外来を受診される方は何かに困って受診するわけだが、何に困っているか、すなわち主訴をまとめてきてくれると非常に助かる。
お子さんに何か困ったことがあると親御さんはパニックになる。
でも
「困った! 困った!」
と受診されても、僕も一緒に
「困った! 困った!」
となるしかない。
何が心配で、今後どうしたいのか、さっぱりわからない……。
こんなとき、僕はまず『親の不安』と『子の不安』を分けて考えることにしている。
この二つがごっちゃになると、
「困った! 困った!」
しか出てこなくなる。
で。
『親の不安』ってナニ?
例えば不登校のお子さん。
「学校に行かないと心配」という主訴なのだが。
じゃあ何が心配かって、
主語が全体的に『親』。
この辺りには子供の気持ちが入ってこないので、『親の不安』だ。
一方『子の不安』って
主語が『自分』。
これが『子の不安』。
で。
両者をごっちゃにすると
「学校に行かないなんて子供が心配!
子供の将来がダメになっちゃう!」
みたいな感じになる。
上記の発言を整理すると、心配なのは『親』で、将来がダメになると思っているのも『親』。
つまり『親の不安』。
親の不安を子供に押し付けているに他ならない。
きっとこの段階でのお子さんの気持ちは、「そんなことよりとにかく目の前の学校がつらい! 逃げたい!」だろう。
親の不安は、親が解決するしかない。
親の心配をそのまま子供に押し付けても、子供にはどうしようもない。
「心配!」
と言ったところで、
「じゃあお母さんの心配をなくすために明日から登校いたしますご心配をおかけしました」
とはならない。
「私は今心配なのね」と、親御さん自身の気持ちとして自覚するしかない。
その上で、気持ちの処理方法を見つける。
配偶者やカウンセラーと話してみるとか、ノートに気持ちを書き出して整理するとか、ひとりカラオケであいみょんを熱唱するとか(あ、今カラオケ行っちゃダメだった)、ハワイでバカンスとか(GoToトラベルは行っていいんでしたっけ?)。
子供に伝えても不安は解消されないだろう。
一番困っているのはお子さん本人に他ならない。
「お母さんは心配なの!」とお子さんに告げるのは得策ではないと、冷静になればご理解いただけると思う。
そんなことよりお母さん自身の人生を楽しんでいただく方が、子供にはずっと良い影響がありそうだ。
Zoomであいみょんを熱唱するとか。(あいみょん好きだな)
もう少し、思考を進めてみる。
「じゃあ、私(親)は何が心配なのかしら?」
子供の将来が心配なのだ。
就職できるか? 自立できるか?
「今まで不登校だと人生終わると思ってたけど、ホントにそうなのかしら?」
ここでネットなり学校なり役所なり、情報収集してみる。
これはとても建設的。
調べてみると、全然そんなことはないと気づく。
フリースクールや適応指導教室など、今まで縁のなかった世界を知る。
不登校の子どもたちの行く末を知る。
その情報は、お子さんの役に立つかもしれない。
これが、『親の不安』と『子の不安』を分けるってことだと思う。
整理してみると、『親の不安』の占める割合が大きいことに驚くだろう。
『親の不安』を取り除くと、事態はすごくシンプルになる。
自ずと答えが見えてくる。
『子の不安』に寄り添ってあげてください。
じゃあお母さん、高校の情報を集めてみるね
ヤベーーー。
教科書みたいに優しいお母さんじゃん。
道徳の教科書にこんなお母さん出てた。
もちろん家庭によって状況や性格が異なるので、こんな教科書みたいな対応である必要はない。
ただ、『親の不安』と『子の不安』を分けると状況がクリアになることは間違いない。
ってことで、
『親の不安』は、親が処理。
お父さん、向き合ってくれますか?
向き合ってくれなければやっぱりヒトカラであいみょんを。(東京都でも時短ならいいんでしたっけ?)(本当はハワイでビール飲みたい)(ハワイ行ったことないけど)
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先生、息子は中2の時に、ゲーム機を買うまで学校に行かない!というストライキで休み始め、登校を約束して買ったものの五月雨、完全、留年、休学を経て、春から復学しました。ですが、3年経ちゲーム機が壊れ、また新しいゲーム機が欲しいと言い出したのですが、前回のこともあり父親が登校が安定するまで絶対買わないと言うので、復学早々欠席続きです。
休学中は家を快適にを心がけ、会話や笑顔も増えていたのですが、今は毎日不機嫌で返事もロクにしません。学校でもストレス、家でもストレスで行く意味が無いと言います。
ゲーム機を買い与えないことは、家を快適にしないことになりますか?
また学校も行かずゲームばかりで昼夜逆転になるかと思うと、これは親の不安かもしれませんが買う決断ができません。
親の不安を子供に押し付けている。
まさにその通りでした。
いつも心に響くお話を、本当にありがとうございます。