グチの話から発展して。
グチを言いたい、吐き出したい気持ちの親御さんがたくさんいらっしゃること、僕も重々承知。
そして同じような境遇の人を探したい、気持ちを共有したいと切に願っている方が多いことも。
とりあえず少しでも安心したいってことですよね。
それがわかっているつもりだからこそコメント欄を開放している部分はあります。
グチを書き込むのは構いません。(ただできればグチならグチって書いてね。判別つかないから。)
※でも、「〇〇がなくて困ってるんだけどなんとかして」とか、「私こんなにつらいのよアンタ罪悪感を感じなさいよ」みたいな、僕に丸投げするようなコメントは困ります。ネット上のマナーとしてそこはご理解ください。
そもそもこのブログのターゲットの親御さんってどんな人か。
その話をさせてください。
僕の病院の発達外来は、初診まで半年待ちだ。
まじ待つ。
まじ長い。
まじ卍。
この長い長い待ち時間をなんとかしようと、僕も画策したことがあった。
でも今は、半年待ちでむしろいい塩梅だと思っている。
そんなお叱りの声が聞こえてきそうですね。
これはですね、『腹を括る時間』だと思っていて。
大事な、そりゃもう大事なお子さんが、不登校になる。
または、発達障害の可能性が浮上する。
親御さんはパニックになるのが普通ですよね。
パニックになる。
普通の反応なんだけど、この時点では僕は何の手助けもできないわけです。
そうなの?
そうなんです。
全然、何もできない。
正確には、何を言っても親御さんには入らない。
受け取ってもらえない。
僕たちなりに有用と思うアドバイスをするのだけど、それを受け取る余裕が親御さんにない。
実際、そのような場面って日常の診療でよく遭遇するんです。
とにかくパニック中なんだなー、ってとき。
子供が発達障害。
子供が不登校。
他にも起立性調節障害、反抗期、過敏性腸症候群、抑うつ、チック、自傷……なんでもいいんだけど。
その時、どう感じますか?
ってな感じでしょ?
それが普通の反応と思う。
僕もそれは重々理解している。
受容?
できるワケねーじゃん。
僕は常々、お子さんをありのまま受容してくださいと言っている。
できるわけねーのに、なぜそんなことを言うの? バカなの?
そう、この人たちに向けて言ってないんです。
具体的なアドバイスとか方法論とか、この人たちを対象に言ってない。
じゃあ、誰に言っているか。
『腹を括った人』です。
発達障害?
この段階の人には、多分何を言ってもダメで。
この状態になって初めて、
教えて、偉い人。
ってなる。
この人。
僕が対象としているのはこの人たち。
この段階になって初めて、「腹立つ気持ちはわかるけどとにかく受容した方が予後がいいよ」「こういう考え方もあるよ」「子供の言動の裏にはこんな気持ちがあったんじゃないかな?」とかアドバイスできる。
そして、このブログには主にこんな感じの『理論』『理屈』『方法論』を書いているつもり。
対して。
グチを言っている人の多くは、この状態に達していないものと思われる。
まだ受容できない状態の人。
※もちろん腹を括ったあとでもグチりたくなる時ってある。グチりながらもなんとか乗り越えていく場面ってありますよね。承知してます。でも今はそれは置いといて。
もちろん、この状態は全然悪くないし、責めてない。
誰もが通る道だ。
でも上記の通り、この段階の人に僕ができることは何もないわけだ。
この状態の人。
受容できない、ムカつく、腹立つ、あり得ない! の人。
この状態って悩んでもがいて、自分で抜け出すしかない。
少しでも力になる可能性があるとしたら、やっぱり身近な人や実際に面と向かって話せる人だけだと思うんだ。
顔も知らないネット上のやりとりでは完全に無理で。
だから、コメントを書いていただいても何もできないので然るべき相談機関へ、ってのは、そういうこと。
でね。
コメントを見て思う。
素直かっ!
真面目かっ!
このブログもそうだし、人に聞いたりちょっと検索すれば、『正解』らしきものが手に入る。
でもそうできません、って。
真面目か。
『正解』なんてクソくらえだ。
まずは、「あなた(親御さん)」はどう思う?
それが親御さんの素直な気持ちでしょう?
まずはそこを認めてほしい。
「あなたは」そう思っている。
まずはそこを受容しないと、話が進まない。
これを認めず、
そうやって本音を打ち消しちゃうから、「私はこうしたいのに〇〇がこうで動けない」みたいなグチになるのだと思う。
いや、責めてないよ。
この状態が悪いって言ってるわけじゃない。
誰でもなるでしょ。
でも、僕には何もできないんだ。
そして何より、この状態の人にむけてブログ書いてない。
※だからグチを言い合いたいなら、僕のブログじゃなくて親の会とかネットでも掲示板的なもののほうがいいんじゃないかなーとは思う。
なにか困ったことがあった。
そのときに、『正解』にすがりたくなる。
その気持ちはわかる。
ネットを検索して、『正解』らしきものを見つけた。
じゃあそうしなくちゃ!
わかる。
でも、きっと無理だ。
小手先のテクニックだけ試してみても、きっとうまく行かなくて。
親御さんは、そう思っている。
それを認めて、大事にしてあげてほしい。
肯定すると、見えてくる。
ずっと腐っていても仕方ないので、自然と前を向くときがやってくる。
頑張って前を向くエセポジティブじゃなくて、自然に納得できるときがきっとくる。
100%じゃなくても、自然と納得して、前を向くとき。
その時に、きっとそれぞれ「こうやってみよう」という思いが出てくるはず。
お子さんのことを一番分かっているのは、確実に親御さんだ。
今までずっと見守ってきた親御さん。
その親御さんが思うようにやってみたらいい。
教科書的な『正解』と全然違ったっていい。
多分それが一番正解に近い。
それでも、なんかうまく行かなかった時。
どうすればいい? と迷ったとき。
その時にぜひブログを読んでみてほしい。
このブログがそんな人のヒントになれば、僕は本望です。
ちゃんと腐らないと、前をむくことはできないと思う。
黒い気持ちも、「あるものはある」。
ダークサイドは「ある」。
それを認めて、ちゃんと受容してあげてほしい。
ダークサイドも含め親御さん自身を認めることができれば、自然とお子さんのことも認められるんじゃないかな、と僕は思う。
なんて偉そうに、申し訳ないけど。
でも、そうやってご自分およびお子さんと向き合っている親御さんって、やっぱりカッコイイ。
とてもステキに見える。
親御さんのそんな様子を見たお子さんもやはり、きちんと自分を見つめ、いずれ前を向いていくというの僕の臨床での感触だ。
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「猫を追うより皿を引け」と念仏のように唱える母に育てられた(古い家だったので、猫によく食べ物を囓られたんです)私は、いつも最良の一手が打てるよう、何でこうなった?と、分析したり理屈を考えたりする人間に育ちました。
そんな私は、娘の登校しぶり1週間目くらいに先生のブログに出会い、遅かれ早かれそうなっていたなら、早く分かってよかったじゃん!と思えました。それから長男も不登校になりましたが、家族全員穏やかに過ごせています。先生のブログのおかげです。
私は子どもが不登校であることを積極的に話しているので、子どもが登校を渋るという相談をされることも多く、そのたびに先生のブログを勧めまくっているのですが、皆さんあまりストンと来ないようで。。。でも、理由がわかりました!まだ皆さんに早いんですね。
頃合いを見計らって、また先生のブログを勧めたいと思います。
我が子が突然不登校になり、自殺しようと思い市販の睡眠導入剤を購入しビールで飲みました。(自殺しようとした話は本人から後日聞きました)
その後も毎日マンションから飛び降りをしようとしていて、病院に診てもらおうとしてもどの病院も子供はなかなか診てもらえず、本当に大変な思いをしました。
半年なんて到底待てません。
幸い都内で診てくださる病院が見つかり、即入院することが出来ました。
都内の病院を見つけることが出来なかったら母子共々確実に死んでいました。
直ぐに診ていただいた病院に感謝しております。
いつもブログ拝見しています。
長女の激しい自傷と不登校に悩んだ当初、
どの思春期外来も「半年待ち」「そんなに自傷が酷い子は診察出来ない」と言われ絶望感の中、不登校専門のカウンセラーの方へ号泣しながら電話しました。もう涙鼻水ぐしゃぐしゃでしゃくりあげのめっちゃパニック状態で話す私に、カウンセラーさんは静かに「そうなんですね。でもねえ、ごめんなさい今私ね、揚げ物してる途中ですぐ話せないの。10分後にもう一度かけ直してくれる?」いや、そっちが揚げ物止めてよ!と思いつつも電話を切って10分後かけた時には、少し落ち着いて自分の状況をちゃんと伝える事が出来ました。
確認はしてませんが、きっとカウンセラーさんは揚げ物なんてしてなかったと思います。腹を括ったというか、自分の状況をクールダウンして見れるようにしたんだろうなぁと。
あと、正解を求めるっていうの、すごくわかります。医者やカウンセラーや専門家に自分以外の人に正解を求めて安心する、のもあるし、
「今まで自分が正解と思ってやってきた事で不登校になってしまった」という思いが強くて自分の考えにもう一切自信が持てなくなるんですよね。「これでまた自傷が酷くなったらどうしよう、不登校が長引いたらどうしよう」と思うと、接し方ひとつひとつに自分以外の誰かに「正しい判断」を求めたくなる。
そんな時主治医に「何が正しいかなんて誰にもわからないです。死ぬときはどうしたって死んじゃいます。その時に正しいと思う事をするしかないです」と言われたのを覚えています。
その時は「医者なのにわかんないなんてどういうことだよ!死ぬ時は死ぬなんて無責任過ぎる!こっちはそうさせないためにこうやって来てるのに!」とめちゃくちゃ憤慨しました(苦笑)
でもそれからだいぶ経った今は、言わんとする事がわかります。P先生もそういうお考えでしょうか。。
不登校だけど、とりあえず元気でいるならまあなんとかなる、と思えるようになるまで時間はかかりましたが、腹を括るとグッと親自身が楽になりますね。そしてそれは子どもへの作用してると感じます。