではキング・オブ・こじれ家庭の子は、なぜ問題を親のせいにするようになったのか。
元を辿ると幼少期まで遡る。
親御さんがお子さんをコントロールしてきたようだ。
最初は小さなひずみだった。
子供が選んだ派手な服を、「これはダサいからこっちにしなさい」と否定する。
レストランで「鍋焼きうどんよりハンバーグがいいよ、ハンバーグにしなさい」と注文を変えさせる。
幼児期はまだ自分でできないことが多く、親が決定した方が色々ラクだ。
小さなコントロールを繰り返す。
小学生になった。
「宿題を先にやっちゃいなさい」
「明日の準備はしたの?」
時間や持ち物の管理はまだ一人ではできないので、親が口を出す。
「ホラここの繰り上がりを忘れている」
「あなたはミスが多いのだから、10回書いて確認なさい」
勉強をみてやらないと、親がしっかりしていないと思われそうだ。
ある程度ちゃんと、勉強や生活態度が整った子でいてほしい。
目の前の小さな目標をクリアすることに躍起になる。
子供がもう少し大きくなる。
「この学校があなたに合いそうよ」
「学歴をつけて、いい会社に就職しないと、あなたはやっていけないでしょう」
子の将来を案じ、親の敷いたレールの上を歩かせようとする。
失敗したらいけない、失敗しないように……
親はそんなメッセージを送り続け、子供は素直に受け取り続ける。
失敗しないように、お母さんの言う通りにしないと……
子供はそのうち、自分の意見と親の意見の区別がつかなくなる。
親の言うことを聞けば安心。
そこで思考停止する。
失敗しないように、お母さんの言うことを聞くのが正しい。
どうせ自分の意見は聞いてもらえないし。
思春期になった。
親の言う通りにしたのに、どうしてもうまくいかないことが出てくる。
あれ?
お母さんの意見は絶対じゃなかったの?
この頃になると、プライドが激烈に高くなってしまっている。
自分が失敗したと認められない。
お母さんがそうしろって言ったから!
お母さんのせいだ!
こうなると、はたからみて自分の人生を生きている感じがしない。
自分のことなのに、親のせいにして責任逃れを繰り返す。
文句があるなら自分で決定すればいいのに、この子たちはそうはしない。
親に文句を言いつつ、なのに親に決定させるよう仕向けるのだ。
決めないといけないことを、のらりくらり、わざと選択しない。
しびれを切らした母が代わりに選択することを、彼らは知っている。
とにもかくにも失敗した責任を取るのが怖いのだ。
そう、怖いのだ。
彼らはすごく怖がっている。
自分で決めたら自分の責任となる。
母が決めたら、母のせいにできる。
自分で選択して失敗するより、人の選択に従い人のせいにする方を選ぶ。
プライドが高すぎて自分の人生を生きることができない。
この子は、小さい頃から選択する機会を与えられなかった。
なのに突然、「学校」「進路」「就職」など大きな決断を迫られる。
スライムも倒した経験がないのに、いきなり魔王城に行かされる感じ。
本来ならお城の周りでレベル上げをしてから冒険に出かけるのに。
今までの敵は全部お母さんが倒しておいて、お母さんはここぞというボスには負けてしまった。
自分で戦ったら負けるのは目に見えているし、プライドが許さない。
お母さんのせいだ!!!
でも次もお母さんが戦え!!!
こうなるとこじれる。
自分で選べと言われても選べないし、選ばない。
こうなったのは親のせい。
「お前が朝起こさないから学校に行けない!」
起こしたら起こしたで
「起こし方が悪いから気分を害した!」
果ては
「お前がメガネをしまったからどこにあるかわからない!」とか、
「パソコン(車、スマホ、家など高額なもの)を買え!!!」とか。
何にでも難癖を付け、無理難題をふっかけてくる。
達成されないと暴れる。
キング・オブ・こじれ家庭の完成だ。
親のせいにさせない優しさってあると思う。
その子のためにも、自分で責任を取らせてほしい。
もちろん今まで自分で決めた経験のない子だ。
「朝は全く起きられないけど、週5の全日制の高校へ行く!」とか明らかに無茶な目標設定をして、親をハラハラさせるだろう。
でも、そのまま失敗させてあげてほしい。
案の定、1学期から行けない。
「だから無理だと思ったのよ。私(母)の意見を聞いていれば…」
責めないであげてほしい。
失敗させて、自分で責任をとらせてあげて。
転ばせてあげてほしい。
親のせいにできなければ、また自分で立ち上がる。
じゃあどこなら通えそうか、また自分で考える。
これって自分の人生を生きてるってことだ。
でも親のせいにしたら、立ち上がらない。
親を責め続け、時間を浪費する。
だから。
子供の人生を子供に返してほしい。
信頼して、失敗させてあげてほしい。
大丈夫、少しずつレベルを上げて、いつかは魔王を倒しますから。
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おまえのせいだ! 娘に最近よく言われました。ショックでしたがよくやく私の目が覚めました。こちらのブログに辿り着けることができたのもご縁だと思います。今の私の腐った考えを根底から覆していただくことができそうです。先生ありがとうございます!
いつも勉強になります。
うちは中一・中二と息子が家庭内暴力みたいな感じで・・きっと我が家はこじれていたんだと思います。
言い訳じゃないですが、小さな時から本当に選択を自分でしない子だったんです・・
どっちのお菓子にする?と聞いたら「ママが決めて」みたいな子でした。
「決める練習だから決めてみて」とよく言っていたんだけど、それもよくなかったのかなぁ・・・
私もかなり偏っている自覚があります(汗
今、中三で家庭内暴力がすっかりなくなり、部活がなくなった生活が本人にとてもあっているようです。
「行きたい」という高校がC判定でかなりハラハラするし、落ちて私立か・・という問題も、先生が先日書かれた「お金の問題は親の問題」という話ともかぶっていて、本当に今現在の問題と先生のブログはリンクしまくりです(笑)
このブログを読んだら、本人が頑張って決めた決断なんだよねって思うことができました!
親子関係のカテゴリ、全て拝読いたしました
話を聞き、受容することをはじめたいのですが
そもそも息子は口をききません
おはよう、ただいま、ご飯できたよ、
全ての言葉を無視します
この場合は、どんなことから働きかければよいのか
おそらく無視されている保護者は少なくないと思いますので
どうか記事にしていただけたらと思います