不登校から学校に復帰するとき。
第三者的には、いきなりフルスロットルは厳しかろうと思う。
少しずつ、様子を見ながらでいい。
疲れたら休む選択肢があった方がよい。
だって、この子は頑張りすぎて不登校になったのだから。
でも。
本人が「頑張る方がラク」って言うんだよ。
HSCタイプに多いだろうか。
方々気を使いまくって、限界を超えて不登校になった。
学校に行けない自分を責めて、家で鬱々と、しんどい時間を過ごした。
相当にしんどそう。
見ている家族も非常につらい。
こんなタイプは「学校に行かなきゃ」が強いので、比較的早めに社会復帰する。
まだしんどそうなのに、「来月から学校に行く」とか言い出す。
しかも、フリースクールや適応指導教室じゃなくて、もといた学校に復帰すると。
しかもフルで。
保健室登校や放課後登校を挟まず、朝から夕方まで全部出席。
なんなら部活や委員会活動まで早々に再開。
不登校期間があるのに、いや、あるからこそ、テスト勉強も頑張る。
見ている方が不安に。
いや、ちょ、もう少しゆっくりでいいんじゃ?
また燃え尽きて、さらに精神状態が悪化するんじゃない?
次に不登校になったら、今度はもう立ち直れないんじゃ⁉︎
鬱々とした不登校期間を間近で見てきた親御さんは、気が気じゃない。
ゆっくりでいい。
むしろゆっくりにしてほしいのに。
伝えても、本人は頑として聞き入れない。
「フルで頑張る」の一点張り。
本人に聞くと、決まってこう言う。
いつ休んでいつ出席するとか、どの程度の勉強でよしとするとか、考える方が疲れるんだって。
それを考える元気がないと。
だったら復学自体ムリのように思うんだけど、本人的には休んでいる方がキツいらしい。
中途半端に欠席して話題についていけないと、教室で過ごす時間が苦痛になる。
授業に出ないと、テスト勉強で発狂する。
だったら全部出た方がラク。
言っていることは分かる。
あれこれ考えてブレーキを踏むより、何も考えずアクセル全開の方がラクなのだ。
「頑張る」って非常にシンプルな選択肢。
迷う余地がない。
とても簡単。
そして、まず失敗しない。
まず非難されない。
「頑張って叱責される」というシチュエーションは、ほとんど考えられない。
特に、努力を美徳とする学校教育の場では。
ラクなのだ。
非常にラク。
分かる。
シンプルで、かつ、とても『正解』に近い。
大変に魅力的な選択肢だ。
すがりたい気持ちも分かる。
真面目なこの子は、これまで「頑張る」一択で生きてきた。
実際に結果を出し、評価もされてきた。
ゆえに、「頑張る」以外のやり方を知らない。
手を抜いて失敗するのが怖い。
あとで後悔するくらいなら、今頑張るほうがいい。
「いい塩梅の手の抜き方」なんて、この子には経験がない。
急にトライして失敗したら、立ち直れない。
でも。
だからこそ不登校になったのも事実で。
「がんばりすぎた」から。
人間、無限には頑張れない。
頑張ったらどこかで手を抜く必要が、必ず出てくる。
この子はそれができず、燃え尽きて不登校に至ったわけで。
この子は、早急に社会復帰すると言っている。
社会復帰は、大人としても嬉しい。
本人は「学校に行く」と言うし、親としてもそれは賛成。
だから、ブレーキをかけるのも気が引けるけど……。
危うい。
非常に危うい。
僕の立場でも、本人が「やる」と言うなら止めない。
止められない。
そんな権利僕にはないし。
この子の人生は、この子が決めるのであって。
でも、見ていて危ういなと思う。
「頑張る一択」では、この先きっと、また壁にぶつかる。
この一手のみで人生を切り抜けていくことなんて、果たして可能なのだろうか。
ずば抜けて基礎能力が高い人にしか、無理なんじゃなかろうか。
実際、すでにこの子は一度不登校になっている。
「頑張る」って、想像よりずっと危険な選択肢だ。
このタイプの子のゴールは、「グレーの許容」なのだろう。
頑張る部分と頑張らない部分の線引き。
勉強にしろ、人間関係にしろ、どこまで頑張ってどこは手を抜くか。
大事で譲れない点はどこで、譲れるところはどこか。
この子は、持って生まれた不安が強い。
勉強も友達も容姿も、カンペキな状態じゃないと、安心できない。
スキがあったら心配。
弱みは見せたくない。
不安を抱えながら生活するくらいなら、不安を潰す、つまり「頑張る」方がラクなのだ。
でも。
頑張りでカバーできる範囲って、人間あまり広くない
のよね……。
年齢とともに露呈してくる。
自分は完璧じゃない。
頑張ってもダメな部分がどうしても出てくる。
小学生の頃は、頑張ればなんとかなった。
勉強もできたし、友達もいた。
でも中学生くらいになると、もうどうにもならない。
勉強は、どんなに勉強しても学年トップは取れないし。
運動は、スポーツ万能のあの子には敵わない。
友達関係だって、こんなに気を使いまくってるのに、なーんか浮いてる気がする。
そういえば、ちょっと太ったからダイエットしないと。
この状況。
本人的には非常に不安定で居心地の悪い、この状態。
これを認め、許容すること。
できることとできないことを、客観的に見極めること。
そこそこで良いと思えること。
つまり「グレーの許容」だ。
本人的には非常に(そりゃもう非常に)怖いんだけどさー。
コレしかないと思うんだよね。
今までなんとかなっちゃってた子の方が、こじれる場合がある。
基礎能力が比較的高い子が。
デコボコの大きい子の方が、案外柔軟だったりする。
もともとの能力が高く、頑張ればなんとかなっちゃってた子。
「頑張る」ことで成功体験を積み重ねてきた。
逆に言うと、「頑張る」以外の選択肢を知らない。
こんな子が、中学生くらいで壁にぶつかりやすいように思う。
壁は、乗り越えることもできる。
でも、迂回することもできるのだ。
これが分かると、このタイプの子は非常にラクに生きられるんだろうなーと思って見ている。
そして、特に教育の場で、「頑張る」を礼讃するのって、個人的には危ういと思う。
「頑張る」しか選択肢がないって、非常に脆い。
ダメな大人がダメな見本を見せるのも、意味があるように思う。
もっとダメに、もっと低俗に。
逃げて、手を抜いて、堕落してさー。
それでも生きていけるってお手本をだね。
そういった崇高な観点から、僕はダメな大人を体現しているのだ。
僕が低俗なんじゃない、敢えてなのだ。
「電車の運行」って、フフッてなるよね。
変な言葉じゃないんだけど、電車の「うんこう」って。
「うんこう」って……。
いい年齢して「運行」とか「代弁」とか「沈降」とかに反応し喜ぶ僕だが、このようなありがた〜い目的意識があるのだ。
ゴミムシを見る目で見ないでいただきたい。
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p先生、いつもありがとうございます。
うちも、まさにこのタイプです!
高校2年から行けなくなりましたが、学校に行かなければ、という思いが強く、留年もかかっていたので本人主導で復学しました。
が、復学して最初から全力疾走。そんなに頑張って大丈夫なのか?と、私もとても不安でしたが、頑張っているのに水を差すようで何も言えず…そうこうしているうちに、力つきてまた学校に行けなくなりました。そのときの本人の落ち込みっぷりは、今までの中で一番ひどかったです。
彼にはまさしく、グレーの許容が必要なんだと思っています。頑張らなくていい、なんとなーくで大丈夫。人生、散歩するような感じで生きていってほしいのです。
今また休むことを選択した彼ですが、人生長いから1年くらい遅れてもいいかも、と思えるようになってきたらしいです。真面目で不安の強い彼が、そんな風に思えるようになったなんて。私は少し嬉しい気持ちになりました。
確かに、きっちりきっちりしている親に育てられた方が、「いい加減」には育ちにくいと思います。
今でこそ、「ここで頑張るって、誰か得?」と自問自答して手抜きが出来るようになりました。
Eテレのピタゴラスイッチに、ネズミのスーというキャラクターがいます。
「スーの歌」に「時間が空いてものんびりしない。それで時々熱を出す。」という歌詞が出てきます。
仕事休みの日にダラダラ出来ず、家事をこなしている時に、自戒の念を込めて歌ったりします(笑)
子供にもダラダラ〜な一面を見せるのも大事ですね〜!
余談ですが、横浜市に金沢文庫という地名があります。
口の両端を人差し指でひっぱって読むのが、昔からの小学生あるあるです。
P先生もお好きだと思います。
はい、言ってみましょう。
「かなざわ○んこ」
いつもありがとうございます!
うちの子がこれです。
私も子供の頃から手の豆からは血を流し、体は壊れるまで頑張るタイプですが、いつもいい感じに体を壊して(風邪など)頑張りたくても頑張れなくなる期間があるので心は病まずに済むんですが、子供は体が丈夫なため、心が燃え尽きました。
テキトーでいいんだよ無理しないでももう十分頑張ってるよと伝えてますが、本人は納得しません。
それどころか、もう俺に期待するのやめたんだね。俺なんかダメだからなと言います。
手の抜き方がわかりません。